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2002年 2月13日
MEMSファンドリーサービスを開始
オリンパス光学工業株式会社(社長:菊川 剛)は、得意とする光学・超精密技術に裏打ちされたマイクロ加工・微小組立技術によって実現する、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を開発しています。このたび自社内に蓄積してきたMEMS関連の技術資産や生産設備を活用し、外部ユーザーからの受託により、MEMSのデザイン設計・試作をはじめ、モジュール(複合)化・ユニット化などユーザーニーズに合わせた付加価値の高いキーパーツの生産を行なうMEMSファンドリーサービスを開始します。これにより、ユーザーの製品競争力強化と新産業の創出に貢献していきます。
また、2001年10月に(財)マイクロマシンセンターが9つの大学・国立研究所、13社の企業から構成される「マイクロ・ナノ製造技術ファンドリーネットワークシステム概念に関する調査研究委員会(委員長:東京農工大学工学部機械システム工学科 池田 恭一先生)」を発足し、当社はそのメンバーとして参画しており、国際競争力のあるMEMS技術の推進に積極的に協力していきたい考えです。
サービスの概要
  1. デザイン設計
    蓄積した高い技術と、高度なシミュレーション技術を用いて最適設計を提供します。
  2. プロトタイピング
    設計検証のためのプロトタイプを短納期で提供します。
  3. 少量生産請負サービス
    ユーザーのご要望に合わせて、実績のある製造ラインで少量生産します。
サービスの考え方
MEMSは将来、情報通信機器分野、医療福祉分野、環境分野、エネルギー分野における機械・電気システムのキーパーツになると考えています。自社内に蓄積してきたMEMS技術を自社製品だけでなく、外部ユーザーに提供することでユーザーの製品競争力強化と新産業の創出に貢献していきたいと考えています
当社のMEMS技術開発の背景
当社は、1982年に半導体技術センターを設立し、1989年に原子間力顕微鏡*1用カンチレバー(片持ち梁)の開発に着手したことがMEMSとの関わりの原点です。その他、デバイスとしてイメージセンサ*2、フォトセンサ*3、BiCMOS*4、光スキャナ*5などのOptical(光)MEMSの開発を精力的に実施してきました。また、1991年から2001年春までマイクロマシンPJに参加注1し、人体や機器内部などのごく狭い空間で診断、検査や修理の作業をするマイクロマシンを実現するための技術開発により、複数のシリコンピエゾ型MEMS圧覚センサを先端部に装着した細径能動湾曲カテーテル*6や診断用触覚センサ*7などがこのプロジェクトを通じて生み出されました。一方、近年バイオ関連でもBio(バイオ)MEMS:マイクロ流体として、DNAやたんぱく質を分離するための前処理用フリーフローモジュール*8の開発や、上記の原子間力顕微鏡用カンチレバーをバイオテクノロジーに応用し、たんぱく質の力測定*9にも適用可能なプローブを開発しました。
このように、MEMSは当社の保有技術、事業領域において親近性が非常に高く、今後社会的な需要も高まると判断しこの度サービスを開始することにしました。
注1 マイクロマシンPJ参加による開発テーマは、新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)から(財)マイクロマシンセンターを通じた委託により行なわれています。
*1 原子間力顕微鏡
板バネの先端に探針がついたカンチレバーを試料に沿って走査し、その時の板バネのたわみを精密に光学計測することにより、ナノオーダーで試料の高さ情報を得ることが出来る装置。
*2 イメージセンサ
弊社では、AMI(Amplified MOS Imager/増幅型MOS撮像素子)やSIT(Static Induction Transister Imager/静電誘導型撮像素子)、CMD(Charge Modulation Device/電荷変調素子)などの増幅型イメージセンサの開発を行なってきました。
*3 フォトセンサ
光の強弱を電荷に変えるフォトダイオードと、それを検出・増幅させる回路を集積化したデバイス。弊社では高感度のフォトダイオードが集積可能です。
*4 BiCMOS
Bipolar and Complementary Metal Oxide Semiconductorのことで、デジタル回路のCMOS、アナログ回路のバイポーラトランジスタを1チップ化したデバイス。弊社ではアナログ、デジタル混在型の回路を製造でき、多様なニーズに対応可能です。
*5 光スキャナ
mmオーダーの単結晶シリコンを基板とし、アルミミラーと電磁駆動機能を実装することで、高速かつ安定した周波数で振動するスキャナ。弊社製走査型レーザ顕微鏡「OLS1100」に組み込まれています。
*6 能動湾曲カテーテル
カテーテル(管)先端に単結晶シリコンを用いたピエゾ型圧覚MEMSセンサを複数配置し、センサが管内壁等に接触すると、それぞれ対向に配置された形状記憶合金ワイヤに通電加熱することで壁面から遠ざける方向に湾曲できるカテーテル。
*7 診断用触覚センサ
対象物にセンサが接触した時に変化する振幅及び周波数を測定することで、粘性と弾性を分離して検出する圧電体基板を使ったMEMSセンサ。
*8 フリーフローモジュール
ガラス板の貼り合せと微細加工技術により、わずか10μmの隙間をもつ微小流路を設け、電気泳動によりDNAやタンパク質の電荷特性の差に従い試料から目的物を分離・抽出するモジュール。
*9 たんぱく質の力測定
カンチレバーの感度をさらに高めたプローブにより、DNA・たんぱく質などの分子間相互作用力を観測すること。
オリンパス光学工業株式会社は、2003年10月1日をもってオリンパス株式会社と社名変更いたしました。
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