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2003年 9月25日
オリンパス、世界初の脳神経外科専用内視鏡システム
無重力感覚で内視鏡を自在に操作できる
「EndoArm(エンドアーム)」新発売
「EndoArm(エンドアーム)」全景 「EndoArm(エンドアーム)」内視鏡部分
全景 内視鏡部分
「EndoArm(エンドアーム)」
オリンパス光学工業株式会社(社長:菊川  剛)は、世界で初めて脳神経外科専用に開発した内視鏡システム「EndoArm(エンドアーム)」を発売します。「EndoArm」は、オリンパスが持つ内視鏡と手術用顕微鏡※1の技術やノウハウをベースにして、内視鏡と固定用の架台アーム、TV装置を一体化したシステムで、内視鏡の微細な動きの確保や確実な固定、内視鏡観察下における処置空間の確保など、脳神経外科医が求める使いやすさと安全性に重点を置いて開発したものです。
※1 手術用顕微鏡
脳神経外科における手術では、1mmにも満たない細い血管の処理や神経をよけながら、腫瘍の切除などを行います。その際、術部を拡大、立体観察するために使用する器械が手術用顕微鏡です。術者は、手術用顕微鏡を覗きながら微細な手術を行います。
「EndoArm」は、10月1日(水)から3日(金)まで仙台国際センターほかで開催される「第62回日本脳神経外科学会総会(学会長:東北大学総長 吉本高志)」で展示されます。
「EndoArm」の発売の概要
製品名 発売時期
EndoArm 2004年2月初旬
主な特長の概要
1.  内視鏡の自在な操作と正確で安全なブレーキ解除・固定が可能
2.  準備・移動が容易なフロアスタンド式
3.  観察光学系、TVカメラを内蔵したオールインワングリップにより操作性を向上
4.  術部処置の作業性を向上させるクランク型専用内視鏡
5.  様々な術式に応じた多彩な内視鏡ラインアップ
市場導入の背景
内視鏡外科手術は、開腹せずに胆嚢を摘出したり、胃・大腸を部分切除するため、近年のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上に伴い急激に普及し、消化器外科に限らず胸部外科や産婦人科、泌尿器科へも広がりを見せています。
脳神経外科における内視鏡手術※2は、1970年代から行われ始めていますが、まだ広く普及しているとは言えない状況です。その理由の一つに、現在の内視鏡システム(内視鏡、固定用ホルダー、TV装置等)は、他の診療科向けのものや汎用性を持たせた機器類の組み合わせであるため、脳神経外科のニーズに合致していなかったことが挙げられます。脳神経外科における内視鏡手術では、頭蓋内での内視鏡の微細な動きの確保や確実な固定、内視鏡観察下における処置空間の確保など、高度な機能を必要とするため、市場では専用のシステムが望まれていました。
「EndoArm」は、各ユニット同士を接続するといった従来の概念を払拭し、世界で初めて脳神経外科向けに総合的に専用設計を行った内視鏡システムです。これは、内視鏡やTV装置のほか、手術用顕微鏡で培った架台アーム等の技術・ノウハウを持つ総合メーカーであるオリンパスだからこそ成し得たものです。
※2 脳神経外科における内視鏡手術
手術用顕微鏡では死角となる位置を観察する目的で、補助的に使用する方法もありますが、内視鏡による手術も注目されています。脳の一番奥にある下垂体の腫瘍は、アプローチ方法や低侵襲性から、経鼻的に内視鏡で摘出手術が行われるケースがあります。また、脳内の血腫を吸引・除去する手術も内視鏡で行われることがあります。
主な特長の詳細
1.  内視鏡の自在な操作と正確で安全なブレーキ解除・固定が可能
  手術用顕微鏡のノウハウを活かしたカウンターバランス方式※3の採用と窒素ガスによるブレーキ制御の組み合わせによって、使い慣れた手術用顕微鏡の操作に近い無重力感覚で内視鏡を自在に操作することと正確な固定が可能です。
また、2つのスイッチを同時に押すことによりブレーキが解除されるダブルロック・フリースイッチの採用で、誤操作による不意なブレーキ解除を防止しました。
迅速性を必要とする手術においては、狙った位置でしっかりと画像を捉えることが重要です。「EndoArm」では、これらにより、アームの固定・解除時に発生していた内視鏡先端のズレを極限まで抑えています。
※3 カウンターバランス方式
長時間に及ぶ手術中を通して使われる手術用顕微鏡は、術者が楽な姿勢を保ったまま様々な方向、角度から術部を拡大観察出来るように、複雑な天秤構造によって、あたかも顕微鏡が空中に浮遊するかのごとくバランスが取られています。このように、おもりにより天秤の原理でバランスを取る仕組みのことをカウンターバランス方式と呼びます。
2.  準備・移動が容易なフロアスタンド式
  従来使用されていた内視鏡固定アームは、手術ベッドのレールに取り付けるタイプでしたが「EndoArm」は、手軽に移動できるフロアスタンド方式を採用。必要な時にすぐにセットアップすることが可能で、使用後の撤退も容易です。手術の進行を妨げず、内視鏡を必要に応じて使用することが可能です。
また、手術ベッド周辺のレイアウト制限を受けないので、様々な部位、術式に対応できます。
3.  観察光学系、TVカメラを内蔵したオールインワングリップにより操作性を向上
  アームに内視鏡を接続するグリップ内部に、観察光学系、TVカメラ、ライトガイドを内蔵したことで、術部周辺の煩雑さを一掃。内視鏡画像のフォーカスやズーム、ローテーションの各操作ダイヤル、及びアーム制御のロック・フリースイッチをグリップ部に集約することで、内視鏡位置の微調整から画像調整まで、必要とされる操作が片手一つで行えます。
4.  術部処置の作業性を向上させるクランク型専用内視鏡
  内視鏡自体を屈曲させたクランク型にすることで、内視鏡下での処置具の挿入・操作において広い作業空間を確保し、術部処置の作業性を向上しています。更に、手術用顕微鏡と内視鏡を同時に使用する際に、手術用顕微鏡の視野の干渉を最小限にできます。
なお、専用内視鏡は、「EndoArm」に対してワンタッチで着脱可能なので、必要に応じて違う方向から術部を確認する際、素早く内視鏡を交換できます。
手術用顕微鏡の視野干渉防止
5.  様々な術式に応じた多彩な内視鏡ラインアップ
  2種類の外径(2.7mm/4mm)、3種類の視野方向(0°/30°/70°)の内視鏡をラインアップし、様々な術式に対応します。
「EndoArm」の主な仕様
項目 仕様
電源 電圧 100V交流
周波数 50/60Hz共用
入力電流 0.3A
使用ガス ガス 窒素ガス
使用圧力 0.85MPa
大きさ 寸法 770×580×1,200mm
(架台の大きさ×全高)
重量 60Kg
専用内視鏡 接続方式 クイックロック方式
(術中の交換可能)
外径 φ2.7mm、φ4mm
視野方向 0°、30°、70°
変倍 倍率比(ズーム比) 2倍(光学式)
焦準 焦準範囲 各種専用硬性鏡に対してピント調整可能
観察像回転位置補正 回転範囲 360°
照明 照明方式 ファイバーライトガイド
撮影装置 TVカメラ 弊社ビデオシステム「VISERA」
架台 支持方式 フロアスタンド方式
バランス方式 カウンターバランス方式
アーム最大伸長 830mm
アーム上下可動範囲 1,400mm
本リリースに掲載されている「EndoArm/エンドアーム」は、弊社の登録商標です。
オリンパス光学工業株式会社は、2003年10月1日をもってオリンパス株式会社と社名変更いたしました。
  • 本リリースに掲載されている内容は、報道関係者向けに発表した情報です。
  • 掲載内容は、発表日現在の情報であり、ご覧になっている時点で、予告なく情報が変更(生産・販売の終了、仕様、価格の変更等)されている場合があります。
  • 掲載されている社名、製品名、技術名は各社の商標または登録商標です。


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