世界におけるがん患者数の動向
1. 世界的にがんの罹患者数、死亡者数は増加している
近年、がんに罹患する人、そしてがんにより死亡する人は世界的に増加しています。世界保健機関(World Health Organization: WHO)の外部研究組織である国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer: IARC)は、世界185ヵ国におけるがんの発症や死亡に関する統計を行っていますが、この統計によれば、世界で2018年に新たにがんに罹患した人は1,810万人、がんにより死亡した人は960万人と推計されており、2002年や2008年、そして2012年の推計よりも大きく増加してきています。
2. どんながんが増えているのか
肺がんや乳がん、大腸がんなどについて2002年と2018年を比較してみると、いずれのがんも新たに罹患する人の数が増加していることがわかります。
ただし、肺がんや胃がん、大腸がんは減少傾向にある地域もあります。肺がんについては禁煙、胃がんについては衛生環境が改善され、食品の保存に使われる食塩の量が減少したことが特定の地域の患者数の減少に貢献していると考えられています。また、大腸がんが減少している地域では、積極的な検診により、がんになる前の状態でポリープと呼ばれる組織が発見され、早めに切除されていることが理由ではないかと考えられています。
3. 早期発見で治る可能性が高いがん
大腸がんや胃がんをはじめ、いくつかのがんにおいては早期発見により治癒する可能性が高まると考えられています。
例えば、大腸がんを早期に発見する方法としては、便潜血検査や内視鏡検査などが挙げられます。大腸がんは早期に発見されれば、内視鏡でがんを確認しながら切除できることも多く、より身体への負担が少ない(侵襲性の低い)治療が可能になってきています。また、胃がんについてはX線検査や内視鏡検査などが用いられており、日本などの国々では、これらの方法を用いた早期発見の取り組みが行われています。
本コラムは、がんに関する一般的な情報提供を目的として、医師監修の下作成されています。
医師その他医療従事者等が行うべきアドバイスやサービスの提供に取って代わるものではありません。健康状態に関して気になることがございましたら、かかりつけ医師、または専門医にご相談くださいますようお願いいたします。