2008年10月14日
内視鏡総合メーカーのオリンパスメディカルシステムズ
日本メーカー初、通常内視鏡に匹敵する高画質を実現した
小腸用の「オリンパスカプセル内視鏡システム」“エンドカプセル”
10月15日に日本で発売
オリンパスメディカルシステムズ株式会社(社長:森嶌 治人)は、日本メーカー初で、通常内視鏡に匹敵する高画質を実現した小腸用の「オリンパスカプセル内視鏡システム(愛称:Endo Capsule)」(以下、「エンドカプセル」)を10月15日から日本で販売を開始します。
小腸領域において、診断を目的とするカプセル内視鏡、さらに診断・治療を目的とするシングルバルーン小腸内視鏡システムや内視鏡用処置具の技術を更に発展させて、小腸疾患の診断・治療に今後も貢献していきます。
「エンドカプセル」の発売の概要(国内)
販売名:「オリンパスカプセル内視鏡システム」
構成品 | 発売時期 |
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カプセル内視鏡システムセットA「MAJ-1467」※1 | 2008年10月15日 |
ワークステーション「OLYMPUS WS-1」※2 | |
カプセル内視鏡セット「MAJ-1733」※3 |
※1 | 受信装置、ビュワー、バッテリーパック、アンテナユニット、ホルダー、充電器、クレードル、ビュワーケーブルが含まれます。 |
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※2 | エンドカプセルPCセット、液晶モニター、レーザープリンターが含まれます。 |
※3 | 小腸用カプセル内視鏡(1個)、アンテナカバー(10個入り)、カプセル内視鏡回収セット(5個分)が含まれます。 |
主な特長の概要
- 通常内視鏡に匹敵する高画質を実現した小腸用カプセル内視鏡(外径11mm、長さ26mm)
- 世界初のリアルタイム観察を実現するビュワー
- 約6万枚の画像から医師の読影作業を効率化するワークステーション
- 内視鏡業務支援システム「Solemio ENDO(ソレミオエンド)」との連携を予定
「エンドカプセル」のシステム構成
- (1)小腸用カプセル内視鏡「OLYMPUS EC TYPE 1」
- (2)ビュワー「OLYMPUS VE-1」
- (3)受信装置「OLYMPUS RE-1」
- (4)アンテナユニット「MAJ-1474」
- (5)ワークステーション「OLYMPUS WS-1」
小腸用カプセル内視鏡の検査とは
小型カメラや照明を内蔵した錠剤大のカプセルを飲み込むことで、小腸全体の撮影を行う患者さんにとって負担の少ない検査です。カプセルは、消化管の蠕動運動によって移動しながら1秒間に2枚、約8時間かけて合計約6万枚撮影します。撮影画像は、カプセル本体から無線で患者さんが身に着けたアンテナに送信され、順次受信装置に蓄えられます。患者さんは、カプセルを飲み込んでから1~2時間後には病院を出て通常の生活に戻れます。撮影終了後、医師が受信装置から画像データをワークステーションにダウンロードして診断します。
カプセル内視鏡検査の手順
以下、※の項は必要に応じて実施。
<検査前>
- 患者さんは検査の8時間以上前から絶飲食を行う。少量の水は可。
- 受信装置とビュワー用のバッテリーパックの充電および受信装置の初期化を行う。
<検査開始:カプセル内視鏡投与>
- 患者に受信装置およびアンテナユニットを取り付ける。
- カプセル内視鏡の滅菌包装を開封し電源を投入する。
- カプセル内視鏡をアンテナユニットに近づけ、ビュワーに画像が表示されていることを確認する。
- 患者さんは水とともにカプセル内視鏡を飲み込む。
- ビュワーに消化管の画像が表示されていることを確認する。
※ カプセル内視鏡が胃に到達したことを確認する。 ※ カプセル内視鏡投与から4時間後まで、患者さんは食事が摂れません。
- ビュワーのカラー表示パネル画面にて、カプセル内視鏡が胃の幽門を通過していることを確認する。
※ この時点でカプセル内視鏡が幽門を通過していない場合は、メトクロプラミド等の蠕動促進剤を投与し、胃からの排泄を促進する。
<検査終了:カプセル内視鏡投与約8時間後>
- 患者さんから受信装置およびアンテナユニットを取り外す。
<フォローアップ>
- 患者さんは、カプセル内視鏡が排便時に排泄されたことを確認し、回収する。
- 担当医師は、数日後、患者さんにカプセル内視鏡の排泄確認を行う。
※ カプセル内視鏡の排泄が確認されない場合は、投与日から2週間以内に単純X線撮影を行い、体内への残留について確認する
<画像観察と診断>
- 受信装置に記録された画像データをパソコン本体に伝送する。
- 医師は、パソコン本体にインストールされている専用ソフトを使って、画像観察と診断を行う。
参考出典:「カプセル内視鏡」(発行元:診断と治療社)
慶應義塾大学病院 内視鏡センター 緒方 晴彦先生のコメント
小腸は暗黒大陸といわれるほど、その臓器特性ゆえに従来より小腸粘膜を直接観察することが難しい臓器でした。そのような中で、患者様に全く苦痛がなく、小腸粘膜を直接観察可能なカプセル型内視鏡はまさに画期的なアイテムであると感じています。当施設では、治験段階より参加させて頂きましたが、実際の臨床では想像以上に綺麗な画質に非常に驚いたものです。現在の対象臓器は小腸のみですが、今後は技術が進化し、他臓器でも使用可能なカプセル型内視鏡の登場を期待したいと思います。
「エンドカプセル」の主な特長
1.通常内視鏡に匹敵する高画質を実現した小腸用カプセル内視鏡(外径11mm、長さ26mm)
- 高解像度CCDを採用
高解像度CCDの採用に加え、当社が長年培ってきた内視鏡の高画質化のための光学技術や画像処理技術により鮮明な画像を実現します。 - 自動調光機能
従来の内視鏡技術を活かして、粘膜近点のハレーション※4を抑えながら、深部は明るく照らす照明強度の自動調節が可能な自動調光機能を採用することで、よりクリアな観察視野を実現します。※4 強い光による写真のぼやけ現象 - 構造強調機能
粘膜色の差や微小な粘膜構造の観察を支援するために、画像再生時に8段階の設定が可能な構造強調機能を採用。 - 広範に明るい観察視野
145度の広い視野角と6つの白色LEDにより、広範に明るい観察視野を実現します。 - 省エネ技術を採用した小型バッテリーと無線送信機能を搭載
当社独自の低エネルギー消費の画像処理技術と送信モジュールを実装した約8時間駆動するバッテリーを搭載。1秒間に2枚の画像をカプセル本体に内蔵する無線送信装置からアンテナユニットを通じて受信装置に送信します。
カプセルの模式図 | 「原因不明の消化管出血」
提供:慶應義塾大学病院内視鏡センター |
(提供:慶應義塾大学病院内視鏡センター 緒方 晴彦先生)
2.世界初※5のリアルタイム観察を実現するビュワー
- カプセル内視鏡の動作確認が可能
患者さんがカプセルを飲み込む前に動作確認が可能です。また、飲み込んだ後は、カプセルの画像が受信装置に転送されているかをカラーディスプレイで確認できます。 - カプセル内視鏡の消化管内の移動状況の確認が可能
カプセルがどの臓器に存在しているかを画像から推測できます。また、カプセルの胃の通過状況も確認できるため、小腸への早期到達を促すための医学的措置の必要性を判断できます。また、大腸到達後は検査システムを取り外して患者さんは検査を終了することも可能です。※5 2005年10月13日時点、カプセル内視鏡の分野において。オリンパス調べ。
3.約6万枚の画像から医師の読影作業を効率化するワークステーション
- 動きの大きい画像を静止画で一覧表示する「オーバービュー機能」
全撮影画像のうち、前画像に対して動きの大きい画像を数百から数千枚の静止画(5段階の設定)で一覧表示できます。精密検査が必要な画像を絞り込んで、その前後の画像を表示させることで効率的な画像解析が行えます。 - 動きの小さい画像をスキップして動画再生が可能な「エクスプレスビュー機能」
全撮影画像のうち、動きの小さい2割から8割の画像をスキップ(5段階の設定)して動画再生が可能な「セレクトモード」のほか、スキップされた動きの小さい画像を動画再生する「スキップモード」が選択できます。 - 出血点の発見をサポートする「赤色検出機能」
赤い色の割合が高い画像群をピックアップできます。これにより、出血の疑いのある箇所の効率的な発見をサポートします。 - 医師の読影作業を効率化する様々な表示機能
(1)微小な粘膜構造の観察を支援する「構造強調機能」および「拡大表示機能」
(2)表示速度を最適化する「自動速度調整機能」
(3)タイムバー上に各消化管の入口を設定可能
(4)各消化器臓器の画像平均色を示す「平均色バー」
(5)1、2、4枚の画面表示の切り替えが可能
(6)毎秒最大40コマの表示が可能
(7)レポート機能、検査データ管理、画像や動画の作成および出力機能 - スピーディーなダウンロード時間
受信装置に保存された撮影画像を約20分でワークステーションにダウンロードできます。
ワークステーション「OLYMPUS WS-1」の画面イメージ
4.内視鏡業務支援システム「Solemio ENDO(ソレミオエンド)」※6との連携を予定
「ソレミオエンド」との連携を2009年4月以降に予定しています。連携した際には、「ソレミオエンド」に登録された患者基本情報を「ワークステーション」に転送が可能なため、重複する入力作業の負担軽減や入力ミスの防止に貢献します。また、「ワークステーション」で選択した画像を「ソレミオエンド」に転送が可能なため、「ソレミオエンド」で小腸レポートの作成や、データの一元管理、そして院内ネットワークシステムとの接続も可能です。
※6 | 内視鏡部門の予約・受付から前処置、検査、レポート入力、病理診断オーダー、画像確認・カンファレンスに至るまでの全業務をカバーし、オーダリングや電子カルテ、レセプト(診療報酬明細書)等のHIS(病院情報システム)とシームレスに連携する内視鏡部門システム。 |
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「エンドカプセル」の発売の背景
当社は1950年に世界で初めて胃カメラを実用化して以来、食道・胃・小腸・大腸など各消化管用の内視鏡や処置具など幅広いラインアップの商品を開発・製造し、全世界の顧客ニーズにお応えしています。長年、「暗黒大陸」といわれてきた小腸疾患の診断・治療領域においても、1973年に小腸ファイバースコープ、1997年から小腸ビデオスコープ、2007年からシングルバルーン小腸内視鏡システム、そして各種処置具を継続的に商品化してきました。また、1990年代初頭から、マイクロマシン・ナノテクノロジーなどの先進技術を活かし、将来技術の1つとしてカプセル内視鏡の開発に取り組んでまいりました。
このたび、日本で発売する「エンドカプセル」は、当社が長年培ってきた内視鏡の高画質化のための光学技術や画像処理技術、また小型化のためのマイクロマシン・ナノテクノロジーなど、当社が保有する技術の総結集により実現しています。また、全国の消化器内視鏡ユーザーに幅広くご採用頂いている内視鏡業務支援システム「Solemio ENDO(ソレミオエンド)」と連携(2009年4月以降を予定)することで、患者さんの各種データの一元管理など医療現場の使い勝手が向上します。
当社は、小腸領域において診断を目的とするカプセル内視鏡、さらに診断・治療を目的とするシングルバルーン小腸内視鏡システムや内視鏡用処置具の技術を更に発展させて、小腸疾患の診断・治療に今後も貢献していきます。
さらに、小腸だけでなく胃・大腸など他の消化器臓器の診断、そして治療を目的としたカプセル内視鏡の実現を目指し、患者さんの苦痛軽減に貢献していきます。
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