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1999年12月 1日
高精度で手術技能の熟練性を効果的に向上し、
手術中の医療従事者に対する効果的な視覚的支援を実現する
手術支援システムの開発
オリンパス光学工業株式会社(社長:岸本 正壽)は「手術シミュレーション・ナビゲーションシステム技術」などから構成される「手術支援システム」を情報処理振興事業協会(IPA)の「医療情報化の促進」プロジェクトの一環として開発しました。
本システムは、患者への低侵襲化及びQOL(生活の質)の向上など近年の医療の方向に向けて、より高度化する的行為である脳神経外科手術をその応用領域としています。この分野ではマイクロサージェリー、更には内視鏡手術という患者にはより優しい手術方法が導入されてきております。その反面、術者には難度が高く負担の大きなものとなっているため、高精度な手術技能の熟練性を効果的に向上させるシステムの実現、並びに手術中の医療従事者に対する効果的な視覚的支援の実現等が望まれています。当社ではこれらの実現を目的に、手術シミュレーション・ナビゲーション技術を開発し、その試作システムを構築しました。
本システムは1.手術プランニング、2.手術シミュレーション、3.手術ナビゲーション(3次元画像重畳)の3つの機能からなり、それぞれ独立に稼動させることも可能です。
  1. 手術プランニング機能(最小侵襲経路提示機能)
    予め患者のX線CT及びMRIの連続的二次元データをデータサーバより読み込み、三次元再構成化を行います。次に、本機能が有する標準的な三次元脳機能アトラスデータと比較し、当該患者の患部到達までの危険性が最も低いと考えられる手術経路を三次元で表示し、医師の手術計画を支援しようとするものです。脳機能アトラスデータは、脳機能の中でも生命維持や生活面で支障をきたすことになりやすい機能が存在するとされる脳実質や重要血管などをその重要度でレベル分けした三次元的領域表示データです。

  2. 手術シミュレーション機能
    前記の機能で中間生成された患者検査画像の三次元再構成されたデータを基に、パーソナルコンピューター(PC)に接続されたパラレルリンク型操作デバイスを介して手術動作を入力し、ユーザインタフェース上で表示される患者の三次元データに対して手術の事前検討を行おうとするものです。パラレルリンク型操作デバイスも自社開発であり、実際の手術処置具に模したハンドルを有する動作入力ツールであり、力覚帰還も可能です。また、手術の事前検討場面はデジタルな録画・再生・編集が可能で、医師の教育プログラムへの応用も考えられます。

  3. 手術ナビゲーション(3次元画像重畳)機能
    実際の手術室にて手術の進行を視覚的に支援する画像データを提供するため、「手術プランニング機能」で中間生成された患者の三次元再構成データを入力し、手術用顕微鏡画像及び内視鏡画像上でそれらが見ている方向・位置に応じて精度よく前記の患部の三次元データ像を重畳させることにより、手術のターゲットである患部の存在方向/位置を示そうとするものです。
    本機能は、通常のPC上で稼働するシステムとして開発され、注目領域の重畳像のみならす、サジタル、アキシャル、コロナルの三軸方向の子画面に内視鏡の現在位置や手術顕微鏡の視線方向をグローバルに表示し、さらにそれらを音声制御可能です。また、光学式及び画像トラッキング方式の2方式の位置姿勢センシング法を用いていることで、使用場面に応じたロバストな画像重畳を実現しています。
オリンパス光学工業株式会社は、2003年10月1日をもってオリンパス株式会社と社名変更いたしました。
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