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2004年11月26日
手術者の眼精疲労の低減に向けて、 「高精細3D観察システム」を開発
~縫合などの操作が必要な内視鏡下外科手術において、従来より自然な立体画像を実現~
オリンパスメディカルシステムズ株式会社(社長:宮田 耕治)は、従来の3D内視鏡で指摘されていた手術者の眼精疲労の低減に向けて、画像の歪みが少ない新光学系の内視鏡と高精細な小型ディスプレイを搭載した表示装置を組み合わせた「高精細3D観察システム」を開発しました。今後は、この技術の検証と更なる研究を重ねて実用化を目指していきます。
今回、開発した「高精細3D観察システム」は、
(1) 3D表示装置とバランスアーム
(2) 3D内視鏡と保持用アーム
(3) 助手用2Dモニター
(4) 3D表示装置架台(各種コントローラを積載)
から構成されており、当社が持つ内視鏡と手術用顕微鏡の技術を活かしています。
「高精細3D観察システム」の試作機
「高精細3D観察システム」の試作機
技術開発の背景
今日では、前立腺摘出手術や冠動脈バイパス手術など、細かい操作が必要な症例においても内視鏡下外科手術が実施されています。欧米では、3D内視鏡を標準で搭載した専用の手術用ロボットを使用している施設もあります。日本においては、内視鏡外科手術用の3D内視鏡が1992年頃から開発され、当社も1996年に専用眼鏡を装着するシステムを商品化しています。従来の3D内視鏡には、液晶シャッター眼鏡や偏光眼鏡を装着するタイプや眼鏡を使用せずにモニタで3D化するタイプなどいくつかのタイプがありますが、観察による眼精疲労が指摘され、広く普及するには至っておりません。眼精疲労は、肉眼で直接ものを観察する時とは異なった不自然な画像を観察することによって、眼球に不自然な動きを強いることによって起こると考えられます。その原因はいくつか考えられますが、(1)左右の眼でとらえた画像の差(大きさ・解像力・明るさ・色・歪みなど)が大きい、(2)左右の画像のクロストーク(右画像が左目でも、左画像が右目でも見えてしまうこと)がある、などが挙げられます。
今回、開発した「高精細3D観察システム」は、明るくクロストークのない表示装置と3D/広角(2D)切り替え可能な内視鏡、自由な観察姿勢を位置できるバランスアームなどから構成されており、従来より自然な立体画像観察の実現を目標として新しく光学系を設計いたしました。
オリンパスメディカルシステムズは、早期発見・治療につながる「体にやさしい医療」、高い品質や性能を提供しつづける「高い信頼性」、効率を高める製品・サービスの提供を通じた「優れた効率性」を追求し、低侵襲の診断治療事業領域で、医療従事者、病院関係者に対し、安全で安心できる高効率の医療手段を提供しつづけることで、よりよい医療の実現に貢献していきます。
高精細3D観察システムについて
1. 眼精疲労を起こしにくいと考えられる光学系
 
2つの高精細小型ディスプレイ(SXGA6インチ液晶モニター:水平方向1280画素、垂直方向1024画素)を内蔵した「3D表示装置」は、左右の目でそれぞれのディスプレイを別々に見ているので、眼精疲労の原因といわれるクロストークが発生しません。画像の歪みが少ない光学系を採用した「3D内視鏡」と組み合わせることで、左右の画像の差が少なくなり、従来より自然に近い立体画像観察ができます。
クロストークが発生しない光学系
図:クロストークが発生しない光学系
2. 使い勝手を考慮したシステム
  「3D表示装置」はバランスアームによって、「3D内視鏡」は保持用アームによって、自在に配置できるので、術者は自由な観察姿勢を得ることができます。
3. 3Dと広角(2D)の切り替えが可能な3D内視鏡
  内視鏡は必要に応じて、3Dと広角な2Dの切り替えが可能です。3D観察は、縫合など奥行き感が要求される微細な処置に、2Dの広角観察は、術部と鉗子の位置関係などオリエンテーションの確認に有効です。このために3D光学系は歪みが少ない画質優先の光学設計を採用、2D光学系は広角観察を目的とした光学設計を採用しています。
3D内視鏡の光学系
図:3D内視鏡の光学系
2004年10月1日より、オリンパス株式会社の医療事業は、オリンパスメディカルシステムズ株式会社として分社いたしました。
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