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2000年12月12日
21世紀に向けてゲノム医療事業を本格展開
~遺伝子解析システム・試薬の開発・製造・販売、
オリゴプローブ配列の設計サービスから事業を開始~
オリンパス光学工業株式会社(社長:岸本正壽)は、ゲノム医療関連事業を本格展開するため、「ゲノム医療事業推進PJ」を設置し、遺伝子に関わる基礎研究から臨床検査・診断・治療・予防を支援する医療システム、及び関連するサービスを2001年4月より開始します。5年後には売上300億円を目標に事業を推進して参ります。また、当PJでは当社の研究開発成果によるビジネス展開に止まらず、国家PJの参画や国内・海外の研究機関、企業とのアライアンスを積極的に推進し事業拡大を図って参ります。
1980年代後半からスタートした「ヒトゲノム解析計画」が、ここ数年で急速に加速化され、生命の設計図が明らかになりつつあります。今後の研究開発は、遺伝子の同定、その機能の解明や効果的な投薬のための薬剤応答性診断(注1)など、遺伝子研究の高度化と、その遺伝子の知をベースとした医療である「ゲノム医療」へと進展し、オーダーメード医療への医療革命が現実のものとなってきます。
当社は、この機会を捉え、1)顕微鏡や分析機で培った光学技術、自動化/システム化技術、2)基礎技術研究所及び技術開発本部で培ったDNA・遺伝子・染色体解析技術、マイクロマシン技術の粋をゲノム技術として結集し、当社医療関連の既存事業の販売・サービス網を生かした事業を展開すべく社長直属の組織として「ゲノム医療事業推進PJ」を設置し、事業を開始致します。
当面は、ゲノム創薬とガン臨床応用研究に向けた研究支援市場を対象に、一塩基多型(注2)解析、遺伝子発現解析システム(注3)の開発・製造・販売、及び標的特異性の高いオリゴプローブ(注4)配列を設計するサービスを中心として事業をスタート致します。近い将来には、プロテオーム解析システム(注5)や超高速DNAシーケンサー(注6)などの次世代機器・システムの開発・製造・販売も計画しております。更には、受託解析サービスなどサービス・情報事業への展開を図っていきます。
現在、ゲノム市場で使われている解析技術は発展途上にあり、特に精度、コストの点で課題を抱えておりますが、当社はそれらの問題を解決すべく、これまで国家PJなどに参画しながら独自の技術を蓄積して来ましたが、海外の研究機関、企業とも戦略的なアライアンスを進めてきております。
  • 社名:EVOTEC BioSystems AG
    住所:Schnackenburgallee 114, 22525 Hamburg, Germany
    CEO:Dr. Karsten Henco
    ドイツのベンチャー企業であるEVOTEC BioSystems AGと蛍光相関分光分析技術(注7)を活用した次世代の遺伝子解析機器の開発を共同で行っていく事で基本的な合意を致しました。

  • 社名:PamGene
    住所:Grote Gent 2, 5261 BT Vught, The Netherlands
    CEO:Tim Kievits
    オランダのベンチャー企業であるPamGeneとマイクロアレイ(注8)の共同開発を行っていくと同時に、オリンパスはPamGeneの株式を取得し、戦略的パートナーシップを構築することで基本的な合意を致しました。

  • 研究所名:Karolinska Institute
    住所:SE-17177 Stockholm, Sweden
    Professor: Rudolf Rigler

  • 社名:SMtec BioVision
    住所:Electrum 212, S-16440 Kista, Sweden
    CEO:Dr. Rudolf Rigler
    スウェーデンのKarolinska Institute、及びSMtec BioVisionと超高速DNAシーケンサーやゲノム医療機器など一分子分析技術(注9)の応用研究を共同で行っていくことで基本的な合意を致しました。
国内の企業、研究機関との共同研究では、次世代の遺伝子解析・検査技術の実用化などの研究開発についても積極的に取り組んでいきます。
 また、現在の「解析」「研究」から「検査」「診断」への変革には、医療の現場との共同研究に力を注ぎ、ゲノム医療に最適なソリューションを市場に提供してまいります。
(注1) 薬剤応答性診断: 個体毎の遺伝子変異により、薬剤に対する反応に違いが生ずる。その薬剤に対する応答性を診断する事。
  (注2) 一塩基多型: DNA配列300~500個に一つ出現する一塩基の違いを言い、通常SNP(Single Nucleotide Polymorphism)と呼ばれている。病気になり易さの判定、薬剤に対する応答性の違い、薬剤に対する副作用の違いを調べるマーカーとして期待されている。
  (注3) 遺伝子発現解析システム: 細胞内に存在するmRNA(DNAの情報を伝達するRNA)の種類や量を調べるシステム。
  (注4) オリゴプローブ: DNA合成法により作成される十数個程度の長さの塩基(オリゴDNA)からなるプローブ(探り針)。
  (注5) プロテオーム解析システム: 細胞内で発現される蛋白全体のことを「プロテオーム」と呼び、それら蛋白を一個一個でなく、全部を一度に捕捉検出し、調べるシステム。
  (注6) 超高速DNAシーケンサー: 従来より極めて高速(例えば100倍以上)に塩基配列の解析を可能とするDNAシーケンサー。
  (注7) 蛍光相関分光分析技術: 不要信号を除去しながら、個々の分子の蛍光特性を直接的に計測することにより極めて精度良く検出する分光分析技術。
  (注8) マイクロアレイ: 数多くの遺伝子の発現や変異を検出するセンサデバイスで、スライドガラスなどの基板上に直径数百マイクロメートル程度のスポットで検出用プローブを固定化したデバイス。
  (注9) 一分子分析技術: 微細加工技術で作成した微少流路反応容器内の蛍光色素標識した反応分子を1分子毎に共焦点光学顕微測光技術と呼ばれる先進光学測光により計測する技術。
オリンパス光学工業株式会社は、2003年10月1日をもってオリンパス株式会社と社名変更いたしました。
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