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データの力で次世代医療の牽引者に。これまでの経験をベースに経営課題の解決に挑む

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経営企画・戦略

情報管理体制の強化、データの分類・識別・利活用、生成AIの運用を兼務

現在の部署、お仕事の内容について教えてください。

情報セキュリティを統括するインフォメーションセキュリティオフィス(以後、Infosec)に所属し、オリンパスが所有する情報の管理体制の強化に取り組んでいます。現在は、各リージョンのメンバーとコラボレーションしながら標準化を進めているところです。

それと並行して、グローバルでオリンパスの持つデータを分類・識別するためのプロジェクトにも参加しています。現時点では大きなフレームワークを整合しており、これからビジネスサイドと連携しながら守るべきデータや共有すべきデータなどを特定していこうという段階です。

また、生成AIのガイドラインの作成にも着手し始めました。リスクを最小化しながらChat GPTなどの生成AIをどう社内で活用していくか、グローバルリーガル、プライバシー、ITセキュリティの3つの部署のメンバーと検討を進めています。

たとえば、法対応の必要が出てくればリーガルサイドの力が必要ですし、個人情報の話になればプライバシーサイド、具体的なITシステムの観点ではITサイドの助けを借りなくてはなりません。複数の機能部門にまたがるようなプロジェクトにおいて、いわば旗振り役として機能部門の担当者とコラボレーションしながらルールやプランを定め、ビジネスサイドとのアラインメントを取っていくのが私の役割です。

仕事をしていてどんなところに魅力ややりがいを感じますか?

業務が影響を及ぼす範囲が広く、事業に与えるインパクトも大きいので、組織への貢献度の高いダイナミックな業務だと思っています。また、いわゆるコンサルタントのような立ち位置で上流工程の作業に関わる機会が多いことから、俯瞰的な思考のプロセスが身につきました。

とくに強く意識しているのが、現場の考え方に沿った内容になっているか、本当に遵守できるものになっているかといったビジネスサイドの視点です。これは現在の業務だけでなく、どこの部署でも応用できるもの。キャリア形成を考える上でも大事な視点だと感じています。

セールス担当、オンラインストア店長を経ていまの部署へ。ユニークなキャリアが強みに

入社後の仕事の変遷と、ジョブチェンジしたときの心境を教えてください。

映像事業のセールス担当として入社しましたが、紆余曲折を経てオンラインストアの店長を務めることに。その後、企業変革プラン「トランスフォームオリンパス」が打ち出されて情報セキュリティの部署が立ち上がったことを受け、現場運用の経験を買われメンバーとして招かれました。

ITの知識がまったくなかったため、異動を知らされたときは正直驚きましたし、不安もありました。しかし、畑違いの部署に移ること自体に抵抗はありませんでした。私自身、新しいことに挑戦するのは嫌いではありませんし、将来的に情報セキュリティの領域で人材需要が高まることが予想される中、自身のキャリアにとってプラスに働くことがわかっていたからです。

情報セキュリティの領域では、ビジネスサイドや、医療従事者の先にいる患者さんの存在を意識することがとても重要です。セールスやオンラインストアの仕事がいまの業務に直接役立っているとは思いませんが、これまでのキャリアで現場の肌感覚のようなものを培えたことは、自分の強みになっていると思います。

まったく新しい仕事にどのように適応していきましたか?

異動して最初に任されたのが機密情報の管理だったので、テクニカルな知識はそれほど必要ではありませんでした。仕事の難易度が上がったと感じたのは、グローバル化してから。周囲のフォローがあったので苦労した記憶はありませんが、英語でのコミュニケーションが基本になり、考え方や仕事の進め方などを大きく変える必要があったからです。

語学は得意ではなかったので、会社が用意するカリキュラムを通じて地道に学習しました。文法などは学校教育でひと通り学んでいるので、個人差はありますが、3年もあれば基本的には話せるようになると思います。

グローバル化の波に抵抗なく乗れたのは、異なる部署からやってきたからかもしれません。既存の方法に固執せず、開かれた態度で取り組むことができたからです。上司をはじめ周囲にも助けられてきましたし、何事にも積極的に挑戦する私の性格も良い具合に作用していると思います。

社内の情報のやり取りのスピードを加速させ、組織文化変革の足がかりに

いまの部署に来てからどんな点で成長したと感じますか?

異動してから、CISO(Chief Information Security Officer)など、経営層やそれに近い職位の近い方々とフリーディスカッションする機会がありました。思考を構造化し、論理的なプロセスを学ぶ場に恵まれていることが、成長につながっていると思います。

自分で作成した資料を使ってグローバルにさまざまなメンバーへプレゼンテーションすることもあるので、多様な視点からフィードバックを受けて新たな視点が養えるところも魅力的です。俯瞰的に物事を考え組み立てる能力が備わったことが最大の成長点だと思います。

データの分類・識別・利活用や生成AIの運用など、将来的に需要が高まると予想される領域に直接触れられるなど、キャリアを着実に積み上げている感触があります。ある程度の裁量権も与えられていているので、ジョブチェンジしたことをとてもポジティブに捉えています。

さまざまな部署や業務を経験してきた立場から、現在のオリンパスが抱える課題やこれからの取り組みについて教えてください。

データの利活用、生成AIなど、オリンパスは情報の取り扱いの分野において、スピード感が不足していると思います。オリンパスとして、全体的に最初から完璧なものをつくろうとする傾向がありますが、こうしたアプローチは時代にフィットしていないと感じることがあります。初期段階で細部まで詰めても、最終的に修正が必要になることが多いため、なるべくアジャイルな進め方へシフトしていく必要があると感じています。

オリンパスは長年にわたり医療機器を扱ってきた会社ですから、慎重に重大なミスを回避しようとする傾向があるのは理解できます。しかし、グローバルメドテックカンパニーとして、慎重なだけではなく、全社でPatient Safetyの意識を再認識しながら、世の中の動きに対して迅速に進めていくことが重要だと思っています。

Inforsecではとくにスピード感を重視してきました。私たちがリードしながら情報のやり取りの速度を高めることによって、組織文化そのものも変えていけたらと考えています。

ものづくりの分野でも、当社では近年、安定的かつ迅速に製品を量産可能なシングルユース製品の開発にも力を入れてきました。スピードと安全性のバランスをいかに取るか、適切な経営判断が求められていると思います。

幅広い経験が強みに。ジョブチェンジが紡ぐキャリアの可能性

今後の展望について教えてください。

データを活用したビジネス展開がオリンパスにとって必要と考えています。病院などの医療施設ではまだまだ古いシステムが使われていますが、今後オンライン診断が増えるなど、医療業界のIT化がますます進むことが見込まれる中、内視鏡だけでなくソフトウェアの領域にどこまで切り込んでいけるかが課題となっていくはずです。保有する膨大なデータを武器に、当社が市場開拓をリードする存在になっていければと思っています。

個人的には、現在取り組む3つの業務に引き続き取り組んでいくつもりです。機密情報の管理、データの分類・識別・利活用、生成AIの運用は、互いに関連性のある領域なので、ビジネスサイドへと落とし込むことを目標に、それぞれ理解を深めていきたいと考えています。それが製品開発を加速させ、ひとりでも多くの患者さんの助けになることを期待しています。

ジョブチェンジを考えている方へのアドバイスをいただけますか?

以前に培った経験がいまの部署で役立っている実感があり、さまざまな部署を渡り歩くことに対して私は肯定的です。キャリアにおいて、特定の専門領域を深く掘り下げることだけが武器になるわけではないというのが私の考えです。

自分なりに経験したことを強みにすることができれば、情報のスペシャリストたちとも互角に渡り合うことができると考えています。

明確なキャリアビジョンを持った上で、自分の意志で部署を選び取るのが理想的ですが、組織である以上はそうもいかないこともあります。過去の経験を活かせるかどうかは異動先にもよりますが、仮に不本意な異動だとしても、長い目で見ればプラスになるケースはあるのではないでしょうか。幅広い知識や経験、バックボーンを武器にするキャリアの築き方も選択肢に入れてみることで、見えてくる景色があると思っています。

記載内容は2023年7月時点のものです

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