オリンパス、内視鏡画像診断に関するクラウド型AI技術スタートアップ、
英国Odin Vision社を買収
AIやデータに基づいたソリューションの提供により、診療水準や臨床におけるワークフロー向上に
貢献
2022年12月20日
オリンパス株式会社(以下、オリンパス) は、本日、内視鏡画像診断に関する革新的なクラウド型AI技術を提供するOdin Vision社(オディン・ビジョン、本社:英国、ロンドン)の株式100%を取得する契約を締結しました。買収金額は約6,600万ポンド(約110億円、約7,920万米ドル*、条件付き対価最大3,300万ポンド を含む)を予定しています。当社のデジタル戦略は、臨床の現場および各手技におけるワークフローの変革により、内視鏡診断・治療、医療の質を向上することを目指しています。自社開発のみならず、第三者の開発パートナーとの連携により、さまざまなニーズに対応するクラウド上のソフトウェアプラットフォームの確立に取り組んでいます。すでに一部地域においてAIによる内視鏡診断支援ソリューションや、その他のクラウド型サービスを提供しているOdin Vision社の買収は、この戦略の重要な要素となります。
Odin Vision社は、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のWellcome / EPSRC Centre for Interventional and Surgical Sciences (WEISS)※1に在籍する、著名な臨床医と人工知能の専門家たちによって、内視鏡用の次世代クラウドAI対応アプリケーションを開発するために設立されました。同社は、患者の予後の改善につながる質の高いケアを提供するために医療従事者を支援するだけでなく、医療従事者にも高い価値を提供するためのデジタル技術を提供することをミッションとして掲げています。彼らの提供する革新的なクラウド型AIプラットフォームは、大腸内視鏡検査や食道胃十二指腸内視鏡検査などにおいて、一連の内視鏡診療をAIが支援するための次世代ソリューションの提供を目指しています。
オリンパスは、リアルタイムに収集・分析された手技や臨床データを活用したOdin Vision社のソリューションを取り込むことで、医療従事者の管理作業上の負担を軽減したり、臨床の現場での意思決定を支援したりするだけでなく、医療従事者がより良い医療ケアを患者さんに提供するための支援をすることを目指しています。
オリンパスのチーフ・オペレーティング・オフィサー(最高事業責任者)である Nacho Abia(ナチョ・アビア) は、以下のように述べています。「オリンパスのデジタル戦略ロードマップに、Odin Vision社の素晴らしいAI技術とイノベーションを組み込むことで、内視鏡検査・診断に特化した、付加価値の高いソフトウェアソリューションをお客様に提供することが可能になります。Odin Vision社の製品・ソリューションは、当社の目指す臨床医の意思決定支援や、医療従事者の方のワークフロー向上にとって、素晴らしい相乗効果を生み出すと考えています。」
Odin VisionのCEOである Peter Mountney (ピーター・マウンニー氏)は、「私たちは、オリンパスとともに、クラウドとAI技術を用いた次世代の医療アプリケーションを、医療従事者や患者さんに提供していきます」とコメントしています。
世界中で毎年5,000万件の大腸内視鏡検査が行われており、約200万人が大腸がんと診断されています。現在の検出方法では、最大25%のポリープの見逃しおよび分類ミスが生じているという研究結果があり、治療にかかる時間、費用、およびリスクの増大につながる可能性があると考えられています。※2 Odin Visionの提供する高度なAIによる診断支援・分析ソリューションは、大腸内視鏡検査中にリアルタイムでポリープを検出および分類することで、検査の質の向上に貢献するだけでなく、手技に関する分析データを術後に提供します。※3 AIによる診断支援を用いた大腸内視鏡検査は、腫瘍の検出率を高め、がん細胞をより正確に検出することで、生存率向上に貢献するという研究が発表されています。※4
<Odin Vision社概要>
・ 会社名: Odin Medical Ltd. (Odin VisionはOdin Medical Ltd.の商号)
・ 本社所在:英国、ロンドン
・ 設立年:2018年9月11日
・ CEO:Peter Mountney
・ 資本金:233円 * (2022年11月末時点)
・ 売上:155百万円 *(2021年9月期)
・ 営業損益:△15百万円 *(2021年9月期)
・ 事業内容:内視鏡用のクラウドAI対応アプリケーションの開発
・ 従業員数:22人
* 1ポンド=166.23円、1.20米ドル(2022年11月末の為替レート)で換算。
1 UCLの医療とエンジニアリングの知見を融合した医工連携で、革新的な治療ソリューションを研究しています。詳細はこちらをご覧くだい。https://www.ucl.ac.uk/interventional-surgical-sciences/
2 S. Kumar et al., “Adenoma miss rates associated with a 3-minute versus 6-minute colonoscopy withdrawal time: a prospective, randomized trial,” Gastrointest. Endosc., vol. 85, no. 6, pp. 1273–1280, Jun. 2017, doi: 10.1016/j.gie.2016.11.030
3 日本国内では医薬品医療機器等法未承認の技術です。
4 Michael B.Wallace et al., “Impact of Artificial Intelligence on Miss Rate of Colorectal Neoplasia”
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