2008年10月23日
細胞の細部を、立体的に高解像で記録できる
共焦点レーザ走査型顕微鏡の新製品
FLUOVIEW(フロービュー)「FV10i」 新発売
~新開発のソフトウェアと、ワンボックス・デザインにより、簡単操作と省スペース化を実現~
オリンパス株式会社(社長:菊川 剛)は、生物顕微鏡分野における共焦点レーザ走査型顕微鏡の新製品として、新開発のソフトウェアとワンボックス・デザインにより、簡単操作と省スペース化を実現した「FLUOVIEW FV10i」を2008年12月1日(月)から国内で販売を開始します。
共焦点レーザ走査型顕微鏡は、蛍光観察※により細胞の細部を立体的に高解像で記録できることから、バイオサイエンスの研究分野で広く使われていますが、“操作が難しい、場所をとる、価格が高い”ことが課題とされていました。今回発売する「FLUOVIEW FV10i」は、これらの課題を解決した新製品で、簡単な操作と省スペース化、低価格化を実現しています。
簡単な操作は、これまで手動で行っていた多くの操作の電動化および、新開発のソフトウェアにより実現しています。また、暗室を内蔵したワンボックス・デザインにより設置場所を選ばない省スペース化および、細胞から発する微弱な蛍光を感度良く検出することを可能にしました。さらにオリンパスのレーザ顕微鏡技術を応用した機能集約による低価格化も実現しています。
なお、「FLUOVIEW FV10i」は、同様のワンボックス・デザインを採用した新製品「FSX100」と共に、名古屋国際会議場にて合同開催される「第67回日本癌学会学術総会」<10月28日(火)~10月30日(木)>と、「第46回日本癌治療学会総会学術集会」<10月30日(木)~11月1日(土)>に展示します。
※ | 蛍光色素を導入した細胞に、光(励起光)を照射し細胞から発する微弱な蛍光により細胞を観察する方法 |
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発売の概要
製品名 | 発売日 |
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共焦点レーザ走査型顕微鏡
FLUOVIEW FV10i-W FLUOVIEW FV10i-O |
2008年12月1日 |
主な特長の概要
- 新開発ソフトウェアの「イメージマッピング機能」により、すばやく記録ポイントを設定することが可能
- 暗室不要のワンボックス・デザインにより、自由な設置場所と省スペース化を実現
- 細胞を生きたまま観察するための機能を搭載
開発の背景
生物顕微鏡が使用されるバイオサイエンス研究分野においては、近年、細胞の中でたんぱく質がどのように発現し、動き、作用するのかなどについて、さかんに研究が行われるようになりました。このような研究には、先日のノーベル化学賞の受賞対象となったGFP(緑色蛍光タンパク)に代表される蛍光タンパクを細胞に導入し蛍光観察をする手段が有効となります。蛍光観察には蛍光顕微鏡が必要ですが、なかでも共焦点レーザ走査型顕微鏡は、深さ方向の情報が取得でき、厚みのある細胞を細部まで立体的に記録することができるので、多くの研究機関で使用されています。
一方、共焦点レーザ走査型顕微鏡は“操作が難しい”というイメージが強く、大型で場所をとること、価格が高いため共同利用での購入が多く研究者一人ひとりが十分に使用する時間が取れないことが課題となっていました。そこでオリンパスではこれらの課題を克服するため、各種操作の電動化および新開発ソフトウェアによる簡単操作と、暗室不要のワンボックス・デザインによる小型化、機能集約による低価格化を実現し、「FLUOVIEW FV10i」の製品化を致しました。
主な特長の詳細
1.新開発ソフトウェアの「イメージマッピング機能」により、すばやく記録ポイントを設定することが可能
標本の中に多く含まれる細胞の中から、記録する細胞を探し特定するためには、これまで多くの経験と専門知識が必要でした。「FLUOVIEW FV10i」では、新開発ソフトウェアに搭載した「イメージマッピング機能」により、モニタ上に自動的に表示される標本全体の中から希望のエリアをマウスで選択するだけで、記録ポイントを素早く絞り込めるので、大幅な省力化を可能にします。
2.ワンボックス・デザインの採用により、自由な設置場所と省スペース化を実現
「FLUOVIEW FV10i」は10~600倍で観察可能な顕微鏡ユニットと、焦点を深さ方向に移動することで厚みのある細胞を細部まで立体的に記録するスキャンユニット、4種のレーザが照射可能なレーザユニットをボックス型の本体に内蔵したワンボックス・デザインを採用しています。スキャンユニットとレーザユニットを外付けする従来の共焦点レーザ走査型顕微鏡と比べ、大幅な省スペース化を実現します。
また、標本を設置してフロントカバーを閉じるだけで暗室と同じ効果が得られる筐体を採用しているので、暗室への設置が不要となり、設置場所を自由に選択することができます。
3.細胞を生きたまま観察するための機能を搭載
「FLUOVIEW FV10i」では、ウォータータイプとオイルタイプの2種類を用意しています。ウォータータイプの「FV10i-W」は、培養容器内の環境を温度37℃、湿度90%、CO2濃度5%に保持できる簡易インキュベータが内蔵されているため、生きた細胞を長時間にわたって安定的に観察できるタイムラプスイメージングが可能です。
また、オイルタイプの「FV10i-O」は高性能な油浸対物レンズが搭載されているため、高精細な観察・記録が可能です。
主な仕様
(●)FV10i-W のみに適用、(◎)FV10i-O のみに適用
レーザ光源部
走査部 |
紫外・可視光LD レーザ | 405nm(18mW)、473nm(12.5mW)、559nm(15mW)、635nm(10mW) |
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走査モード | 画素数: 256x256、512x512、1024x1024
走査速度: 1.1s/frame( 画素数512x512、High Speed の場合) |
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検出部 | 基本構成 | 蛍光2CH +透過位相差1CH
蛍光チャネルには回折格子とスリットによる可変バリアフィルタ機構 |
ピンホール | 蛍光2CH 共通光路に1基 | |
ズーム | 10x 対物選択時 : 1x ~ 6x,0.1x ステップ
60x 対物選択時 : 1x ~ 10x、0.1x ステップ |
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自動露出(AE) | 標本の蛍光輝度に応じたレーザ出力とフォトマルチプライア感度の自動設定 | |
照準部 | Z駆動方式 | ステッピングモータによる電動フォーカスモジュール |
対物レンズ | 10x : 専用10x 位相差対物 / NA 0.4
60x : 専用60x 位相差Water 対物 / NA 1.2) / 電動補正環付き(●) 専用60x 位相差Oil 対物 / NA 1.35 (◎) |
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オートフォーカス(AF) | レーザ反射光検出による標本- カバーガラス界面の自動検出
カバーガラス厚の自動算出および電動補正環の自動設定 (●) |
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水補給 (●) | 60x Water 対物レンズ先玉への自動水供給およびエアークリーニング機構 | |
オイル補給 (◎) | オイル補給は手動
補助動作として、60x切り替え時にオイル差しポジションへのXY ステージ自動退避 |
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標本ホルダ | 標本ホルダ | 専用標本ホルダのみ載置可能
φ 35mm ガラスボトムディッシュ× 3個用(●)、 カバーガラスチャンバ× 1 基用(●)、 専用培養ポッド(φ35mm ガラスボトムディッシュx 1個用)(●)、 スライドガラスx 1枚用、φ35mm ガラスボトムディッシュx 1個用 (◎) |
インキュベータ(●) | 内部環境(●) | 温度:37±1℃、湿度:90%以上
CO2 濃度: 5%(推奨値)、外部CO2 調節器接続用継手(φ2mm)1個搭載 |
主なソフトウェア機能 | 画像取得モード | マップイメージ、ワンショット、タイムラプス(XYT)、Z スタック(XYZ)、Z スタックタイムラプス(XYZT) |
サンプル設定 | Dye リストから選択されたDye に応じて蛍光CH およびレーザを自動設定 | |
マップ画像取得 | 10x 対物レンズにて3x3 ~ 9x9 視野のマップ像を取得 | |
マルチエリア
タイムラプス |
電動XY ステージによる自動マルチエリアタイムラプス
登録各点ごとに画像サイズ、走査速度、ピンホール径、Z条件等を設定可能 |
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画像表示 | CH 別画像表示、重ね合わせ表示、途中経過見返り表示 | |
取得画像ファイル形式 | OLYMPUS イメージフォーマット(OIF) | |
閲覧可能画像ファイル形式 | OLYMPUS イメージフォーマット(OIF、OIB)、Multi-TIFF、TIFF、BMP、JPEG | |
3次元画像構築 | 3D 表示:AlphaBlend 法、Maximum Intensity Projection 法
3D アニメーション表示、断面切り出し表示 |
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画像解析 | 面積・周囲長計測、時間経過計測、コ・ローカリゼーション解析 | |
使用環境 | 室温/湿度 | 18~28℃ / 30~80%(結露なきこと) |
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