2014年7月1日
生物顕微鏡用の対物レンズ3本を新発売
脳神経メカニズムの解明など、最先端研究に貢献
オリンパス株式会社(社長:笹 宏行)は、科学事業の新製品として、生物顕微鏡用の対物レンズ3本を、2014年7月1日から全世界で発売します。
今回発売する対物レンズは、生命科学の最先端研究に使用される多光子励起レーザー走査型顕微鏡「FLUOVIEW(フロービュー)」シリーズと組み合わせて使用する、「UIS2※1対物レンズ」シリーズの新製品です。当社が誇る光学技術を駆使したクリアで忠実な撮像を実現する対物レンズのラインアップ拡充により、脳神経メカニズムの解明などの最先端研究に対し、より一層の貢献を目指します。
※1 | 「Universal Infinity System 2」の略。高解像度でシステムの拡張性に優れることが特長の、当社の無限遠補正光学系の総称 |
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発売の概要
製品名 | 発売日 | |
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多光子専用対物レンズ | 「XLPLN10XSVMP」 | 2014年7月1日 |
「XLSLPLN25XGMP」 | ||
シリコーン浸対物レンズ | 「UPLSAPO30XSIR」 |
主な特長
- 「XLPLN10XSVMP」:低倍率のため、広い視野でより効率的な深部観察が可能
- 「XLSLPLN25XGMP」:最深8mm※2まで高解像の深部観察が可能で、新標本透明化技術にも対応
- 「UPLSAPO30XSIR」:コーティングの改良により、より明るい観察が可能
※2 | 多光子励起レーザー走査型顕微鏡「FLUOVIEW FVMPE-RS」と多光子専用対物レンズ「XLSLPLN25XGMP」との組み合わせ、標本透明化技術を使用した場合 |
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市場導入の背景
生命科学・医学の研究分野では、生きた細胞を用いてタンパク質や神経などの役割・機能を解明し、創薬や新しい領域への応用を目指す研究が盛んに行われています。特に脳神経分野では、脳神経のメカニズム解明や、アルツハイマーや認知症など、未解明の病気の治療法・治療薬の研究・開発のため、組織表面から深部の生体を観察するニーズが高まっています。こうした研究者のニーズに応えるため、「UIS2※1対物レンズ」シリーズのうち、生命科学の最先端研究に使用される多光子励起レーザー走査型顕微鏡「FLUOVIEW」シリーズと組み合わせて使用する対物レンズのラインアップを拡充します。
主な特長の詳細
【多光子専用対物レンズ】
焦点からのみ蛍光を発する特性により、高精細な3次元画像を得ることができる多光子励起レーザー走査型顕微鏡専用の対物レンズです。標本透明化液と合わせて使用することで、生体組織を傷つけることなく、表面から深部まで高解像の3次元画像を観察することが可能です。
1. 「XLPLN10XSVMP」:低倍率のため、広い視野でより効率的な深部観察が可能
生体組織の表面からの深部観察で、広い範囲を対象に、より効率よく明るい観察を行うことができます。近年開発された、高屈折率の液体を用いた標本透明化技術にも対応し、最先端研究に一層貢献します。
2. 「XLSLPLN25XGMP」:最深8mm※2まで高解像の深部観察が可能で、新標本透明化技術にも対応
生体組織を傷つけることなく表面から最大8mm※2の深さまで、明るく高精細な3次元画像を観察することができます。マウスの脳表面から、記憶をつかさどる重要な組織である海馬、さらに深部に至るまでの観察が可能です。このほか、近年開発された、高屈折率の液体を用いた標本透明化技術にも対応しました。
【シリコーン浸対物レンズ】
観察対象物との間に「シリコーンオイル」を満たして観察する対物レンズです。シリコーンオイルは、常温(23℃)はもちろん生体の温度に近い37℃環境下でも乾燥や固着することなく、屈折率が細胞と近いという特性を持つため、細胞の深部まで、明るい高解像画像で観察することが可能です。シリコーン浸対物レンズは、2010年11月に当社がライブセルイメージング向けとして世界で初めて※3発売し、好評をいただいている対物レンズです。
※3 | 2010年10月28日時点、当社調べ |
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3. 「UPLSAPO30XSIR」:コーティングの改良により、より明るい観察が可能
レンズ表面のコーティングの改良により、多光子励起レーザー顕微鏡による生体観察において、組織表面から深部まで、より明るい画像で観察することができます。また、長時間にわたり時間経過ごとの変化を観るタイムラプス観察にも適しています。
主な仕様
製品名 | XLPLN10XSVMP | XLSLPLN25XGMP | UPLSAPO30XSIR |
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倍率 | 10倍 | 25倍 | 30倍 |
開口数 | 0.60 | 1.00 | 1.05 |
作動距離 | 8mm | 8mm | 0.8mm |
対応カバー
ガラス厚 |
0~0.23mm | 0~0.23mm | 0.13~0.19mm |
浸液 | SCALEVIEW-A2
※補正環により 屈折率1.33~1.52まで対応可 |
グリセリン(グリセリン80%屈折率1.45)
※補正環により 屈折率1.41~1.52まで対応可 |
シリコーンオイル |
対応温度 | 23℃ | 23~37℃ | |
取付可能
鏡体 |
多光子励起レーザー走査型顕微鏡 | 共焦点レーザー走査型顕微鏡
多光子励起レーザー走査型顕微鏡 倒立型リサーチ顕微鏡 |
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大きさ | φ40x72.3mm | φ39x72.3mm | φ31.5x48.8mm |
質量 | 376g | 381g | 175.7g |
科学事業とは
「ライフサイエンス・産業事業」は、2014年4月1日より「科学事業」に名称を変更しました。
「医療」および「映像」と並ぶ、オリンパスの3大コア事業のひとつで、主な製品は光学顕微鏡と工業用内視鏡および非破壊検査機器です。科学事業はこれらを通して、医療・生命科学・産業分野における研究開発、生産現場における品質向上、航空機や大型プラントなどの検査による社会インフラの安心・安全確保に貢献しています。
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