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法務

安全で有効な医療機器を市場に出すためのサポートができることが、大きなやりがいに

所属する部署や仕事内容について教えてください。

リーガルジャパンに所属し、RA・QAの法務を担当しています。RA・QAとは、Regulatory AffairsとQuality Affairs、すなわち薬事・品質保証のこと。オリンパスが手がける製品は健康診断や病気の治療に使われる医療機器が中心なので、製品の安全性や有効性がきわめて重要です。安全で有効な設備を市場に導入するためには、さまざまな法規制をクリアする必要がありますが、市場に導入されてからも引き続き安全性や有効性をモニタリングし、万が一なんらかの問題が起こった場合はすみやかに対応しなければなりません。これらをリーガルの立場からサポートするのが私の仕事です。

品質保証部はもちろん、開発した製品の安全性や有効性を検証するR&D、製造を担当するマニュファクチャリング、そしてマーケティングやセールス、修理など、社内のさまざまな部署と連携しながら業務を進めています。

仕事の魅力ややりがいは、どんなところにありますか?

オリンパスは人の健康を守る医療機器を手がけるメーカーであり、なおかつ内視鏡の分野で高いシェアをもっています。そんな企業で働けていることを、とても誇りに思っています。技術の発展とともに、患者さんにとってますますベネフィットの大きい新製品を開発してきたオリンパスですが、新しい製品の開発にはリスクがともないます。これを適切に評価し、できる限り低減した上で受容できるレベルにコントロールして患者さんに届けるのが私たちの使命です。

医療機器メーカーにとって、「私たちは患者さんにとって本当に役立つ製品を届けられているか」「正しいことができているか」と常に自問しながら前進することはとても大切なこと。RA・QAのリーガル担当として、安全で有効な医療機器を市場に出すのをサポートできていることに大きなやりがいを感じています。

中国と日本、そしてグローバルで異なる仕事の進め方にも柔軟に対応

オリンパスに入社した経緯を教えてください。

大学で法律と日本語を学び、中国の弁護士資格を取得しました。企業で法務の仕事に就こうと思ったのは、特定の組織に深く関わって事業成長の力になれることに魅力を感じたからです。

また、不特定多数のお客様を相手にする弁護士の場合、お客様にアドバイスしても、それがお客様の成果につながったかどうかを確認するのは簡単ではありません。でも、企業内法務なら、改善の結果や自分の仕事の成果が見えやすいと考えたんです。

中でもオリンパスを選んだのは、人の命を救う医療機器を手がける企業で働くことが、間接的に社会貢献につながると思ったからです。

オリンパス入社からこれまで、どのようなキャリアを歩んできましたか?

2014年にオリンパス中国に入社しました。入社して3~4年経ったころからグローバル化が加速し始めたことを受け、いずれは各リージョン間のコミュニケーションが活発化し、グローバル人材が重宝されることになるだろうと考えたんです。オリンパスが変革しようとしているのを見て、私自身も変わらなければとの気持ちを原動力に、英語を勉強したり、育成プログラムに参加して本社の方と一緒に仕事したり。グローバル化の中でチャンスをつかむために自分磨きに励みました。

2020年にはグローバルリーガルの所属となり、 2023年にリーガルジャパンに加入して、RA・QAの担当になりました。当時、オリンパス中国には生産開発機能がないため、それまでRA・QA業務に携わった経験は少ないですが、本社のある日本では開発、生産、サプライチェーン、販売といった一連の流れを網羅しています。RA・QAとしての機能を果たすため、配属されてから専門知識を懸命に勉強しました。

配属された当初、とくに生産開発の方の専門用語が理解できず苦労しましたが、打ち合わせの前後で担当者の方に質問しながら知識を身につけていきました。いまではリーガルとしてサポートできるだけのレベルに達したと自負していますが、法令は常に更新されるもの。これからも学び続けなければなりません。

中国と日本で仕事を経験して感じるのは、両国では業務の進め方が大きく違うこと。中国では何か問題が起こった際、メンバーを集めて一緒に解決策を考えるのが一般的でした。ところが、さまざまな部署が集う本社では、まずそれぞれの部署が綿密に準備する過程が重視されます。

一方、グローバル化にともない、部署内で解決できないことや、解決に多くの時間を要することがあった場合、社内の別の部署だけでなく、海外拠点や外部の専門家の力を借りながら、効率良く答えを探すべきだという考え方が社内に浸透しているのも感じています。

自分の領域の課題に責任を持って取り組むことも、グローバルのメンバーが力を合わせてスピーディーに課題を解決していく姿勢も、どちらも大切だといまは感じています。

法務はブレーキをかける立場。忘れてはいけないのは、経営やビジネスに寄り添う視点

自身の力を活かせていると感じるのはどんなときですか?

リーガルの観点からだけではなく、できる限り事業側のサポートになりたいと思っていました。RAQAのプロジェクトマネージャーとして、RAQAの方たちとチームを組んで業務に取り組みました。私が仕事で接する方の中には、英語があまり得意ではない技術者のメンバーもいます。プロジェクトではヨーロッパの方や、アメリカで製品登録に携わっている方と一緒に働く機会が多いので、私が本社と海外チームのあいだに立って橋渡し役を担うことが少なくありません。そんなときは、プロジェクトマネージャーを務めた経験が活かせていると感じます。

社内では英語が話せるというだけで一目置かれることもありますが、私に言わせれば語学はあくまでコミュニケーションの道具。価値が宿るのは、技術の力です。そうしたコアな部分に携わっている方をサポートできることを、私はとても光栄に思っています。

社内において、リーガルはどんな役割を果たすべきだと考えていますか?

自動車の操縦にたとえるなら、運転席でハンドルを握る人が正しい方向に向かって進んでいるか、安全に運転できているか、トラブルが発生する可能性はないかなどを、助手席に座って見守るような立場でしょうか。

常に正しいことを選択したいですし、コンプライアンスを遵守する会社でありたいというのがリーガルとしての願い。患者さんの安全・健康を守り抜くために、どれだけコストがかかるとしても、法律遵守にプライオリティを置くべきだと考えています。

ただ、社内にはさまざまな立場の方がいて、大事にしたいこともそれぞれです。リーガルがリスクだけに目を向けてすべてにブレーキをかけていては、経営は成り立ちません。患者さんの安全を守る砦でありつつも、経営やビジネスに寄り添う視点を決して忘れることなく、全員が一丸となって正しい方向に進むための後押しができたらと思っています。

会社とともに、自分も成長したい。だから学び続ける

今後の展望を教えてください。

リーガルとして大切にすべき価値観を守りつつ、ビジネスサイドの良きパートナーでありたいと考えています。ビジネスサイドと足並みを揃えてベネフィットとリスクを慎重に見極め、オリンパスの価値観にも配慮しながら、最善の道を模索していけるような存在でありたいですね。

そのためには、ただ「私たちを信頼してください」とビジネスサイドに対して伝えるだけでは十分ではありません。問われるのは、リーガルとしての手腕。適切な助言ができるだけの知識と技術を武器にいくつもの困難を乗り越えながら、ビジネスサイドとのあいだに戦友同士のような信頼関係を構築できればと思っています。

ご自身の原動力は、どこにあるのでしょうか?

会社とともに自分も成長したいという気持ちがあります。社会は目まぐるしく変化していて、近年はAIやロボティクス技術でできることも増えてきました。いまや10年後に自分がどのような仕事をしているのかさえ想像できません。近い将来、自分にしかできない仕事は残されているのだろうかとさえ考えることもあります。

そんな不安を解決するためには、絶えず勉強し成長していく以外に方法はないと思っています。自分が成長し続けていれば、きっと求められる人材であり続けられるはず。オリンパスはいま、内視鏡分野だけでなく、世界をリードするグローバル・メドテックカンパニーをめざしています。その成長スピードに負けないよう、私も走り続けるつもりです。

記載内容は2023年8月時点のものです

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