2009年8月4日
OVC、特殊3D映像を用いた基礎研究で視機能の向上など
大学らと共同で「HCI International 2009」で論文発表
名古屋大学、岐阜医療科学大学、仏ストラスブール大学で実施した実証実験結果を発表
オリンパスグループのオリンパスビジュアルコミュニケーションズ株式会社(社長:市川 哲哉、以下OVC)は、OVCの特殊3D映像を用いて視機能の向上などの効果の研究調査を、名古屋大学宮尾教授の研究チーム、フランスの眼科医師Dr.Fatehと共同で行って参りましたが、この度、その研究結果を、米国カリフォルニア州サンディエゴで開催された「HCI (Human-Computer Interaction) International 2009」において発表しましたことをお知らせいたします。
背景と発表の内容
OVCはこれまでにも名古屋大学の研究チームらと共同で、OVCの独自3D映像制作技術を元に制作した「立体視によるアイケアプログラム」※1を用いて、視聴時の視機能への影響を調査する研究を行ってきましたが、今回、名古屋大学、岐阜医療科学大学、仏ストラスブール大学で実施したそれぞれの実験により新たに、特殊3Dアイケアプログラムが眼のピント調節、短期的・中期的な視聴による視力向上、融像性輻輳不全の患者の眼精疲労軽減と近点調節力の向上に効果があることが実証されました。
OVCは今後、今回の研究結果をもとに更なる研究と商品開発を進めていきます。
3Dアイケアプログラム映像 | 水晶体のピント調節の測定 | 中期的な視力の向上 |
各論文より一部実験の要旨
1. Lens Accommodation to the Stereoscopic Vision on HMD
(訳:HMD(ヘッドマウントディスプレイ)上の立体映像に対する水晶体のピント調節)
実験の目的 | HMD上で特殊3D映像を注視させ、近点と遠点を前後する球体に眼のピント調節機能が働いているかを明らかにする。 |
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実験の方法 | 水晶体測定機械にHMDを分解して取り付け、3D視聴と同時に眼の測定を可能にする。被験者は機械を覗くと3D立体映像が見える。同時に被験者の眼の水晶体を測定できる。 |
実験の結果 | 2Dや擬似3Dの球体映像を注視したときにはピント調節が起こらなかったが、特殊3D立体映像を視聴しているときには-3ディオプターから1ディオプターの幅で水晶体がピント調節していることが実証された。 |
論文リンク(PDF:199KB OVCのサイトへ)
2. Effect of an eyesight Recovering Stereoscopic Movie System on Visual Acuity and Asthenopia
(訳:視力と眼精疲労に対するアイケア立体映像システムの効果)
実験の目的 | 収縮緊張した眼の筋肉(ピント調節を担う毛様体筋や外眼筋など)を緩めることで、仮性近視の状態が改善することが期待される。その効果を期待して制作された眼筋ストレッチを目的とした特殊3Dアイケアプログラムを用いて、近視眼の日本人大学生36人を被験者に、短期的および中期的な視力に対する効果を検証する。 |
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実験の方法 | 32人の被験者を2群に分ける。1群は3D映像を6分視聴。2群はコントロール群としてモニター上で平面の眼球運動を伴うゲームを6分実施。3D視聴やゲーム実施前の視力と、実施後の視力を測定する。中期の実験では、これを11日間実施した。 2週間の間をおいて、1群と2群を交代して実施。 |
実験の結果 | 3D視聴群の視力の幾何平均を求めた結果、短期的にも中期的にも視力の向上があることが実証された。 |
論文リンク(PDF:854KB OVCのサイトへ)
3. Can Viewing 3D Images Improve Binocular Vision?
(訳:3D立体映像の視聴は両眼視機能を改善するか?)
実験の目的 | 特殊3DアイケアプログラムをHMDで視聴して、両眼融像幅と眼疲労の軽減に効果があるかを調べる。 |
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実験の方法 | 被験者は融像不全の症状のある25人。週2回、6週間にわたり、毎回15分間、3Dを視聴する。3D映像では近点30cm~遠点2.5mの間を球体が前後する。 |
実験の結果 | 15人(60%)の被験者が、3D視聴後に眼疲労の症状が大きく改善したと感じ、融像性輻輳については11%~25%ディオプターの改善が見られた。眼疲労症状の改善がないと訴えた患者についても融像性輻輳については25%もの改善を示した。 |
論文リンク(PDF:431KB OVCのサイトへ)
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