2004年 9月27日 | |||
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新光学系システム「UIS2」を搭載した当社の
正立顕微鏡「Power BX Plus」(写真左) 倒立顕微鏡「Power IX Plus」(写真右) |
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「UIS2」対物レンズ ラインアップ |
オリンパス株式会社(社長:菊川 剛)は、新しい顕微鏡光学系システム「UIS2」を開発、生物用の正立顕微鏡「Power BX plus」、倒立顕微鏡「Power IX plus」の両シリーズに搭載し、10月1日より日本で発売、順次世界で展開します。「UIS2」は対物・接眼レンズや関連アクセサリーを含む約190製品からなり、当社の生物顕微鏡ラインアップの心臓部となる新しい光学系です。全ての「UIS2」のラインアップは、当社で推進している環境基本計画に沿って、鉛などの有害物質を含まないエコガラスを採用し、環境問題に配慮した商品設計をすると共に、顕微鏡に求められる基本性能を飛躍的に向上させました。生命科学、医学の先端研究分野や、製薬、臨床市場などに向け、更にパワーアップした「Power BX plus」、「Power IX plus」を導入し、一層の売上拡大を図ります。 |
尚、「Power BX plus」シリーズ、「Power IX plus」シリーズは9月29日(水)~10月1日(金)福岡マリンメッセで開かれる「第63回日本癌学会学術総会(学会長 桑野 信彦)」併設の展示会に出展いたします。 |
発売の概要 | ||||||
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「UIS2」の主な特長 |
1. | 世界最高レベルの蛍光観察性能を実現 | |
2. | 将来の研究ニーズを先取りした光学性能:幅広い波長域での蛍光観察が可能に | |
3. | デジタルイメージング向けに最適化された光学系 | |
4. | 臨床検査のニーズに対応:検査の効率を高める見えの良さを実現 | |
5. | 環境への配慮:鉛フリーのエコガラスを採用 | |
市場導入の背景 |
医学・生物学の先端研究分野では、生きた細胞を「観る」・「測る」・「操作する」研究が盛んに行われています。生きた細胞を研究することにより、生体に近い状態でのタンパク質、神経などの機能や役割の解明、それに基づいた創薬への応用の可能性などが考えられます。これらの先端研究分野では、特に生きた細胞の特定の部位を蛍光試薬で染色する「蛍光観察」が主流で行われていますが、光を標本に照射することによる生きた細胞へのダメージを最小限に抑えることや、デジタルイメージングへの対応が求められています。また、細胞のより深い内部構造の観察ニーズも増えてまいりました。 |
一方、臨床市場では、デジタルイメージングへのニーズのほかに、更なる検査の効率化が求められており、これらのニーズを実現するために、性能を大幅に向上した顕微鏡光学系のラインアップが望まれていました。 |
更に、近年の環境問題への意識の高まりを踏まえ、環境へ配慮した製品の開発が企業の社会的責任として求められています。 |
当社では、1993年から顕微鏡光学系システム「UIS※1」シリーズを導入して好評を得てきました。今回このシリーズを更にアップグレードした「UIS2」を開発し、当社主力の顕微鏡である「Power BX plus」・「Power IX plus」シリーズをはじめ、全ての生物顕微鏡ラインアップに搭載致します。飛躍的に機能が高められた新しい顕微鏡のラインアップを一斉に導入し、売上拡大を図ります。 |
※1 | UIS:「Universal Infinity System」の略で高解像度、システムの拡張性に優れていることなどが主な特長の、当社の無限遠補正光学系の総称。 | |
「UIS2」の主な特長の詳細 |
1. | 世界最高レベルの蛍光観察性能を実現 | |
1) | 「UIS2」の対物レンズは、新開発のレンズコーティング技術、厳選されたガラス材の採用により、蛍光観察時のノイズとなる自家蛍光を低減し、S / Nが最大で従来の約1.5倍に向上しました。これにより、短時間で微弱な蛍光を効率良く検出でき、標本へのダメージや蛍光褪色を低減することができます。 | |
2) | 特に蛍光観察用60倍の対物レンズ「PLAPON60XO」は従来1.4だった開口数※2を1.42とし、蛍光イメージング用としては、世界最高クラスの光学性能を実現しました。 | |
3) | 蛍光試薬の特性に最適化された新蛍光ミラーユニット、対物レンズから発する自家蛍光を最小限に抑える新開発の輪帯照明ユニットなど、高S / Nを実現するアクセサリーも充実しています。「UIS2」対物レンズと、これらアクセサリーの組み合わせにより、従来の「UIS」光学系で好評であった蛍光観察性能を一層高めることに成功しました。 | |
※2 | 開口数:Numerical Aperture:この数字が大きいほど、より多くの光をレンズに取り込むことができ、明るく高解像度な画像を得ることができる。 | |
2. | 将来の研究ニーズを先取りした光学性能:幅広い波長域の蛍光観察が可能に | |
1) | 蛍光を用いて、細胞内部のより深部の構造を観察するニーズは、今後更に高まると予想されますが、光をより深い部分に到達させるためには、長い波長の照明光を使う必要があります。「UIS2」の対物レンズは、新開発のレンズコーティング技術により、透過率が飛躍的に向上し、幅広い波長域でも明るい観察画像を得ることができます。従来のレンズと比べ、特に近赤外域の透過率を大幅に高めたことにより、1本の対物レンズで紫外から近赤外域まで、幅広い波長に対応しています。 | |
2) | 最高級対物レンズ「UPLSAPO」シリーズは、一度に複数の蛍光を用いて観察するいわゆる「マルチカラー蛍光観察」で性能を発揮します。可視域:430nmから近赤外域:1000nmまでの色収差※3を高度に補正しているため、超広波長域にわたる複数の蛍光もピントズレが無くクリアな画像を提供します。 | |
3) | 対物レンズだけでなく、テレビカメラアダプター、結像レンズ、三眼鏡筒などのシステム全体でも近赤外域の透過率が向上し、デジタルイメージングや幅広い標本への対応を可能にしています。 | |
※3 | 色収差:レンズを通して観察像を結んだ時の理想的な像と実際の像のずれ。色収差を補正することによって、同時に複数の異なる波長の蛍光を、ピントがずれることなく観察できる。 | |
3. | デジタルイメージング向けに最適化された光学系 |
CCDカメラの性能を最大限に生かすため、光源から対物レンズ、CCD表面までの色温度を太陽光に近づけました。それにより、標本の忠実な色情報を得ることができ、モニタ上でも優れた色再現ができます。また、当社独自のシミュレーション技術により設計された、標本に均等に光を照射できる照明システムなど、デジタルイメージングに最適な顕微鏡システムを実現しました。 | |
4. | 臨床検査のニーズに対応:検査の効率を高める見えの良さを実現 |
新開発の接眼レンズ「WHN」※4シリーズは、レンズ全面にマルチコーティングが施され、透過率が高められたことにより、コントラストが向上し、より鮮明な見えを実現しました。「UIS2」の対物レンズとの組み合わせにより、染色標本の観察時、背景はより白く抜け、標本の染色が、より鮮明に観察できるようになりました。これにより1つの標本の検査にかかる時間を短縮し、検査の効率化に大きく貢献いたします。 | |
※4 | WHN:Wide field High eye point Newの略で視野を広くして観察しやすくしたレンズ。 | |
5. | 環境への配慮:鉛フリーのエコガラスを採用 |
「UIS2」は最高の光学性能とともに、環境への配慮を両立しました。当社で推進している環境基本計画に沿って、全ての対物レンズと接眼レンズ、及びアクセサリー類には、鉛などの有害物質を含まないエコガラスを採用しています。 | |
正立顕微鏡「BX51」の主な仕様 |
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倒立顕微鏡「IX71」の主な仕様 |
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関連リンク | ||
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