入社以来、一貫して次世代内視鏡システムの要件定義を担当しています。要件定義とはシステムが提供すべき価値と実現可能な要件を明確にしていく業務で、具体的にはシステムの全体像を構築して、そこから製品選定を行い、システムの中に製品を収めていきます。なぜ「次世代」かといいますと、たとえばAI搭載や他機器との連動といった付加価値を求めるニーズの変化に対応していくもので、画質の向上といった内視鏡自体の品質にフォーカスしていた従来の開発とは一線を画すものだからです。次世代型システムは、今後の製品の流れを決めるもので、大げさにいうとオリンパスの未来を左右するもの。それだけにプレッシャーを感じますが、それ以上にやりがいも大きく、身が引き締まります。
人を知る
「聴く」という、ものづくり。
システムアーキテクト
私が担当する「要件定義」は、とにかく「聴く」ことが仕事です。1年に100人以上とお話することもありますね。これまで以上の付加価値が求められる次世代内視鏡システムの開発は、困難の連続です。それでも「できない」ではなく「できる」を探すように努力しています。聴く。話す。考える。その積み重ねで、医療機器のその先にいる患者さんの想いに応える仕事をしていきたいです。
最先端のAI機能と画像処理のスキルを駆使し、未来の医療を開拓
業務内容を教えていただけますか?
「+α」が数々求められ、従来の要件定義より困難な道のりかと思います。どうやって乗り越えるのでしょうか。
それは「聴く」と「ディスカッション」に尽きます。ニーズの把握にはじまり、技術的な実現可否、法規制など考慮点は山積みで、分野をまたいだ専門知識をもつ部署との連携が欠かせません。さらに開発は長期にわたるため、将来的な技術進化の進捗も正確に見極めなくてはならず、マーケティング部、技術検討担当者、RA、アーキ設計者、さらにシステムに入る製品の各担当者、関わる部署にヒアリングします。ディスカッションする相手は膨大で、社内だけでも1年で100人ほどインタビューしますから、毎日は「聴く」「話す」「考える」の繰り返し。自分の理解と開発の確実性を高めながら一歩一歩前進して、要件の見極めに格闘する日々です。2、3年で要件定義を完了して設計に進むのが理想ですが、実際はリリースした後もユーザーからの要望で調整が必要なので道のりは本当に長いです。
“不可能を可能に”、糸口は必ずどこかにある。
仕事のどんな点にやりがいを感じていますか。
要件定義はオリンパスが提供できる価値を明らかにすること、オリンパスの真価を明らかにすることとも言えるので、携われること自体がやりがいです。さらに多くの部署と関わる業務ですから開発の枠を超えた業務、たとえばユーザーの声の整理だったり、法律関連だったり、多様な経験ができるのも私には魅力です。知識やコネクションなど、経験は自分の資産だと考えていますから。以前、急遽法規制の対応をする人間が必要になったのですが、その時も手をあげてやらせてもらいました。知見もなく専門外のことで苦労しましたが、なんとかやり切れた時には大きな達成感があり、法規制の引き出しがあると要件定義にも必ず役立ちますので頑張って良かったと思います。いろんな人、いろんな業務に携わって自分の世界が広がっていくのは役得ですね。
仕事をするうえで心がけている点、意識している姿勢は?
「何か良い面を見つけて、とりあえず楽しんでやろう」でしょうか。ユーザーのニーズと提供可能な技術が乖離していたり、部署間で意見が異なったり、要件定義するうえで困難は次々生じます。無理だと考え出すとそれこそキリがないので、「できない」より「どうしたらできる?」という姿勢を心がけています。困難があっても嫌だとか、困ったとかもあまり感じない性格なんです(笑)。また開発は大がかりで、大勢の方のご協力が欠かせませんからモチベーションを共有いただけるように常に工夫していますね、目的をしっかり伝えて相手の視点になった情報の示し方や話し方をしたり。あとは、わからないときは素直にわからないと、教えていただくこと。わかったふりをしてしまうと後で大変になってしまいますから。
肌で感じた患者さんの不安を、開発の原動力に。
これからのご自身やオリンパスにどんな想いを抱いていますか。
実は1年前に身近な人が病を患いまして、健康や病気に対する意識、自分が手がけている仕事への意識も変わりました。治療や検査の情報を集めるなか、SNSを通じて同じ病気の患者さんたちとやり取りするようになり病気への不安や辛さを直接聞くことも多くなったんですね。自分ができることはなんだろう? そして、オリンパスができること、やるべきことは? そんな視点で物事を考えるようになりました。私たちの仕事、製品を通して間接的にでも不安を拭う一助になれば、との想いで日々業務に邁進しています。
目指す姿や目標があれば教えてください。
要件定義はセオリーどおりに進む仕事ではありません。不測の事態も多く、柔軟な考え方が求められますから、場面場面で最適な判断と行動が取れるようになりたいですね。そのために今の目標としては、「上司の仕事ぶりに食らいついていく」です。上司はいくつものシステムを担当していて、全部見事にさばいているので、真似できないと感じながらも「いつかは自分も」と思います。せっかくですから何事も楽しみたいです。オープンな心で、一つひとつ経験を積み上げ、自分の力に変えられるよう頑張ります。