私が所属するSCMトレードコンプライアンスでは、FTA(Free Trade Agreement)などの経済関係の強化をめざし、貿易や投資の自由化・円滑化を進める協定に基づいて、医療機器にかかる関税を削減する取り組みを行っています。
関税削減によるメリットを享受できるのは輸入側の企業なので、欧州や韓国などの海外現地法人とのやりとりが中心です。日本に輸入される製品にも協定は適用されますが、そもそも日本では関税がほとんどかかりません。そのため、日本から各現地法人に向けて輸出される製品を主に取り扱っています。
協定では、製造工程で付加された価値が一定の条件を満たした場合にその産品を原産品と認める基準が設けられているため、関税削減対象となる製品を識別する目的で、製造工程に関する情報も集めています。
国内で生産された原産品であると認められるためには、原産地証明を取得しなくてはなりません。詳細な部品表から材料費を算出し、貨物を積み込んだ時点での製品価格と比較することで、価値が付加されていることを裏づけていきます。
FTAの活用にとって最も重要なのが、こうした情報収集および原産性判定です。各国の最新の法令のみならず、新製品の価格データや製造工程フロー図など、あらゆる情報を集めながら、協定の条件を満たしていることを証明していくのが、私たちのミッションです。