気候変動への取り組み

基本的な考え方

オリンパスグループは、事業活動に伴って発⽣する環境負荷を正確に把握し、環境負荷や環境リスクの⼤きさを考慮しながら、さまざまな環境への取り組みを進めています。また、気候変動を事業活動に影響を与える重⼤な課題と認識し、省エネや温室効果ガス排出量削減規制の情報把握、サプライヤーさまの多様化による突発的な洪⽔被害への対応などの対策を継続的に実施しています。⼀⽅、気候変動や⽔リスクの問題解決につながる環境に配慮した製品の開発・販売にも積極的に取り組んでいます。

TCFD に基づく情報開示について PDFファイルへのリンクです

環境目標と進捗

組織内(Scope1、2)の実績

2024年3⽉期⽬標 2024年3⽉実績 主な施策 2025年3月期⽬標

温室効果ガス排出量:55%削減
(対2020年3⽉期)

再⽣可能エネルギー導⼊率:75%

温室効果ガス排出量:51%削減
(対2020年3⽉期)

再⽣可能エネルギー導⼊率:78%

  • 製造改善活動の継続実施
  • 省エネ型設備の導⼊
  • 消灯、空調温度調整など⽇常的な省エネ活動の継続実施
  • エコカーの導⼊
  • 再⽣可能エネルギーの活⽤

温室効果ガス排出量:60%削減
(対2020年3⽉期)

再⽣可能エネルギー導⼊率:85%

(2026年3月期:
温室効果ガス排出量:65%削減
(対2020年3⽉期)
再⽣可能エネルギー導⼊率:90%)

オリンパスグループは、「2031年3月期までにオリンパスグループの事業所からの温室効果ガス排出量(Scope 1、2)に関してカーボンニュートラルを達成する」⽬標を設定し、製造改善活動や省エネ施策を引き続き推進するとともに、⾃社の事業所における再⽣可能エネルギー導⼊を推進するなど温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。また、エネルギー使⽤の多い拠点では専⾨家の設置や省エネ推進体制の整備などの取り組みを推進しています。

2024年3⽉期は、世界各国の拠点で継続的な製造改善活動、省エネ施策、社⽤⾞のエコカーへの更新、再⽣可能エネルギーの導⼊などを実施しました。これらの取り組みにより、2024年3月期の実績では、温室効果ガス排出量は2020年3月期比で51%削減(前年度46%)、総電⼒量当たりの再⽣可能エネルギー使⽤率は78%(前年度72%)と大きく向上することができました。

主な取り組みとしては、日本国内の各製造拠点で、エアリーク測定器によってエアリーク箇所の特定と対策を進めエネルギーロスを削減するなど省エネを推進しました。また、会津オリンパスでは、内部では発見しにくい省エネ施策を掘り起こすために外部専門家による省エネ診断を受診しました。

再⽣可能エネルギー導⼊拡⼤では、各国の普及状況や経済性などを考慮し導⼊検討を進めており、日本のオリンパステルモバイオマテリアル※1の三島工場と米州のOlympus Surgical Technologies America(Gyrus ACMI, Inc.)のRedmondの拠点、欧州のOlympus Medical Products Czech spol s.r.o.において使用する電力を100%再生可能エネルギー由来の電力に転換しました。

また、オリンパスグループでは事業所の新設・建替時にも環境に配慮した建物の建築を⾏っており、日本で新たに建築した長野事業場の建物において、100%再⽣可能エネルギー由来の電⼒を導⼊するとともに、空調機器の電化や太陽光発電システムの導入、電力モニターの導入・運用管理による省エネ化、クリーンルームにおける複数センサーの導入による省エネ運転化を⾏いました。また、欧州で2023年に建築した医療修理拠点のOlympus Medical Products Portugal, Unipessoal LDAの建物でにおいても、新たに太陽光発電システムを導入し利用を開始しています。

事業場で使用するガスの脱炭素化の取り組みも進めており、八王子事業場では2021年4月から、白河事業場では2023年10月からカーボンニュートラルガス※2を導入しています。(カーボンニュートラルガスへの切り替えにより約1,600tのCO2削減に貢献)

2031年3月期までにカーボンニュートラルを達成するために、2025年3月期は、Olympus Vietnam Co., Ltd.(OVNC)での太陽光発電システムの導入や、Olympus Corporation of the Americas(OCA)のCenter ValleyとBreinigsvilleの拠点およびOlympus Surgical Technologies America(Gyrus ACMI, Inc.)のWestboroughの拠点における使用電力の再生可能エネルギー由来電力への転換、日本国内の製造拠点でのカーボンニュートラルガスの導入拡大など、環境に配慮したエネルギーを選択することで、温室効果ガス排出量削減に貢献していきます。

※1 オリンパステルモバイオマテリアル株式会社を含む整形外科事業は2024年7月12日をもってポラリス・キャピタル・グループへ譲渡されました。

※2 カーボンニュートラルガス:利用するガスの発掘から燃焼に⾄るまでの⼯程で発⽣するCO2を、環境保全プロジェクト等により創出されたCO2クレジットで相殺したもの

環境データ集

環境に配慮した設計の長野事業場新棟


写真中央は屋根に設置した太陽光パネル(総発電容量180kW)

グリーン電力証書類

Olympus Europa SE & Co. KG (ドイツ)
Olympus Europa SE & Co. KG
(ドイツ)

KeyMed (Medical & Industrial Equipment) Ltd. (英国)
KeyMed (Medical & Industrial Equipment) Ltd. (英国)

Algram Group Ltd.(英国)
Algram Group Ltd.(英国)

Olympus Medical Products Portugal, Unipessoal LDA(ポルトガル)
Olympus Medical Products Portugal, Unipessoal LDA(ポルトガル)

Olympus Surgical Technologies America:Redmond (Gyrus ACMI, Inc.)(⽶国)
Olympus Surgical Technologies America:Redmond (Gyrus ACMI, Inc.)(⽶国)

Olympus Surgical Technologies America: Bartlett(Gyrus ACMI, Inc.)(⽶国)
Olympus Surgical Technologies America: Bartlett(Gyrus ACMI, Inc.)(⽶国)

カーボンニュートラルLNG供給証明書・ロゴマーク

カーボンニュートラルLNGバイヤーズアライアンス

カーボンニュートラルLNG供給証明書

カーボンニュートラル(CN)LPガス供給予定書

温室効果ガス排出量/原単位(Scope 1、2)

温室効果ガス排出量/原単位(Scope 1、2)
★ 第三者検証における保証対象指標

組織外(Scope3)の実績

オリンパスグループでは、サプライチェーン全体における温室効果ガス排出量をカテゴリーごとに把握・算定するとともに、グリーン調達の推進や物流効率改善、環境配慮型製品の開発など、サプライチェーン全体の温室効果ガス削減の取り組みを進めています。また、取引を行っているサプライヤーに対して、環境への配慮項目として温室効果ガスの排出量削減を実行するための自主目標を設定し継続的削減に取り組んでいただくようお願いするとともに、毎年1回、Webシステムを活用した企業調査を通じて、温室効果ガスの把握・目標設定・削減取組の状況を調査しています。これらの取り組みが評価され、国際的な⾮営利団体CDPより、「サプライヤー・エンゲージメント評価(SER)」において最⾼評価である「CDP2021サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」および「CDP2022サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」に2年連続で選定されました。

オリンパスグループのサプライチェーン全体における温室効果ガス排出量(Scope 1、2、3)においては、グラフに示す通りScope 3の温室効果ガス排出量が9割以上を占めています。その中でも特に購⼊した製品・サービス(カテゴリー1)、資本財(カテゴリー2)、輸送・配送(カテゴリー4)の上流側の温室効果ガス排出量の割合が非常に⼤きい状態です。
そのため、オリンパスグループでは長期目標である2040年ネットゼロ目標達成に向けて、Scope 3単独の短期目標として「2028年3月期までに当社サプライヤーの80%が科学的根拠に基づく温室効果ガス削減目標を設定(購入した製品やサービス、資本財、輸送・流通の排出量ベース)」を定め活動を推進しています。

2024年3⽉期は、購⼊した製品・サービス(カテゴリー1)、資本財(カテゴリー2)、輸送・配送(カテゴリー4)への取り組みとして、当社と取引のあるサプライヤーごとのCO2インパクトの分析・評価を実施するとともに以下の取り組みを進めており、当社サプライヤーの約3割が科学的根拠に基づく温室効果ガス削減目標の設定を完了もしくはコミットメントしています。

温室効果ガス排出量(Scope3)

温室効果ガス排出量(Scope3)
★ 第三者検証における保証対象指標

購⼊した製品・サービス(カテゴリー1)

⽇本の重点サプライヤー25社に対して説明会を実施し、ネットゼロ実現に向けて、温室効果ガス排出量の把握とパリ協定の1.5℃⽬標に沿った環境⽬標の設定を依頼し、排出量削減に向けて取り組みを推進いただくように協⼒依頼を実施しました。取り組みにあたっては、サプライヤーの希望に応じて個別の面談を実施し、温室効果ガスの把握方法や目標の設定方法の勉強会を開催しました。

輸送・配送(カテゴリー4)

国際間物流のフォワーダーから温室効果ガス排出量データを直接入手することで、データ精度の向上に取り組んでいます。また、Olympus Vietnam Co., Ltd.(OVNC)からOlympus Corporation of the Americas(OCA)に出荷していたものを、香港倉庫経由を廃止し直送化することで輸送距離の短縮化を図るとともに、香港倉庫からOlympus Europa SE & Co. KG(OEKGOE)向けをはじめとした主要な輸送ルートにおいて、飛行機から船舶へのモーダルシフトを積極的に進めることでCO2の削減につなげています。

今後も継続的にサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量の把握と管理に努めるとともに、サプライヤーとの協働による⾃主削減⽬標の設定、脱炭素活動の⽀援に取り組み、温室効果ガス排出量の削減を推進していきます。

CDP:2000年に発足した英国で設立された国際的な非営利団体。世界主要企業の環境活動に関する情報を収集・分析・評価し、これらの結果を機関投資家向けに開示しています。