2007年1月29日
オリンパス、消化器内視鏡の特殊光観察第3弾
赤外光観察(IRI)の実用化により、粘膜深部血管の観察が期待される
「EVIS LUCERA上部消化管汎用ビデオスコープ
OLYMPUS GIF TYPE RQ260Z」発売
オリンパスメディカルシステムズ株式会社(社長:森嶌治人)は、胃がんの深達度診断と治療方針の判定などを目的に、赤外光を照射して通常光観察では視認が難しく、がんの浸潤に関与すると言われる粘膜深部の血管増生や血流情報の観察が期待される赤外光観察(IRI)が可能な「EVIS LUCERA上部消化管汎用ビデオスコープ OLYMPUS GIF TYPE RQ260Z」を2007年2月1日から国内で発売します。
同スコープは、赤外光観察に加え、通常光観察や90倍※1の拡大観察、さらに、ボタン1つの操作で狭帯域光観察(NBI)※2への切り替えも可能です。
※1 | 弊社条件による。 |
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※2 | 「NBI」はNarrow Band Imagingの略。血液中のヘモグロビンに吸収されやすい狭帯域化された2つの波長(390~445nm/530~550nm)の光を照射することにより、粘膜表層の毛細血管、粘膜微細模様を強調表示する特殊光観察。 |
発売の概要
製品名 | 発売時期 |
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「EVIS LUCERA上部消化管汎用ビデオスコープ OLYMPUS GIF TYPE RQ260Z」※3 | 2007年2月1日 |
※3 | 「EVIS LUCERAビデオシステムセンター OLYMPUS CV-260SL 」「EVIS LUCERA高輝度光源装置 OLYMPUS CLV-260SL」との組み合わせで使用可能。 |
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主な特長の概要
- 赤外光観察が可能な消化管ビデオスコープを実現
- 通常光観察や90倍の拡大観察が可能
- 狭帯域光観察(NBI)が可能
市場導入の背景
近年国内では、人口の老齢化に伴いがんによる死亡率が増加傾向にあります。消化器がんの中でも、胃がんの死亡率は減少傾向にあり、内視鏡をはじめとした早期診断、早期治療などの医療技術の進歩が関与していると考えられています。内視鏡は、消化管のスクリーニング(病変発見のための検査)、精密検査、治療において欠かすことができない診断・治療機器として普及してきました。内視鏡診断技術は、主に粘膜表面の微妙な色調や凹凸を捉えるための高画質化により、2002年にはハイビジョン画質を実現しています。弊社は、これに加え新たな診断ツールとして、粘膜表面に現れない血管などの病変の特徴を色調として捉える特殊光観察技術を開発し、がんなど微細病変の早期発見や術前の病変範囲の精密診断などを目的とした内視鏡ビデオスコープシステム「EVIS LUCERA SPECTRUM(イーヴィスルセラ スペクトラム)」を2006年6月に発売しました。
同システムは、粘膜表層の毛細血管や粘膜微細模様を強調表示する「狭帯域光観察(NBI)」、腫瘍性病変と正常粘膜を異なる色調で強調表示する「蛍光観察(AFI)」※4、粘膜深部の血管や血流情報を強調表示する「赤外光観察(IRI)」の3つの特殊光観察機能を搭載しています。「NBI」は弊社製の既存ビデオスコープ※5との接続により実現しており、「AFI」は、同年同月に発売した気管支ビデオスコープに引き続き、同年11月には消化器分野のビデオスコープを発売しました。そして、このたび当社消化器内視鏡の特殊光観察第3弾として、「IRI」の実用化により特殊光観察システムの基本ラインアップを整えました。
※4 | 「AFI」は、Auto Fluorescence Imagingの略。コラーゲンなどの蛍光物質からの自家蛍光を観察するための励起光(390~470nm)と血液中のヘモグロビンに吸収される波長(540~560nm)の光を照射することにより、腫瘍性病変と正常粘膜を異なる色調で強調表示する特殊光観察。 |
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※5 | 「NBI」本来の機能を発揮させるために、高画質タイプのビデオスコープを推奨します。 |
主な特長の詳細
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赤外光観察が可能な消化管ビデオスコープを実現
赤外光を照射して通常光観察では視認が難しく、がんの浸潤に関与すると言われる粘膜深部の血管増生や血流情報の強調表示により、胃がんの深達度診断や治療方針の判定など今後の内視鏡診断の発展の可能性が広がります。 -
通常光観察や90倍の拡大観察が可能
ボタン1つの操作で赤外光観察から通常光観察に切り替えが可能です。また、拡大倍率90倍の光学ズーム機能により精度の高い診断をサポートします。 -
狭帯域光観察(NBI)が可能
ボタン1つの操作で狭帯域光観察(NBI)への切り替えも可能です。これにより、術前の病変範囲の精密診断を支援する狭帯域光観察(NBI)や光学ズーム機能、胃がんの深達度診断や治療方針の判定などを支援する赤外光観察(IRI)を組み合わせることで、精度の高い診断をサポートします。 -
赤外光観察(Infra Red Imaging = IRI)の技術説明
「IRI」は、2つの赤外光(790~820nm/905~970nm)を照射することにより、通常光観察では視認が難しい粘膜深部の血管や血流情報を強調表示し、胃がんの深達度診断と治療方針の判定などへの応用が期待される技術です。粘膜深部の血管などをより高いコントラストで観察するために、内外の論文によれば、赤外光が吸収されやすい赤外指標薬剤を静脈注射した上で、(1)赤外指標薬剤の吸収が最も強い(790~820nm)、(2)赤外指標薬剤の吸収が最も弱い(905~970nm)、という特長を示す2種類の赤外波長の光を照射することにより、粘膜下層の血管像を青色で観察が可能といわれています。 -
通常光による早期胃癌の観察像例 IRIによる早期胃癌の観察像例 写真提供: 防衛医科大学校病院 第2内科 永尾重昭先生
「IRI」の期待される適用分野と応用例
胃、食道など消化管分野では、これまでに多くの論文や学会発表でその応用例が報告されています。期待される適用分野 | 期待されている応用例 |
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胃 | がんの深達度診断と治療方針の判定。がんと腺種(前癌病変)の判別。ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)後の出血予想と止血対策。 |
食道 | 食道静脈瘤硬化療法時に、硬化剤の食道・胃内分布を直接、動的・静的に観察。 |
「EVIS LUCERA上部消化管汎用ビデオスコープ OLYMPUS GIF TYPE RQ260Z」の主な仕様
光学系 | 視野角 | WIDE 140°/TELE 75°(直視) |
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観察深度 | WIDE 7~100mm/TELE 1.5~3mm | |
照明方式 | ライトガイド方式 | |
先端部 | 外径 | 10.2mm |
湾曲部 | 湾曲角 | UP:210°/DOWN:90°/RIGHT:100°/LEFT:100° |
軟性部 | 外径 | 9.8mm |
有効長 | 1030mm | |
全長 | 1350 mm | |
鉗子 | チャンネル内径 | 2.8mm |
最小可視距離 | 3mm |
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