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ひとりの命を守るために、「数字」はチカラになる。

  • 品質保証・薬事

品質保証

医療機器の品質を守ることは、一人ひとりの命を守ること。そのために、開発プロセスにおけるさまざまなリスクを統計学的に検証します。「数字」を用いて隠れた課題まで洗い出し、その製品の安全性・有効性を論理的に明らかにする。そんな仕事を通して、事業がより良い方向へ進むための力になりたいと思っています。

開発に潜むリスクをあぶり出し、品質を守る。

業務内容を教えてください。

品質保証は、将来的な品質リスクを抽出する仕事です。PD5.0によって開発の上流フェーズからプロジェクトに参加するようになり、開発部(R&D)が作成するドキュメントを安全性・有効性や国内外の法規制といった多角的な観点からレビューして品質を支えています。品質を担保するために大事になる手法が統計学です。開発にまつわる各種データが適切にとらえられているか、統計学的観点を取り入れることで品質が可視化されます。

製品をサンプリングしてその品質を調べますが、開発段階で数十個作って試験を行い合格だったのに、実は1%の故障率になっていて、開発段階では気づけないまま生産段階で10,000個作ると100個の不良品が出てしまうといったケースも考えられます。私たちの製品は医療機器で人の命にかかわるので、その100個の不良品も簡単に見逃すことはできません。統計学を用いて開発段階で故障率を推測し、目標とする保証率の範囲に収まるようにする、それが品質保証における統計活用です。また、他社製品と比較して自社製品の優位性を証明するためにも統計学を活用します。法規制への対応という面ももちろんありますが、製品が真に優れていることを根拠を持って言えるようになる。その根拠を導き出すのも私たちの役割です。冷静な目で課題や問題点を探して改善する、第三者的な存在かもしれませんね。

冷静な目で課題や問題点を探して改善するとなると、品質を守るためとはいえ、時には厳しいことも言わなくてはならない場面も多いと思います。

スケジュール、工数、コストなど、開発には複雑な要件が絡みますから、開発担当者との間で意見の相違は当然発生します。しかし、それぞれ役割が違うだけでより良い製品を作りたい想いは同じです。対立して張り合うのではなく、開発と品質保証がお互いの意見に耳を傾けて、両者の要件を満たす道を探っていくのが肝心で、そのキャッチボールが結果的に品質を守ることにつながると思っています。開発部とは異なる視点から製品や設計ドキュメントを見つめ、品質保証のプロとして隠れた品質リスクを浮かび上がらせる。それが私たちの力量が問われるところです。「そのリスクには気づいていなかった。指摘してくれてありがとう」と言われた時には、「良い仕事ができた」と嬉しくなりますね。

研究者肌を見込まれて、品質保証の世界へ。

仕事のどのような点にやりがいを感じていますか。

人々の健康を守り社会貢献度が高い医療機器の開発に携われることはやりがいそのものです。特に「医療機器の品質保証」は今まさにホットなテーマ。その最前線で働き、最新の情報に触れられるのは刺激的です。また、統計の重要性が社内でも広がってきていますから、自分の仕事が組織に、さらには製品を通じて社会全体にも役立っている手応えを日々感じています。

実は以前は開発部にいまして、品質保証部への異動は、とある方から「門脇は研究が向いていると思う。品質保証部で今進めている活動に上手くハマるのではないか」とアドバイスいただいたことがきっかけです。当時は仕事で上手くいかないことも多く、悩むこともあったのですが、そんな中、私の潜在能力を信じてアドバイスくださったこと、異動後も「“統計”に興味無いか?部内に統計ワーキンググループというものがある」と、現在の自分の強みに繋がるアドバイスをいただいたことには、今でも感謝しています。統計ワーキンググループに入ったことがきっかけで、のちに統計の公的資格(QC検定1級)を取得しました。

開発部時代の経験も今の広い視野につながっているのでしょうか。

前部署では開発フェーズに乗る前の要素探索、コンセプト立案などを担当していました。試行錯誤が多く苦労もしましたが、自分がコンセプトから立ち上げた製品のプロトタイプにユーザーから高評価をいただく得難い経験をしました。ゼロからの立ち上げでしたが、開発の最上流からしっかり作りこんでいく大切さを身をもって知れたことは、非常に役立っていますね。

統計の力で、オリンパスを底上げしていく。

今後の夢や目標、もしあれば野望をお聞かせください。

QARAに来て3年。開発部とタッグを組み、長年開発に携わってきた製品が世に出ていく日が近いので、とても楽しみにしています。目標は統計をはじめ自分の学んだ知識と開発部時代の経験を掛け合わせて、プロフェッショナルとして製品開発に、そして社会に活かしていくことですね。「自分の手で世の中を変えてやる」といったような大きな野望は今はあまりなく、組織の中で自分を活かして良い人間関係や実績を培いながら、自分らしくやりがいをもって働き続けられれば、と考えています。今現在、それが実現でき、かつ成長できる環境のなかにいるのが、本当にありがたいと思っています。

今は、オリンパス自体も変革の時期。製品開発プロセスの変換、在宅勤務の促進や人事制度の改革と、既存の体質から脱却しようとする姿勢を心強く感じています。社会的にも社内的にも統計を正しく活用する重要性が認知されてきており、社内向けに統計学のオンライン研修(※)を企画したところ、300名の定員があっと言う間に埋まりました。皆様の統計に対する感度・意識の高さには頭が下がる思いです。また、プロダクトQA部内でも統計勉強会を主催し、ご好評いただいています。オンライン研修や部内勉強会など、「こういうことをやりたい!」と提案したらやらせていただける職場環境には感謝しています。この機運を最大限に活かして、オリンパス全体の統計レベルを底上げしていきたいですね。

野望はないとおっしゃっていましたが、最後に非常に大きい夢がでましたね。

そうですね。オリンパス製品の品質を守ることは、一人ひとりの命を守ること。その緊張感と使命感を忘れずに、統計学・品質保証の専門家として、より良い製品づくりを支え続けたいと思っています。

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