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製品開発の全体像を俯瞰し、安全かつ有用な医療機器を市場に送り出す喜び

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品質保証

入社の動機

以前、イギリス・ロンドンの病院に6年ほど勤務していました。数年前に帰国し、日本でもまた医療に関わる仕事に就きたいと思っていたころ、オリンパスの求人情報を知りました。オリンパスといえば、ロンドンの病院勤務時代に使われていた内視鏡の製造メーカー。ふと当時の記憶がよみがえり、懐かしさを覚えました。また、その病院にはオリンパスの英国現地法人「KeyMed」のフィールドサービスが頻繁に出入りしていた時期があり、こまめで迅速な対応に感心させられていました。そんな親しみのあるオリンパスで、医療に携われるチャンスがあるならぜひにと、応募することを決めました。

仕事の内容

医療品質保証部の医療事業システム管理グループ、米州チームに所属しています。医療事業システム管理グループは、製品の開発プロセスや品質マネジメントシステム(Quality Management System=QMS)の構築、維持を担っています。QMSとは、良い製品を安定して供給するための体制・仕組みです。米州チームでの主な業務は、北米・中南米の法規制対応となり、オリンパスの医療製品が一般にQSR(Quality System Regulation)と呼ばれるFDA(米国食品医薬品局)の要求事項に則しているかを確認することで、改善を図るといった業務も含まれます。

私の主な職務は、FDAが発行しているガイダンスを読み込み、自社製品に反映させることです。海外の現地法人や各国行政からの来訪者の応対や、通訳者として国内外に点在する自社工場などへ出張することもあります。所属するグループの枠を超えて通訳を依頼される機会も多く、さまざまな品質業務に関われることは自社のプロセスを理解するのに良い経験だと感じています。

また、業務の1つとして、国際会議や各種ワーキンググループの事務局も務めています。ワーキンググループは、他部署や海外拠点のメンバーが1つのプロジェクトを推進していくための活動です。所属部署レベルでは解決困難な課題を相談したり、各部署の協力や連携を図りながら法規制対策を講じたりしています。

やりがい

品質保証部の面白みは、製品のライフサイクルにくまなく携われることです。品質保証の行為は、上市した完成品の対応だけではなく、製品の設計段階から始まります。ユーザーの求める製品に仕上げるには検証や製品評価、安全性を保証する試験に合格するなど、さまざまな条件をクリアする必要があります。もちろん、販売する国によって医療機器の法規制、製品登録の方法も違います。それを一つずつ遵守しなければならないので、製品化し流通するまでには多くの人が関わり、時間もかかります。

販売後、ユーザーから受けたフィードバックの内容を精査し、調査するのも品質保証の役割です。対応が必要と判断されれば、関係部署からの協力を得ながらさらなる改善を重ねます。このように製品の誕生から一連の流れに関わることができ、出荷や販売での重大な局面では判断が求められる。重責ではありますが、張り合いのある仕事です。私が担っているのは法規制に関わる部分ですが、こうした全体像を把握できるようになってからは、各ステージの業務の重要性を実感できるようになりました。

苦心していること

グローバルで実施するプロジェクトでは、言語や文化の違いから細かい法規制の解釈や実務に関わる認識を合わせることに苦労する場面もあります。国内の工場や各部署では、それぞれ専門用語や“オリンパス用語”を使っており、法規制の解釈だけでなく、その言葉の意味を理解しておかなければなりません。それを踏まえて海外の現地法人と話し合いを持ちます。

もちろん通訳を行う場面でもそういった専門用語の知識は必要で、独特のオリンパス用語が飛び交う場面もあり、そのまま訳すのでは伝わらないこともあります。こういったことは法規制を読み込むだけでは足りず、実際に活用できるよう落とし込むために、開発プロセスや工場など現場を知ることで理解を深めるようにしています。

グローバル間ではコミュニケーションを重ねる度にお互いの信頼関係が築けるので、積極的なやり取りや、Face to Faceでの会議の場を使って会話を重ねることが、業務をより効率的に行うためにも重要だと思います。

職場の紹介

担当する北米は大きな市場で、法規制の要求も厳しい地域です。さらに、海外とのコミュニケーションを頻繁に取る部署なので、英語力は必須です。米州チームのメンバーはバックグラウンドもそれぞれ違い、経験豊かなメンバーが集まっています。普段の会話は日本語ですが、昼休み後、1時間のチーム内のコミュニケーションは英語で行っています。英語を身につけた場所によってそれぞれアクセントも違うので、とてもグローバルな雰囲気があります。

私自身は国際会議やワーキンググループの活動などで、海外スタッフとの交流も多くあります。グローバルな会議の際は、参加国が増えるほど時差による制限が生じ、スタートが朝7時や夜9時となることもあります。そんな時は、フレックス制度を使っているので、それほど負担にはなりません。

医療品質保証部内には既婚者や、育児休暇後の復職者もいて、女性にとっても働きやすい環境だと思います。在宅勤務や時短といった勤務形態もありますし、私も授業参観日など子どもの学校行事に合わせて休暇を取ることもあります。業務との兼ね合いもありますが、夏休みなど長期休暇も取れますし、メンバー同士がお互いをカバーし合えるような協力的な部署です。昨年は親戚の結婚式もあったので、夏休み休暇と有給休暇を合わせてイギリスに帰省し、オフの時間を楽しみました。

学生の皆さまへ

医療機器メーカーということもあり、社内には理系出身者の割合が多いですが、品質保証の仕事に注目するなら、文系、理系での適性区分はあまりないと感じます。いろいろな経験を持つ人たちがいることによって角度を変えながら物事を観察することができ、問題解決の糸口を見出せます。優れた分析力と専門知識をあわせ持つ能力が役立つ場合もあれば、想像力と柔軟さが必要な時もあります。フレッシュな観点から物事を見た時に初めて発見することもあるので若さが強みになる時もあります。

いずれにしても、問題解決を追究したいというような探究心が大切です。品質保証の仕事では発生した不具合への対処も重要ですが、本来の存在意義は、安全で有効性の高い製品を提供することにあります。医療機器でいえば、医師の手技を容易にしたり、診断の精度を向上させたり、手術時の患者さんの負担を軽減したりすることです。仕事の成果がそうした社会貢献に結びつくので、大いにやりがいを感じられると思います。

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