胃がんにおける早期発見の重要性

1. 早期に発見された胃がんは生存率が高い

胃がんは早期に発見されることで治癒の可能性が高くなることが知られています。日本のデータでは、2006~2008年に胃がんと診断された人のうち、胃がんの病変が胃にとどまっていた人の5年生存率は95.9%であり、早期胃がんの生存率が高いことがわかっています。このようなデータからも、胃がんを早期に発見することの重要性がわかります。

5年生存率:がんと診断されてから5年後に生存していた人の割合。


限局:胃がんの病変が胃の中にとどまっている状態
領域:胃のまわりのリンパ節からがん細胞が見つかるが、隣の臓器には病変が及んでいない、または隣の臓器に病変が及んでいるが、胃から離れた臓器には転移していない状態
遠隔転移:胃から離れた臓器やリンパ節で病変やがん細胞が見つかる状態
国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」より作図
Cancer Registry and Statistics. Cancer Information Service, National Cancer Center, Japan.

2. どうやってがんを見つけるか-胃がんの主な検査方法-

胃がんについては、X線検査や、内視鏡による方法など、胃がんを探すためにはさまざまな検査方法があります

検査の方法や検診制度は国、地域によって異なります。

X線検査

X線を用いて胃全体を透視する方法です。検査時には胃の形をはっきり写し出すためのバリウムや、胃をふくらませるための発泡剤を飲み、身体を動かしながらX線撮影を行います。

内視鏡検査

内視鏡検査は、内視鏡を口や鼻から挿入し、胃の粘膜を直接観察するものです。内視鏡の先端にはCCDなどの小型撮像素子が組み込まれており、医師はモニターに映し出された胃の内部の画像を確認しながら内視鏡を動かしていきます。また、生検といって、胃がんが疑われる組織を採取することができます。この組織を、顕微鏡などを使って病理検査することで、がん細胞の有無や性質を調べることができます。

胃がん検診については上記の他にも、ヘリコバクター・ピロリという細菌の感染が胃がん発生の重要な原因であることから、感染の有無による胃がんのリスク判定に基づいた検診が一部の医療機関で行われています。

3. 胃がんの早期発見のためには、胃がん検診が重要です

胃がんの死亡率を下げるために、日本や韓国ではX線検査や内視鏡による胃がん検診が行われており、早期診断による死亡率の減少が期待されています。日本では、胃がんは40~50歳代以降、加齢に伴って罹患率が増加することから、40歳以上または50歳以上を対象に胃がん検診が実施されています。

本コラムは、がんに関する一般的な情報提供を目的として、医師監修の下作成されています。 医師その他医療従事者等が行うべきアドバイスやサービスの提供に取って代わるものではありません。健康状態に関して気になることがございましたら、かかりつけ医師、または専門医にご相談くださいますようお願いいたします。

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