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2002年 7月 2日
3次元構造の基板の採用で
従来の1/10以下の時間で迅速な反応
PamGene社(オランダ)と
次世代DNAマイクロアレイシステムを共同開発
オリンパス光学工業株式会社(社長:菊川 剛)は、3次元構造の基板に調べたい疾患関連遺伝子等の任意のプローブを固着し、サンプルとの効率的な反応により、従来の1/10以下注1の時間(30分~2時間程度)で迅速かつ高精度な遺伝子解析を可能とする次世代DNAマイクロアレイ*1システムをPamGene(パムジーン)B.V.(以下PamGene社、所在:オランダ・ヘルトゲンボシュ市、CEO:Tim Kievits)と共同開発しました。反応制御・検出装置を一体化したシステムで市場開拓を開始します。
注1 2002年7月2日時点。
DNAマイクロアレイは、今や遺伝子機能解析の研究にとって不可欠なツールとなっています。従来のマイクロアレイでは、基板として2次元(平面状)のスライドガラス等が用いられていましたが、当マイクロアレイは3次元構造をもつ独自のフロースルー型多孔質膜を採用しています。各フロースルー孔内にプローブDNAを3次元的に固着し、そこにサンプルである遺伝子を含んだ溶液を反復して通過させることにより反応効率と精度を高めています。サンプル添加からデータ取得までの時間は、従来のおよそ1/10以下へと大幅な短縮を実現すると同時に、従来課題であった反応結果の再現性についても解決しています。検索対象遺伝子を目的別に数十~数百種類の比較的少数に絞りこみ、迅速かつ高精度を特長としたフォーカスドアレイ*2として、将来的には研究市場のみならず臨床検査市場においても普及していくと考えています。
当マイクロアレイシステムのアプリケーションとしては、遺伝子機能解析で重要な遺伝子発現頻度解析*3のみならず、経時的なシグナル検出と温度制御を組み合わせたカイネティック測定*4を世界で初めて実現したことにより、1塩基配列の違いを高精度に検出しなければならない遺伝子突然変異*5やSNP*6等の解析にも応用可能です。さらに、ユーザーのご要望により遺伝子種ごとに設計したプローブを載せたマイクロアレイを商品としてご提供するサービスも行ないます。
当社およびPamGene社は、それぞれ日本国内および欧州において当マイクロアレイシステムの技術評価を進めており、国内では名古屋市立大学大学院医学研究科・実験病態病理学 白井 智之 教授、大阪市立大学大学院医学研究科・都市環境病理学 福島 昭治 教授、および大雄会医科学研究所 玉野 静光 所長らのグループと共同研究を実施し、発癌に関する化学物質の毒性評価*7への応用性を評価しています。
今後もアプリケーション開発を大学や研究機関のご協力のもと積極的に進めていくことで、遺伝子機能解析の研究を支援し、テーラーメード医療の実現を目指し社会に貢献してまいります。
プローブスポット拡大図 プローブスポット拡大図
プローブスポット拡大図:
1スポットあたり数十万本の孔(フロースルー孔)が存在する。
マイクロアレイの構造図
マイクロアレイの構造図
マイクロアレイの構造図
「マイクロアレイの構造図」
PamGene社と共同開発した次世代DNAマイクロアレイ PamGene社と共同開発した次世代DNAマイクロアレイ
PamGene社と共同開発した次世代DNAマイクロアレイ PamGene社と共同開発した次世代DNAマイクロアレイ
Pamchip
「PamGene社と共同開発した次世代DNAマイクロアレイ」
*1 DNAマイクロアレイ:
数多くの遺伝子の発現や変異を検出するセンサデバイスで、スライドガラスなどの基板上に直径百マイクロメートル程度のスポットで検出用プローブを固定化したデバイス。
*2 フォーカスドアレイ:
目的別に検索対象を絞り込んだ、数十~数百種類の比較的少数のプローブを搭載したアレイ。
*3 遺伝子発現頻度解析:
細胞内に存在するmRNA(DNAの情報を伝達するRNA)の種類や量を調べる解析。
*4 カイネティック測定:
ある反応の起こる速度を種々の条件下で測定し、それを解析することにより、より詳細に反応機構を明らかにする測定。
*5 遺伝子突然変異:
遺伝情報であるDNAの塩基配列の一部が、置換あるいは挿入・欠落し、本来の遺伝子情報が失われること。がん等の疾患の原因となる。
*6 SNP:
ゲノム上で300~500塩基に1個出現するとされている1塩基の違いを言い、通常SNP(Single Nucleotide Polymorphism)と呼ばれている。病気になり易さの判定、薬剤に対する応答性の違い、薬剤に対する副作用の違いを調べるマーカーとして期待されている。
*7 化学物質の毒性評価:
化学物質の人を含めた生態系に対する安全性を評価すること。
PamGene社の概要
Chief Executive Officer Tim Kievits
所在地 Burgemeester Loeffplein 70A 5211 RX 's-Hertogenbosch,The Netherlands
連絡先 Tel: +31 (0)73 615 80 80
Fax: +31 (0)73 615 80 81
URL http://www.pamgene.com/
事業概要 PamGene社は、第2世代マイクロアレイプラットフォームと遺伝子発現解析システムにつき特許を保持するポストゲノムバイオテクノロジーカンパニーであり、GIMV社、Alta Partner社、Life Science Partner社、およびオリンパス光学工業(株)などから投資を受け、さらにオリンパス光学工業(株)とは戦略的パートナーシップを締結しています。このたび共同開発したマイクロアレイは、より迅速、かつ正確な、しかもコスト効率に優れた解析を可能にし、これらの技術を学術研究、製薬・バイオテク産業の研究開発分野やヘルスマネジメント分野、さらに農業・食品等の非製薬ライフサイエンス分野に供給していきます。PamGene社は、コアテクノロジーであるマイクロアレイをベースとした多様な商品群により、創薬や学術研究、およびヘルスマネジメントやバイオテクノロジー分野の研究・開発に大きく貢献します。
オリンパス光学工業株式会社は、2003年10月1日をもってオリンパス株式会社と社名変更いたしました。
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