2013年5月16日
生体分子の動きも観られる高速原子間力顕微鏡の発明
「発明協会会長賞」と「発明実施功績賞」を受賞
~平成25年度 全国発明表彰~
オリンパス株式会社(社長:笹 宏行)は、生体分子の動きも観られる「高速原子間力顕微鏡」の発明※1において、共同開発先の金沢大学とともに「平成25年度全国発明表彰」の「発明協会会長賞」を受賞しました。あわせて、同発明の実施に対して「発明実施功績賞」を受賞しました。
受賞発明技術の概要
原子間力顕微鏡は、生体内の細胞や組織などの集合体を1分子単位でより微細に観察することができる顕微鏡で、新薬の開発や再生医療の研究など、生命科学の先端研究分野で利用されています。この顕微鏡において、生体分子の動きをより正確に観察するため、金沢大学※2と共同で開発したのが「高速原子間力顕微鏡」です。金沢大学が主に基礎研究およびシステムの開発、当社が主に同システム向けの微細化されたカンチレバーの開発を行い、1秒間に12.5フレーム(従来品の約1000倍)という世界最高速※3で撮影可能な「高速原子間力顕微鏡」を世界で初めて※3実現しました※4。
高速原子間力顕微鏡において重要なことは、速さと正確さの両立です。原子間力顕微鏡では、カンチレバー先端の探針を、試料の形状に沿ってなぞらせながら走査(スキャン)し、観察画像を形成します。しかし、高速走査により探針が試料から離れてしまうと正確な画像が得られません。また、探針を試料に近づけすぎると試料にダメージを与えてしまいます。本研究で生まれた、速さと正確さを両立する高速制御技術により、従来は不可能だった生体分子の高速観察が可能となりました。
受賞者
<発明協会会長賞>
金沢大学理工研究域数物科学系教授 安藤敏夫/オリンパス株式会社研究開発センター 酒井信明
<発明実施功績賞>
国立大学法人金沢大学/オリンパス株式会社
全国発明表彰および発明協会会長賞について
全国発明表彰は、社団法人 発明協会が、大正8年より日本の科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的として始めた表彰制度です。科学技術的に秀でた進歩性を有し、かつ顕著な実施効果を挙げている発明などを対象とし、多大な功績を挙げた発明・創作(第一表彰区分)、および、その優秀性から今後大きな功績が期待される発明(第二表彰区分)に区分されています。
第一表彰区分の中で、最も優秀と認められる発明等に「恩賜発明賞」(1点)が贈られ、特に優秀と認められる発明などに「発明協会会長賞」などの特別賞(各1点)が贈られます。
現在の当社の取り組み
この「高速原子間力顕微鏡」と当社の「倒立型光学顕微鏡」を組み合わせた新たな観察システム「BIXAM(ビグザム)」を開発中です。この「BIXAM」では、「高速原子間力顕微鏡による高分解能動画観察」と「光学顕微鏡による蛍光観察」を同時に行うことができます。これにより、生体の分子単位の微細な形状変化や細胞表面の形状変化を詳細に観察することができ、生命科学分野における研究のさらなる発展に貢献することが期待されます。BIXAMを用いて試験的に取得した動画を、下記のウェブサイトでご覧いただけます(http://probe.olympus-global.com/jp/bixam)。
※1 | 特許出願:平成14年9月4日 特許登録:平成20年2月22日 特許第4083517号 |
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※2 | 金沢大学理工研究域・生物物理学研究室のウェブページ:http://www.s.kanazawa-u.ac.jp/phys/biophys/index.htm |
※3 | 2001年10月23日時点、当社調べ |
※4 | 2004年4月14日ニュースリリース:http://www.olympus.co.jp/jp/news/2004a/nr040414afmj.jsp |
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