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グローバルサプライチェーンの中で磨かれる専門性──医療機器貿易に携わるやりがい

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輸出における関税削減がミッション。鍵となるのは部門・組織を超えた情報収集

所属する部署での仕事について教えてください。

私が所属するSCMトレードコンプライアンスでは、FTA(Free Trade Agreement)などの経済関係の強化をめざし、貿易や投資の自由化・円滑化を進める協定に基づいて、医療機器にかかる関税を削減する取り組みを行っています。

関税削減によるメリットを享受できるのは輸入側の企業なので、欧州や韓国などの海外現地法人とのやりとりが中心です。日本に輸入される製品にも協定は適用されますが、そもそも日本では関税がほとんどかかりません。そのため、日本から各現地法人に向けて輸出される製品を主に取り扱っています。

協定では、製造工程で付加された価値が一定の条件を満たした場合にその産品を原産品と認める基準が設けられているため、関税削減対象となる製品を識別する目的で、製造工程に関する情報も集めています。

国内で生産された原産品であると認められるためには、原産地証明を取得しなくてはなりません。詳細な部品表から材料費を算出し、貨物を積み込んだ時点での製品価格と比較することで、価値が付加されていることを裏づけていきます。

FTAの活用にとって最も重要なのが、こうした情報収集および原産性判定です。各国の最新の法令のみならず、新製品の価格データや製造工程フロー図など、あらゆる情報を集めながら、協定の条件を満たしていることを証明していくのが、私たちのミッションです。

どんなところにお仕事の意義を感じていますか?

トレードコンプライアンスの仕事を進めていくには、現地法人、調達部門、製造工場、受注管理部門、船積部門などとの連携が不可欠です。こちらからヒアリングして情報を収集し、理解を深めていかなければ、成果にはつながりません。

部門・組織を越えて協力しながら仕事を進めていく中で、さまざまな人、考え方に触れられるところに意義を感じています。また、医療機器を取り扱う企業の一員として、世界の人々の健康や健康意識の向上に貢献できていることもやりがいのひとつです。

安全保障輸出管理から関税対策へ。新しい業務に挑戦

これまでのキャリアについて教えてください。

日本の大学院を出たあと、国内の機械メーカーに就職しました。前職で安全保障輸出貿易管理、展示会への出展、予算管理、子会社管理など幅広い業務を経験できた反面、より専門性の高い仕事がしたいと考えるようになりました。

転職先を探して見つけたのがオリンパス。安全保障輸出貿易管理の経験が活かせること、医療機器を通じて社会貢献ができることに惹かれて入社を決めました。

オリンパス入社後、最初の3年間は安全保障輸出貿易管理に携わりました。国際的な枠組みのもと、各国が協調して安全保障輸出貿易管理の取り組みを実施する業務です。

たとえば、この会社と取引をしても国際平和に悪影響をおよぼさないか、顧客・取引を審査するなど、経済産業省から許可を取得するための書類作成を担当していました。

最新の法律に基づいて審査が行われるため、安全保障輸出貿易管理の業務では法令に関する情報収集が欠かせません。資格試験のための勉強もしながら知識を蓄えました。

その後、FTA業務を担当するようになってどんな変化がありましたか。

部署全体の業務変更という形で、FTA業務を担当することになりました。概要は知っていても法令の詳細知識や実務経験がなかったので、部内で勉強会を開いて、全体のレベルアップを図りました。

また、海外現地法人とのやりとりはすべて英語。それまで仕事の中で英語を使う機会はほとんどなかったため、最初は苦労したのを覚えています。

とはいえ、教育体制は充実していました。英語に関しては社内の英語習得プログラムを活用し、基本的な英会話スキルなどを身につけています。セミナーに関しても、4〜6月までの3カ月の間、1カ月当たり2回のペースで受講するなど、業務の合間に無理なく学べる環境がありました。

英語も日本語も私にとってはどちらも外国語。100%理解できているわけではありませんが、皆さんがこちらの意図を汲み取ろうとしてくれていることもあり、シンプルでわかりやすい表現を心がけることで、うまくコミュニケーションができていると感じます。

成果が明確な数字となって表れる、会社の利益に貢献していることを実感

印象に残っている仕事について教えてください。

韓国のFTA対策をしたときのことが記憶に残っています。欧州向けは前任者が確立した方法を引き継いで業務に当たることが多いのですが、韓国は事例がなくゼロからのスタート。工場や調達部門と相談しながら、前例のない関税対策を行いました。

工場や調達部門だけでなく、それまでやりとりしたことがなかったオリンパスグループ外のサプライヤー様とも会議を重ね、製品や製造工程について学び、理解を深めながら進めていきました。

こちらから依頼するタスクは、各部門の人にとって本来の仕事ではないため、追加業務になってしまいます。担当者や上層部に納得して協力してもらえるように、まず関税や協定について基本的なところから説明しつつ、削減できる具体的な金額を伝え、オリンパス全体へのメリットを感じてもらえるように努めました。コミュニケーションのとり方を工夫することで、前向きに協力してもらえたと実感しています。

また、工場の人たちには監査対応などで多忙な時期があります。負担にならないよう、長期的なスケジュールを組んでコミュニケーションを密に取り、日程を柔軟に調整するといった対応も心がけました。

皆さんの協力もあって、削減が実現できたときは非常に嬉しかったです。協力してくれた部内、部外の皆さんに感謝いたします。

関税削減のお仕事ならではのやりがいはありますか?

関税削減の業務は、目標や結果を数字ではっきりと表すことができます。以前に携わっていた安全保障輸出貿易管理業務は、審査の完遂という明確な目標に対し、その目標の達成度を評価していました。

つまり、受け身であった仕事だったのに対し、『今年は関税をいくら削減する、いくら削減できた』という具合に、目標と成果が明確な数字となって表れるのです。だからこそ、手ごたえがあり、目標に対するモチベーションを維持しやすいと感じています。

考え方、働き方が広がっていく。グローバル化とともに高まる柔軟さ

オリンパスがグローバル企業への転換を図る中、変化を感じる点もありますか?

アジアだけでなくヨーロッパやアメリカ人の姿を社内でよく見かけるようになりました。以前は国や文化ごとに異なる考え方、仕事の進め方がありましたが、グローバル化が進んだことで、最近は互いの良い部分を認め合い、取り入れながら進めていく様子が見られます。

優先されるべきスタンダードがあるのではなく、方向性・選択肢が多様化するなど、より柔軟になりました。また、英語を使う機会が増えたからか、伝えたいことをストレートに表現する傾向が強まっていると感じていて、全体的に仕事がしやすくなったと思います。

今後の展望を聞かせてください。

「この人なら安心して仕事を任せられる」と思ってもらえるようになることが目標です。部内はもちろん、他部門や社外の方からも頼られる存在になっていきたいと考えています。

また、専門家になりたいという気持ちは今も変わっていません。現在は日本から輸出される貨物を扱っていますが、現在の業務で十分に経験を積んだあとは、日本以外の国から輸出される貨物についての知識も深めていきたいと考えています。スペシャリストをめざしてキャリアを歩んでいきたいですね。

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