2006年4月13日
オリンパス、アメリカの光通信システム会社Movaz社との合弁会社を設立
光通信機器におけるMEMS※1技術を活かした光通信用コンポーネント市場へ本格参入
オリンパス株式会社(社長:菊川 剛、以下オリンパス)は、Movaz Networks Inc.(モバッズネットワークス社、以下Movaz社、本社: アメリカ・ジョージア州アトランタ、Chairman and CEO:Bijan Khosravi)と合弁会社(社名:Olympus Microsystems America, Inc.,カリフォルニア州サンノゼ)を設立しました。
オリンパスはこれまで培ってきたMEMSファンドリーサービスの実績と光学技術を活かし、今後はこの新会社を通じて、光通信ネットワーク機器の中でも優れた保守・運用性で注目されるROADM※2ユニットのキーコンポーネント「WSS※3」の開発・製造・販売を行い、5年後60億円の売上げを目指します。
今回の合弁会社設立の背景
オリンパスは2002年2月にMEMSファンドリーサービス(微細加工受託サービス)を開始し、レーザ顕微鏡用高速スキャナや加速度センサなど、幅広い市場ニーズに応えてきました。その中でも光通信市場からの試作、生産受託が大きな割合を占めて来ています。一方Movaz社は、優れた保守・運用性を誇る、最先端の通信技術を活かしたROADMなどのネットワーク機器の製造・販売を行ってきました。
オリンパスは、2003年8月からMovaz社が製造するROADMユニットに搭載されるWSS内キーデバイスの開発・製造受託を開始。その実績が評価されて、WSSを含むMovaz社のROADMユニットは、2005年5月のDRAGON Project※4に採用され、大規模通信の実証を含めたプロジェクトの成功に繋がりました。
今回の合弁会社設立により、今後はオリンパスのMEMS技術とMovazの光通信市場における経験とシステム技術を合わせ持つことで、さらに競争力のある光通信システム・コンポーネントの提供が期待されます。顧客となるシステムベンダーにとっては、初期投資が少なく、かつ運用コストの小さいネットワーク構築ができ、エンドユーザーにとっては、大容量通信をより快適なインターネット環境で利用可能となります。
※1 | MEMS[Micro Electro Mechanical Systems]
微細な機械的構造物と電気回路を一体としたもの。この技術を応用して製作された微小で可動な構造のMEMSミラーを利用し、光が反射する方向を3次元的に変更することが可能となった。 |
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※2 | ROADM[Reconfigurable Optical Add Drop Multiplexer]
光ファイバーを使った通信技術であるDWDMシステム[Dense Wavelength Division Multiplexing:高密度波長分割多重方式]の一つ。光通信網におけるノード(入出力の切り替え地点)において、以前のOADM[Optical Add Drop Multiplexer]という機器では特定の波長の光信号の挿入/分岐(add/drop)しか出来なかったが、ROADMでは挿入/分岐を信号の波長を自由に選択することが出来る。 |
※3 | WSS[Wavelength Selective Switch]
波長選択スイッチ。光ファイバーから入ってきた光信号を波長ごとに分離し、独立に光路を切り替えかつ光の強度なども制御できる機能をもつ光通信用コンポーネント。 |
※4 | DRAGON Project[Dynamic Resource Allocation via Generalized MultiProtocol Label Switching (GMPLS) Optical Networks Project]
米国立科学財団が出資する実験的ネットワーク。NASA,マサチューセッツ工科大学,メリーランド大学などによる共同研究プロジェクト。2005年5月に開始されたこのプロジェクトで使われたネットワーク機器に、オリンパス製のWSS内キーデバイス搭載のMovaz社のROADMが使用され、ダイナミックで管理能力の高いネットワークシステム構築に貢献しました。 |
光通信用コンポーネントにおけるMEMS
ブロードバンドの普及によりインターネットが急激に増大する中、光通信はFTTH※5から長距離ネットワークまで、高速で大容量の通信手段として重要な働きをしています。
そうした中、光通信におけるシステム(機器)市場では、単純な通信容量拡大への適応だけではなく、初期投資と運用コストが少なくて済むネットワークシステムが求められています。
そこで近年光通信システムのキーコンポーネント開発において期待が高まっているのが、MEMS技術です。この技術により実現される光通信キーコンポーネントが従来の電気回路に代わることで、伝送装置(ROADMなど)を小型化し消費電力を低下させて上記コストの削減を図り、しかも拡張性に富むことで、ネットワーク経路の変更も容易に可能となりました。
2002年2月よりMEMSファウンドリーサービスを開始したオリンパスは、その実績を活かしてこれまでにも光通信キーコンポーネントの中核となるデバイスを開発・製造してきました。今回のMovaz社との合弁会社設立を受けて、さらにMEMSアプリケーションの拡大を図っていきます。
※5 | FTTH [fiber to the home]
通信事業者の基地局から各家庭まで光ファイバーを敷設すること。 既存の銅線を光ファイバーに置き換えることによって,高速・広帯域のデータ伝送を可能にする。 |
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Movaz社 会社概要
社名: Movaz Networks Inc. :モバッズネットワークス
所在地: アメリカ・ジョージア州アトランタ
代表者: Bijan Khosravi(Chairman and CEO)
事業開始: 2000年6月
資本金: US$175 Million (2005年12月現在)
売上高: US$34 Million (2004年実績)
URL: http://www.movaz.com/
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