2006年12月26日
オリンパス、特殊光観察の普及を目指し
通常光観察と狭帯域光観察(NBI)が可能な普及型システム
内視鏡ビデオスコープシステム
EVIS LUCERA SPECTRUM(イーヴィスルセラ スペクトラム)NBIシステム」発売
オリンパスメディカルシステムズ株式会社(社長:森嶌治人)は、がんの早期発見、病変の悪性度や範囲診断などを目的に、通常光観察とがんの栄養補給路である粘膜表層の毛細血管や粘膜微細模様などを、色調の違いとして強調表示する狭帯域光観察(NBI)機能を搭載した内視鏡ビデオスコープシステム「EVIS LUCERA SPECTRUM NBIシステム」を発売します。2007年1月12日から国内で販売を開始し、順次、中国、韓国、台湾、シンガポール等アジア地域への販売を予定しています。
本システムは、本年6月に発売し、3つの特殊光観察機能※1を搭載した内視鏡ビデオスコープシステム「EVIS LUCERA SPECTRUM」の追加ラインアップです。従来のハイビジョン画質による通常光観察に加え、3つの特殊光観察機能の内、多くの臨床研究発表でその応用例が報告され、医学界においてご好評を頂いている「狭帯域光観察(NBI)」に機能を絞った普及型システムとして発売します。これにより、コストパフォーマンスを実現し、特殊光観察を新たな診断ツールとして普及を図ってまいります。尚、「NBI」は弊社製の既存ビデオスコープ※2との接続で使用可能です。
※1 | (1)狭帯域光観察(NBI:Narrow Band Imaging):下記、「狭帯域光観察(Narrow Band Imaging = NBI)の技術説明」を参照。
(2)蛍光観察(AFI:Auto Fluorescence Imaging):コラーゲンなどの蛍光物質からの自家蛍光を観察するための励起光(390~470nm)と血液中のヘモグロビンに吸収される波長(540~560nm)の光を照射することにより、腫瘍性病変と正常粘膜を異なる色調で強調表示する特殊光観察。 (3)赤外光観察(IRI:Infra Red Imaging):赤外光が吸収されやすい赤外指標薬剤を静脈注射した上で、2つの赤外光(790~820nm/905~970nm)を照射することにより、通常光観察では視認が難しい粘膜深部の血管や血流情報を強調表示する特殊光観察。 |
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※2 | 「NBI」本来の機能を発揮させるために、高画質タイプのビデオスコープを推奨します。 |
発売の概要(国内)
製品名 | 発売日 |
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内視鏡ビデオスコープシステム「EVIS LUCERA SPECTRUM NBIシステム」※3 | 2007年1月12日 |
※3 | 「EVIS LUCERAビデオシステムセンター OLYMPUS CV-260SL」「EVIS LUCERA高輝度光源装置 OLYMPUS CLV-260NBI」のシステム(その他のビデオスコープ、周辺機器等は含まず) |
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市場導入の背景
近年国内では、人口の老齢化に伴いがんによる死亡率が増加傾向にあります。消化器がんの中でも、胃がんの死亡率は減少傾向にあり、内視鏡をはじめとした早期診断、早期治療などの医療技術の進歩が関与していると考えられています。内視鏡は、消化管のスクリーニング(病変発見のための検査)、精密検査、治療において欠かすことが出来ない診断・治療機器として普及してきました。内視鏡診断技術は、主に粘膜表面の微妙な色調や凹凸を捉えるための高画質化により、2002年にはハイビジョン画質を実現しています。弊社は、これに加え新たな診断ツールとして、粘膜表面に現れない血管などの病変の特徴を色調として捉える3つの特殊光観察技術を開発し、がんなど微細病変の早期発見や術前の病変範囲の精密診断などを目的とした内視鏡ビデオスコープシステム「EVIS LUCERA SPECTRUM(イーヴィスルセラ スペクトラム)」を2006年6月に発売しました。
本システムに搭載される通常光観察に加え、3つの特殊光観察機能の内、多くの臨床研究発表でその応用例が報告され、発売当初から医学界においてご好評を頂いている「狭帯域光観察(NBI)」に機能を絞った普及型システムの発売により、特殊光観察を新たな診断ツールとして更なる普及を図ってまいります。
狭帯域光観察(Narrow Band Imaging = NBI※4)の技術説明
「NBI」は、血液中のヘモグロビンに吸収されやすい狭帯域化された2つの波長の光を照射することにより、粘膜表層の毛細血管、粘膜微細模様の強調表示を実現します。血管を高いコントラストで観察するために、(1)血液に強く吸収される、(2)粘膜表層で強く反射・散乱される、という特長を併せ持つ光の利用に着目し、粘膜表層の毛細血管観察用に青色の狭帯域光(390~445nm)、そして深部の太い血管観察と粘膜表層の毛細血管とのコントラストを強調するために緑色の狭帯域光(530~550nm)を使っています。これにより、食道領域の詳細診断や大腸のピットパターン(腺管構造)観察のために広く行われている色素散布の代替法として期待されます。また、検査時間や不必要な生検の減少によって、検査の効率化への貢献が期待されています。
尚、擬似的な狭帯域画像を信号処理する方法では、粘膜組織の状態や観察条件によって結果が変化し、十分な効果を発揮できない恐れがありますが、「NBI」では、実際に照射する光の波長を変えているため、常に粘膜表層の毛細血管及び粘膜微細模様を効果的、安定的に強調処理することが可能です。
※4 | 「NBI」及び「Narrow Band Imaging」は、オリンパス株式会社の登録商標です。 |
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期待される適用分野と応用例
下咽頭、食道、大腸、胃などあらゆる分野の検査で研究されており、これまでに多くの論文や学会発表でその応用例が報告されています。
期待される適用分野 | 期待されている応用例 |
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下咽頭・食道 | 下咽頭がん、早期食道がん、バレット食道※5の病変範囲の同定と良悪性診断 |
大腸 | 微小ポリープの発見、近接・拡大観察と組み合わせたピットパターン(腺管構造)観察による悪性度診断 |
胃 | がん組織型の診断 |
※5 | 胃酸が食道に逆流し、食道粘膜が炎症を繰り返す結果、食道粘膜が胃粘膜の円柱上皮に置き換わる疾患。 |
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通常光による大腸腺腫の観察像例 | NBIによる大腸腺腫の観察像例 |
NBIと拡大機能を併用した大腸腺腫の観察像例 | |
写真提供: 国立がんセンター東病院 内視鏡部消化器内科 (医療法人薫風会 佐野病院)佐野 寧 先生 |
主な仕様
EVIS LUCERAビデオシステムセンター OLYMPUS CV-260SL形状寸法 | 382(W)×78(H)×498(D)mm |
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質量 | 9.4kg |
消費電力 | 150VA |
映像信号出力 | HDTV(RGB:1 or YPrPb:1)、SDTV(RGB:3、Y/C:2、NTSC:2) |
主な機能 | 特殊光観察機能(狭帯域光観察:NBI、蛍光観察:AFI、赤外光観察:IRI)ハイビジョン信号出力、適応型IHb色彩強調、IHb擬似カラー表示、構造強調、電子ズーム、動画色ずれ補正、フラッシュレリーズ、オート測光、プリフリーズ、オートホワイトバランス |
形状寸法 | 381(W)×162(H)×536(D)mm |
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質量 | 16kg |
消費電力 | 500VA |
ランプ | キセノン300W |
主な機能 | 特殊光観察機能(狭帯域光観察:NBI) ±8段階自動調光レベル調整、強・中・弱3段階送気、非常灯自動切替 |
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