超解像イメージングシステム「SpinSR10」を新発売分解能120nmの光学性能で、細胞内小器官の微細な変化もライブ観察が可能
2017年11月7日
更新日:2018年11月7日
オリンパス株式会社(社長:笹 宏行)は、科学事業の新製品として、細胞内部の構造や信号伝達などの動きをライブ観察できる超解像イメージングシステム「SpinSR10」を2018年1月から全世界(一部地域を除く)で発売予定です。
超解像顕微鏡は従来の光学顕微鏡の限界を超えた分解能を持った顕微鏡です。一般的な光学顕微鏡の最小分解能が約200nm程度なのに対し、超解像顕微鏡はそれより高い分解能を持つため、これまで観察しにくかった細胞の内部構造まで高精細に観察できます。そのため医学・生物分野などの微細構造の観察が必要な研究において、さらなる貢献が期待されています。
今回発売される「SpinSR10」は、最速0.005s/フレームの画像取得速度と、120nmの分解能により高速な超解像イメージングを実現しています。これにより、細胞内小器官の微細な変化もライブ観察できるため、オートファジー※1など医学研究分野の更なる発展へ貢献が期待できます。また本機種は、広い視野での観察方法から微細な領域を観察する超解像観察への切り替えがワンタッチでできるため、観察領域の探索に手間をかけることなく、快適でスムーズな観察が可能となりました。そして深部観察にこだわったシリコーン浸対物レンズにより、厚みのあるサンプルであっても深部までピントのあった観察ができます。
※1 細胞内のたんぱく質分解の仕組みの一つ。2016年にはオートファジー研究にノーベル生理学・医学賞が授与。
発売の概要
商品名 | 発売日 |
---|---|
スピニングディスク型共焦点超解像顕微鏡「SpinSR10」 | 2018年1月予定 |
主な特長
- 最速0.005s/フレームの超解像イメージングで、細胞内小器官の微細な変化もライブ観察
- 超解像観察にワンタッチ切り替えが可能、スムーズな観察を実現
- シリコーン対物レンズにより深部観察を実現し、厚みのあるサンプルでも観察可能
主な特長の詳細
1. 最速0.005s/フレームの超解像イメージングで、細胞内小器官の微細な変化もライブ観察
本機種はオリンパス独自の光学特許技術※2により120nmの分解能を達成しています。また「スピニングディスク共焦点光学系」の技術を応用することで、最速0.005s/フレームの画像取得速度を実現しています。これら両技術を組み合わせることで、サンプルの高速な超解像観察が可能となり、オートファジーのような高速かつ微細な現象もライブ観察可能です。そのため、がんやアルツハイマー病など医学分野の研究において更なる発展への貢献が期待されます。
※2 オリンパス独自のオプトエレクトロニクス技術(特許第5412394号)
2. 超解像観察にワンクリック切り替えが可能、スムーズな観察を実現
本機種は超解像観察だけでなく広視野での蛍光観察、共焦点観察に対応しており、それらの観察方法の切り替えをワンクリックで行うことができます。これにより広い視野で観察したい場所を特定した後に、超解像観察に切り替えるということが容易にできるため、興味領域の探索に手間をかけることなく、快適でスムーズな観察を実現可能です。
3. シリコーン対物レンズにより深部観察を実現し、厚みのあるサンプルでも観察可能
当社はレンズ開発において深部観察にこだわり、厚みのあるサンプルでも深部まで観察可能なシリコーン浸対物レンズを提供しています。シリコーン対物レンズは、レンズとサンプル容器の間に液体を満たして観察する「液浸観察」で使用します。浸液に用いるシリコーンオイル(ne≒1.40)は生体サンプル(ne≒1.38)と近い屈折率を持ち、屈折率の差で生じる球面収差を低減できるため、細胞をスライス加工せずに観察する脳海馬のような厚みのあるサンプルでも深部まで高精細な観察が可能です。
「SpinSR10」の主な仕様
XY分解能 | 120nm |
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画像取得速度 | 最速0.005s/フレーム |
スキャン方式 | スピニングディスク方式 |
搭載レーザー | 最大6色(2色同時イメージング可能) |
(科学事業とは)
主な製品は光学顕微鏡と工業用内視鏡および非破壊検査機器です。科学事業はこれらを通して、医療・生命科学・産業分野における研究開発、生産現場における品質向上、航空機や大型プラントなどの検査による社会インフラの安心・安全確保に貢献しています。
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