本文の始まりです


2004年 1月26日
オリンパス、「自由曲面プリズム方式」を採用した薄型レンズユニットを開発
高画素対応の携帯電話向けカメラモジュール市場に参入
「自由曲面プリズム方式」薄型レンズユニット
「自由曲面プリズム方式」薄型レンズユニット
オリンパス株式会社(社長:菊川  剛)は、自由曲面(フリーシェイプト)プリズム※1方式を採用したカメラ付き携帯電話用レンズユニットを開発しました。今回試作したカメラモジュールでは1.3メガ対応で厚さを8.5ミリメートルに抑えることができました。業界でも最高水準の薄型設計となります。レンズユニットの厚さを大きく変えずに、携帯電話向けとしては高画素の2メガピクセルを越える撮像素子にも対応可能な光学系である点が大きな特長です。今秋には撮像素子などと組み合わせたカメラモジュールとして製品化を目指します。
背景
カメラ付き携帯電話は幅広いユーザーからの高い支持を受け、急速に普及してきました。同時にデジタルカメラ部分の機能も大幅に進歩を重ね、現在では最高2メガピクセルクラスの撮像素子を搭載した製品も市場に投入されています。
今後も精度の高いデジタルズーム機能の搭載やより高精細な画像を得るために、カメラ付き携帯電話のさらなる高画素化が見込まれていますが、既存のレンズユニットで使用されている方式(共軸系設計)では画素数が多くなればなるほど光学設計上厚みも増す仕組みとなっており、新たなレンズの開発が必要とされていました。
自由曲面プリズム方式の薄型レンズユニットの特長
今回オリンパスが開発した自由曲面プリズム方式の薄型レンズユニットは、複雑な曲面を持つ2つのプリズムを水平に配し、光路を幾重にも折り曲げて撮像素子へ入射する点が特長です(図1参照)。従来の共軸系設計のレンズユニットは、レンズを高さ方向に重ねていく方式(図2参照)のため、高画素に適した光学設計を行う際はレンズ枚数を増やす必要があり、枚数に応じて厚みも増してしまう仕組みでした。自由曲面プリズム方式では、水平にレンズを配置することから厚みへの影響が少なく、カメラモジュールの厚さを変えずに、高画素に適した光学設計が可能となります。
また、自由曲面プリズムでは、プリズム内のすべての反射面や屈折面を回転対称でない自由な曲面で設計するため、少ない部品点数で収差※2を良好に補正することができます。今回試作した光学系では、自由曲面プリズム2個で、従来の共軸系レンズ3~5枚相当の性能を持っており、設計段階では中心部で1mmあたり250本以上、最周辺部でも200本以上という高い解像力を実現しています。
これに加え、自由曲面プリズム方式の薄型レンズユニットは、光路を幾重にも折り曲げて撮像素子へ入射する特長から、CCDなどの撮像素子の中心から周辺部まで光を均等に垂直入射させることができます。光が撮像素子へ斜めに入る「斜入射」は、光を通して画像を記録する撮像素子にとって画質がおちる原因となります。斜入射を排し、撮像素子の周辺部まですべて垂直に入射できることは、撮像素子の性能を最大限引き出し、より高画質な画像を記録できることを意味します。
図1 「自由曲面プリズム方式」模式図 図2 共軸系設計模式図
図1 「自由曲面プリズム方式」模式図 図2 共軸系設計模式図
今後の展開
オリンパスでは、今回開発したレンズユニットと撮像素子やフレキシブル基板など関連部品で構成したカメラモジュールの製品化を目指します。今春から当社辰野工場で試作生産を開始、今秋には量産体制をとり、携帯電話メーカーへ本格的な販売開始を予定しています。カメラ付き携帯電話向けカメラモジュールの売上は、3年後300億円を見込んでいます。
※1 自由曲面プリズム:
回転対称でない自由形状のレンズ面とプリズムを融合させてレンズ作用を持たせた光学素子。
※2 収差:
理想状態からの光線のずれ。収差が大きいとレンズ性能が悪くなる。
オリンパス光学工業株式会社は、2003年10月1日をもってオリンパス株式会社と社名変更いたしました。
  • 本リリースに掲載されている内容は、報道関係者向けに発表した情報です。
  • 掲載内容は、発表日現在の情報であり、ご覧になっている時点で、予告なく情報が変更(生産・販売の終了、仕様、価格の変更等)されている場合があります。
  • 掲載されている社名、製品名、技術名は各社の商標または登録商標です。


本文の終わりです