オリンパスの顕微鏡関連製品で、標本組織を傷つけることなく生体の深部まで高精細に観察できる標本透明化液「SCALEVIEW-A2」と、その性能を生かす新開発の対物レンズが、細胞組織のイメージング観察を飛躍的に高めたとして、「2012 Edison Award」金賞を受賞しました。

Edison Award^※2（エジソン賞）は、発明家として世界的に有名なトーマス・エジソン（1847-1931）の名を冠した新製品およびサービスにおける技術革新を称える賞で、今年で25年目を迎えた権威ある賞です。受賞者は、過去の受賞者や学識経験者、製品の開発・工学・科学・医療分野の第一人者など総勢3,000人を超えるトップ企業幹部で構成される審査委員会の投票によって決定されます。

受賞製品の主な特長

標本透明化液「SCALEVIEW-A2」は、ホルマリンなどで固定^※3された生体から散乱^※4を取り除き、ゼリーのように透明化する水溶性の液体です。透明化することで、蛍光タンパク質で標識した標本組織をスライスせずに深部まで観察することができます。本液体は、独立行政法人理化学研究所（理事長：野依良治）が開発し、オリンパスが独占販売契約を結んでいます。
また、「SCALEVIEW-A2」の性能を極限まで生かす新開発の対物レンズは、今まで観察が困難であったマウス脳の表面から海馬^※5まで、より深部へのアプローチを可能にしています。
これらを組み合わせた観察により、最先端の脳神経系研究をはじめとする生命科学分野全体への応用も期待されています。

※1	2011年8月30日、当社調べ
※2	http://www.edisonawards.com/
※3	ホルマリンによる固定とは、ホルマリンに含まれるホルムアルデヒドが、組織の細胞内外に浸透し、分子中のアルデヒド基が主に組織中のタンパク質のアミノ基に結合し、さらに架橋することで、その時点で死後変化を停止させること
※4	生体の散乱とは、細胞膜や細胞内微小器官（ミトコンドリアや細胞核など）により光がまっすぐに進めない状態が複雑に重なった結果、生体に入った光が生体内であちこちに散らばってしまう現象
※5	脳内において、記憶をつかさどる重要な組織