大腸がんにおける早期発見の重要性

1. 早期発見が非常に重要な大腸がん

世界的に大腸がんは増加していますが、早期に発見することで治癒の可能性が高くなることが知られています。このため、早期発見が大切だと考えられています。大腸がんでは、がんによる病変が局在していた患者さん、すなわち早期に発見された患者さんのほうが、病変が転移していた患者さんよりも5年生存率が高いことがわかっています。特に、早期大腸がんの5年生存率は90%以上であり、早期診断による生存の可能性が非常に高いがんであることが示されています。

5年生存率:がんと診断されてから5年後に生存していた人の割合。


局在:大腸がんの病変が大腸にとどまっている状態
領域にとどまる:大腸がんの病変が大腸のまわりのリンパ節(リンパ球という白血球の集まる場所)などにとどまっている状態
遠隔転移:大腸がんの細胞が肺や肝臓など、他の臓器にも転移して病変をつくっている状態
Siegel R, et al. CA Cancer J Clin 2014; 64:104-117.に記載の数値より作図

2. どうやってがんを見つけるか-大腸がんの主な検査方法-

大腸がんについては、便潜血検査(fecal occult blood test: FOBT)や、大腸内視鏡による検査など、さまざまな検査(がんを探す)方法があります。FOBTで陽性反応(出血あり)と判定された場合には、大腸内視鏡検査が行われます。

検査の方法や検診制度は国、地域によって異なります。

便潜血検査(FOBT)

便潜血検査は便に含まれる血液を検出する検査です。大腸がんの場合、病変部の出血が便に混ざる場合があります。そこで、便のいろいろな場所をこすり採って、血液が付着しているかどうかを調べるのが、便潜血検査です。便潜血検査による大腸がん検診を行うことで、死亡率や罹患率の低下がみられることが知られています。

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡を用いて大腸を観察する方法です。大腸内視鏡の先端にはCCDなどの小型撮像素子が組み込まれており、腸の粘膜を直接確認することができます。また、生検といって、大腸がんが疑われる組織を採取することができます。この組織を、顕微鏡などを使って病理検査することで、がん細胞の有無や性質を調べることができます。

3. 早期発見のためのがん検診の重要性

世界では、大腸がんの罹患率と死亡率がともに低下している国がいくつかあります。これらの国については、大腸がん検診など、早期発見のためのプログラムが実施されており、がんになる前の状態でポリープと呼ばれる組織が発見され、早めに切除されているなど、このような取り組みが功を奏した可能性があります。
これらの国では大腸がんによる死亡率を減少させるための取り組みとして、40歳または50歳以上での大腸がん検診が推奨されています。

本コラムは、がんに関する一般的な情報提供を目的として、医師監修の下作成されています。 医師その他医療従事者等が行うべきアドバイスやサービスの提供に取って代わるものではありません。健康状態に関して気になることがございましたら、かかりつけ医師、または専門医にご相談くださいますようお願いいたします。

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