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1999年12月 1日
全自動DNA検査により感染症の確定診断が期待できる
高感度DNA光検査システムの開発
「高感度DNA光検査装置」 「比較エリプソメータ」
「高感度DNA光検査装置」 「比較エリプソメータ」
オリンパス光学工業株式会社(社長:岸本 正壽)は、感染症のスクリーニング検査を想定し、全自動システム化した「高感度DNA光検査装置」を産業科学技術研究開発の一環として、新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)から委託を受けて開発しました。
近年、ゲノム(遺伝子)解析の研究は急速に進んでおり、医療・基礎科学・環境等様々な分野への応用がされています。なかでも、医療分野は、遺伝子診、遺伝治療、DNAワクチン等の試みが盛んに行われ、将来の確定診断・治療法として大きく期待されています。
当社は、「医療・健康領域」の事業で、医療に貢献できる診断・治療、検査を行う商品を開発してまいりました。その一つとして当社の分析技術、計測技術による血液分析装置があげられますが、これにマイクロマシン技術を加え、輸血用血液によるウィルス感染の予防につながるDNA検査装置の研究開発を行ってまいりました。
現在、感染症の診断は免疫検査が主流ですが、結果が得られるまでに比較的長時間を要しています。また、検査が複雑で人手や時間また試薬コストが多く費やされています。「高感度DNA光検査装置」は、これらの課題を解決し、全自動検査装置として迅速・安全で省スペース・省力化による低コストDNA検査が期待できます。
「高感度DNA光検査装置」は、血清サンプルから目的とするDNAを分離・抽出するモジュール、DNAを増幅するモジュール、DNAチップのノンラベル光検出を実現する折返し光路型比較エリプソメータのそれぞれの技術をロボット技術によって組み合わせた全自動装置です。それぞれの技術要素の特長を下記にまとめます。
DNA分離・抽出モジュールの特長
  1. マイクロ加工技術を駆使したモジュール
    2枚のガラスを張り合わせ、その間に40mm四方で深さ30μmの均一空間を設け、その両サイドに電極を設置したフリーフロー電気泳動モジュール。

  2. 目的のDNAの高速連続抽出が可能。
    DNAとタンパク質を含むサンプルを注入口より流し、電気泳動により連続的に分離分取が可能。
DNA分解・抽出モジュール
DNA分解・抽出モジュール
色素の泳動挙動
色素の泳動挙動
DNA増幅モジュールの特長
  1. マイクロ加工技術を駆使したモジュール。
    シリコンウェハ内に8つの反応セルを形成し、その極近傍にヒーターと温度センサーを実装したマイクロモジュール。

  2. 高速な加熱速度と温度制御の高精度化を実現。
    温度変化サイクルの高速化とより精度の高い温度制御により、従来の機器と比べると1/3以下に高速増幅を実現。
DNA増幅モジュール シリコンデバイス反応セル部
DNA増幅モジュール シリコンデバイス反応セル部
DNAチップのノンラベル光検出技術の特長
  1. DNAチップ用としてはじめてノンラベル光検出を実現。
    ウィルス遺伝子を特異的に捕捉するDNAプローブを複数本設置したDNAチップ上で、標的DNAと結合してできた2本鎖のDNAを光学的に検出。

  2. 折返し光路型比較エリプソメータにより、陽性検体の特定の企図。
    光源からリファレンスDNAチップを介した光軸を、プリズムにより偏光状態を変えずに正反対の方向へ折返し、対象とするDNAチップを介した時に生じる偏光の位相差により、陽性検体を検出。
折返し光路型比較エリプソメータの原理、構成
折返し光路型比較エリプソメータの原理、構成
オリンパス光学工業株式会社は、2003年10月1日をもってオリンパス株式会社と社名変更いたしました。
  • 本リリースに掲載されている内容は、報道関係者向けに発表した情報です。
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