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2006年5月17日

発がんから転移における薬理研究分野、薬効・代謝の研究分野に向け

オリンパス、小動物用の生体観察システム「OV100」を新発売

幅広い観察倍率と世界最高クラスの高感度を実現

生体観察システム「OV100」

生体観察システム「OV100」

オリンパス株式会社(社長:菊川 剛)は、がんの発生や転移メカニズム、薬効の解明につながる生体観察システム「OV100」を5月17日から発売いたします。「OV100」は小動物を全体像から細胞レベルまで観察することができる世界最高クラスの高感度な光学系を採用しており、がんの転移や血流、カルシウムイオンの変化などをリアルタイムで観察することが可能です。発がんから転移における薬理研究分野のほか、薬効、代謝の研究分野などに向けて販売していきます。

2006年4月末時点、小動物イメージングの分野において。オリンパス調べ。

「OV100」は2004年11月に「生体観察装置」として技術発表したもので、生体透過性の高い近赤外計測の対応や操作性の向上、自家蛍光除去などの改良を重ね、この度製品化となりました。

なお、「OV100」は2006年5月17日(水)~19日(金)に東京ビックサイトで開かれる「第5回国際バイオEXPO」にパネル展示、2006年6月15日(木)~16日(金)に学術総合センター(東京)で開催される「第10回がん分子標的治療研究会」(会長:矢守隆夫 (財)癌研究会癌化学療法センター分子薬理部)に展示、また6月18日(日)~23日(金)に国立京都国際会館で開催される「第20回国際生化学・分子生物学会議/第11回アジア・オセアニア生化学者・分子生物学者連合会議」(事務局長:谷口直之 大阪大学大学院医学系研究科生体制御医学専攻生化学分子生物学講座・教授)にパネル展示いたします。

発売の概要

製品名 発売日
生体観察システム「OV100」 2006年5月17日

「OV100」の主な特長の概要

  1. 幅広い観察倍率により、全体像から細胞レベルまでの観察が1台で可能
  2. 世界最高クラスの高感度光学系を搭載し、短時間撮影を実現
  3. 観察操作の電動化により、優れた操作性を実現
  4. 観察に必要な装置を全て含んだオールインワンシステム
  5. 優れた蛍光観察性能:可視域から近赤外域までの幅広い蛍光像観察に対応
    自家蛍光除去機能を搭載し、ノイズの少ない観察が可能

開発の背景

ヒトが病気になる、回復する、栄養を吸収・分解・消化するなどすべての生命現象は、分子の連鎖(信号伝達:シグナルパスウェイ)によって生じています。そこで、先端の生命科学の研究分野では、生体内の分子の動きを観察する「分子イメージング」のニーズが高まっており、例えば蛍光を用いて生きた細胞やタンパク質、分子の動態を画像化して解析する「蛍光分子イメージング」が盛んに行われています。これらの動態を解析することで、早期がんの発見、がん発生・転移メカニズムや抗がん剤の効きやすさなどを解明することができます。それと共に、臨床への応用を踏まえた基礎・臨床の双方の分野でコミュニケーションを図る研究、いわゆる「トランスレーショナルリサーチ」の重要性が認知されています。将来、基礎研究の結果が臨床に応用され、副作用の低減につながる個人に合った薬の投与などのテーラーメード医療が実現すれば、患者のQOL(Quality of Life) の向上だけでなく、過剰な薬の投与をなくすことによって、医療費削減にも大きく貢献できます。

当社では、生きた細胞を高精度で3次元的に観察できる共焦点レーザ走査型顕微鏡「FV1000」や、広い観察範囲と高感度を両立させた新しいジャンルの研究用マクロズーム顕微鏡「MVX10」など分子イメージング装置として使える顕微鏡のラインナップを拡充してまいりました。そして2005年末には、世界最小の直径1.3mmのスティック対物レンズで生きた小動物の体内を直接観察できるin vivoレーザ走査型顕微鏡「IV100」を発売開始しました。今回、小動物の全体像から細胞レベルまで、広い範囲で観察できる「OV100」を導入することで、マクロからミクロに対応する小動物の分子イメージング装置のラインアップの拡充を図り、トランスレーショナルリサーチを加速する取り組みを展開していきます。

「OV100」の主な特長の詳細

  1. 幅広い観察倍率により、全体像から細胞レベルまでの観察が1台で可能
    0.14倍(観察視野:63mm x 47mm)から16倍(観察視野:0.6mm x 0.45 mm)までの広い倍率範囲を1台でカバーします。全体像で観察することにより、どこの組織で発現が起こっているかを確認し、そのまま発現している場所を拡大することで、細胞レベルまで観察することができます。例えば、発がんから転移までのメカニズムを固体、組織、細胞のレベルで解析することが可能です。

    対物レンズの倍率を切り換え侵襲的に観察した、マウスリンパ節へのがん細胞転移
    対物レンズの倍率を切り換え侵襲的に観察した、マウスリンパ節へのがん細胞転移

    作例提供:Dr. Kensuke Yamauchi、Dr. Katsuhiro Hayashi、 Dr. Meng Yang、 Dr. Robert M. Hoffman/AntiCancer Inc., (USA)

  2. 世界最高クラスの高感度光学系を搭載し、短時間撮影を実現
    明るい蛍光観察ができる新開発の高感度光学系を搭載しました。これにより短い露光時間で撮影ができ、生体への影響を最小限に抑えることができるだけでなく、多少動きがあるような生体の撮影も可能です。また、光学系や標本ステージが暗箱に納められているため、暗室を用意しなくても、鮮明な蛍光画像が容易に得られます。
    2006年4月末時点、小動物イメージングの分野において。オリンパス調べ。
  3. 観察操作の電動化により、優れた操作性を実現
    焦点合わせ、観察位置合わせ、観察する蛍光波長の切り換えなどの観察操作は、全て電動で行えるので、簡単で正確な操作が可能です。
  4. 観察に必要な装置を全て含んだオールインワンシステム
    小動物用マウスピースを装備した麻酔装置など、観察に必要な全ての装置を含んだオールインワンシステムです。
  5. 優れた蛍光観察性能
    • 可視から近赤外まで幅広い蛍光観察が可能
      近赤外域まで透過率を上げた光学系の搭載により、可視域の蛍光タンパク質や蛍光試薬だけでなく、近赤外蛍光物質を使用した生体内部の観察にも対応します。
    • 自家蛍光除去機能を搭載し、ノイズの少ない観察が可能
      観察時にノイズとなってしまう自家蛍光を独自のアルゴリズムにより除去するアンミキシング機能を搭載しています。皮膚などから発生する自家蛍光と蛍光シグナルを自動的に分離するので、ノイズの少ない観察が可能です。
    • 生体組織に光を当てると、生体が本来持っている蛍光成分により、微弱な光を発光する現象。

「OV100」仕様

  高倍モード 低倍切換モード
Zoom 1 2 3
倍率 光学倍率 16×~1.6× 0.89× 0.56× 0.14×
観察 観察範囲[mm] 5.5×4.1~0.5×0.4 9.9×7.4 16×12 63×47
標準観察 明視野、蛍光:GFP、RFP、Cy5.5、Cy7(蛍光色素・タンパクは代表例)
蛍光励起光源 XeまたはHg-Xeランプボックス(150W)使用
波長は、8ポジションの吸収フィルタ(φ25mm)で切替
蛍光観察用フィルタ 吸収フィルタにより、指定した波長の蛍光像が取得可能
6ポジション、フィルタ径(φ32mm)
明視野照明 ライトガイド式、光源100Wハロゲン
ステージ 高精度電動XYステージ
フォーカス ステージ駆動による
カメラ オリンパス製カラーカメラDP71(標準)、Cマウントによる取り付け
ソフトウェア CCDカメラ専用ソフトによる静止画・動画撮像
ポスト処理による画像解析・処理機能
電気容量(100V) コンピュータ:7.1A 本体:8.5A
外形寸法 550(W)×554(D)×1000(H)mm
専用机(キャスタ付き):1200(W)×700(D)×600(H)mm
質量 約100Kg
計測チャネル一覧
計測チャネル 明視野 GFP RFP 680 750
蛍光物質(代表例) - GFPFITC RFPDsRed AngioSense680TM ※ AngioSense750TM ※
GFP、RFP、Cy5.5、Cy7、FITC、DsRed、AngioSense680TM、AngioSense750TMなどの蛍光色素・タンパクは、いずれも当社の商品ではありません。 AngioSense680TM、AngioSense750TMはVisEn Medical社の登録商標です。
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