学生時代は電気電子工学を専攻し、自動運転向け車載カメラの画像処理ソフトについて研究していました。一方、就職にあたっては、製薬業界に従事していた父の影響もあり、医療分野に興味を抱いていました。そこで、医療とソフトウェア開発のスキルを結びつけ、社会に貢献したいと考えるようになったのです。
その点、オリンパスは医療用内視鏡技術に優れ、消化器内視鏡分野では世界でもトップシェアを誇る企業。まさに、この会社こそ私の希望に適っていると感じ、入社を志すようになりました。
最先端のAI機能と画像処理のスキルを駆使し、未来の医療を開拓
ソフトウェアエンジニア
学生時代は電気電子工学を専攻し、自動運転向け車載カメラの画像処理ソフトについて研究していました。一方、就職にあたっては、製薬業界に従事していた父の影響もあり、医療分野に興味を抱いていました。そこで、医療とソフトウェア開発のスキルを結びつけ、社会に貢献したいと考えるようになったのです。
その点、オリンパスは医療用内視鏡技術に優れ、消化器内視鏡分野では世界でもトップシェアを誇る企業。まさに、この会社こそ私の希望に適っていると感じ、入社を志すようになりました。
入社以来、デジタルカメラやカプセル内視鏡といった各種製品の画像処理開発に携わってきました。現在はソフトウェアを開発する部門の認識解析グループに在籍し、グループリーダーを務めています。
当部のミッションは、AI(Artificial Intelligence=人工知能)技術を活用してユーザーと共に新たな価値を創出して、それを新規機能としていち早く製品搭載し、市場にリリースしていくことです。ユーザーとの価値検証を通しAI機能開発を行うグループと、その機能の製品実装を担うグループの2体制で業務を遂行しており、私は前者に属して開発全体のディレクションを担当しています。
グループ自体の役割は、多彩な可能性を秘めたAI技術から、ユーザーにとって有用な機能を見出すこと。そのため、常に最新のAI情報や科学技術のトレンドをキャッチし、創造力を働かせてさまざまな活用法を探っていくことが必要です。また、機能を吟味する際は、ユーザーとの対話も不可欠。求める機能によって必要な情報やデータが異なってくるため、コミュニケーション能力も求められます。
一方、私にはリーダーとしての課題もあります。ひとつは、医療用内視鏡による胃の診断支援機能の開発。もうひとつは、自然言語AIを活用した社内業務効率改善システムの構築です。技術者は、論文、特許資料、技術情報の収集と、膨大な情報を整理・活用しなければなりませんが、近年その情報量の増大が問題となっています。そこでAI技術を駆使して、業務負担を軽減できるよう努めています。
AIは日進月歩で進化しており、技術的ポテンシャルが非常に高いことが魅力です。製品に搭載できれば、従来は人の目では確認しづらかった病変が発見しやすくなったり、ヒューマンエラーによる医療ミスの防止につながったりと、さまざまな医療技術の発展に有効と考えています。
今後、高度なAIの機能開発を実現し、特に内視鏡分野ではオリンパスにしかできないものが作れるはずだという自負があります。
リーダーを務めている医療向けAI機能開発のプロジェクトでは、医師からの期待を実感する機会が増えています。さらに、最新の学会論文の情報を応用し実現した機能が、従来の不可能を可能にできた瞬間は、毎回、鳥肌が立つほどの感動を覚えます。「医師とともに未来の医療を創造する」、日々、その誇りを感じながら任務に取り組んでいます。
AIの機能や性能を向上させるためには、データと正解のセットを大量にストックする必要があります。ただ、医療データの取得には、個人情報保護法という非常に高い壁が立ちはだかっています。申請を行っても、データの授受を行う医療機関と当社の両倫理審査委員会を通すため、入手までに3カ月から6カ月を要します。
さらに2017年の個人情報保護法改正以降は規制が一層厳しくなり、一時はデータを取得できなくなる窮地に立たされたこともあります。総務省や厚生労働省へのヒアリングを実施するなど、対応を行ってきましたが、今も法規制をクリアすることは容易ではありません。同時に、それを鑑みながらの開発は挑みがいがあるとも感じています。
職場には開発者をはじめ、協力企業の担当者やAIに正解を付与するアノテーションの専門技術者など、多彩なメンバーが揃っています。偶然、同世代が集まっているためか和気あいあいとした雰囲気で、誰とでも気兼ねなく話せます。お酒が好きな人も多く、仕事で行き詰まった時にはよく一緒に飲みに出かけて、気分転換しています。
担当業務では、技術情報のアンテナをしっかり張って、最新トレンドに敏感になることが不可欠です。そのため、情報収集にまつわる活動にはコストを惜しまず、国内外の学会などにもどんどん参加させてくれるなど、上司が積極的に成長を後押ししてくれる環境があり、恵まれていると感じています。
私も部下を持つ立場となった今は、メンバーには業務と直接関係がなくても興味があるテーマがあれば、技術コンテストなどに自由に参加するよう推奨しています。私自身も、注目を集めていたビッグデータの解析・応用を行うデータアナリティクスに関心があり、社内外の有志とJST(科学技術振興機構)主催のコンテストに参加したことがあります。仕事の合間に独学で研究したのですが、光栄にも銀賞をいただきました。トレンドを追究するだけでなく、外部に情報を発信することは、社の啓蒙活動の一環にもなるので大切だと考えています。