米州全域の全従業員を対象とした環境安全衛生基礎教育をオンラインで毎年実施しています。2024年3月期には、労働安全衛生上の内容や、化学物質の安全性などの規制上のトピック、環境マネジメントシステム教育に加えて、自動車の安全運転に関する内容を追加し、業務上災害・通勤途上災害の低減に努めています。
労働安全衛生
基本的な考え方・方針
オリンパスグループは、オリンパスグローバル行動規範」において、職場の安全衛生と従業員の健康についての考え方と、そのために必要な行動を定めています。この行動規範を行動に移す上での方針を示す「環境安全衛生ポリシー」を策定し、安全で健康的に働くことのできる職場環境の整備に努めています。
推進体制・取り組み
グローバルな安全衛生活動体制
オリンパスグループでは、CEOおよびCHROが安全衛生最高責任者を務めています。「環境安全衛生ポリシー」のもと、EHS統括部門が年度ごとのEHS(環境・健康・安全衛生)活動指針を定め、より安全かつ健康な職場づくりを目指して、グローバル各拠点で法令・ルールの確実な順守と安全衛生リスク低減のための活動を実施しています。
外部認証取得状況一覧(労働安全衛生マネジメントシステム)
オリンパスは、労働安全衛生管理システムの構築、維持、継続的な改善に取り組んでいます。一部法人・拠点では労働安全衛生マネジメントシステムの外部認証を取得しています。
事業場 | 認証 | 取得年 |
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青森オリンパス | JISHA方式適格OSHMS※1 | 2009年 |
会津オリンパス | JISHA方式適格OSHMS※1 | 2011年 |
Olympus Trading (Shanghai) Limited | 安全生産標準化企業認定 | 2015年 |
白河オリンパス | ISO 45001 | 2020年 |
KeyMed (Medical & Industrial Equipment) Ltd. | ISO 45001 | 2020年 |
Olympus Iberia S.A.U. | ISO 45001 | 2021年 |
※1 中央労働災害防止協会が実施しているJISHA方式適格OSHMS基準に適合している事業場を評価認証機関が認証する制度
労働災害の発生状況
2024年3月期は重大災害0件、休業災害度数率は前年度以下の0.63とすることを目標とし、グローバルの各拠点で安全衛生管理の仕組み整備、リスクアセスメント、リスク低減活動、従業員に対する教育・訓練、内部監査や職場巡視、外部専門家によるリスク診断など安全衛生活動を推進しました。
結果として、労働災害死亡者数は従業員・コントラクターを含めて0件を維持しました。また、休業災害度数率は0.60となり、前年度比で12%削減したとともに、目標である0.63についても達成しました。典型災害である転倒、切創などに対する対策を強化したことで、これら災害が減少したことが要因です。
2025年3月期は、労働災害死亡者数ゼロの維持、休業災害度数率は0.58を目標とし、継続的な安全衛生対策に取り組みます。
2020年3月期 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2024年3月期目標 | |
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労働災害死亡者数※2 | 0(0) | 0(0) | 0(0) | 0(0) | 0(0)★ | 0(0) |
休業災害件数 | 38 | 28 | 31 | 31 | 26★ | - |
休業災害(1日以上)度数率※3(LTIFR) | 0.66 | 0.52 | 0.66 | 0.68 | 0.60★ | 0.63 |
★ 第三者検証における保証対象指標
※2 数値は直接雇用者を示し、カッコ内はコントラクター(派遣労働者)を示す
※3 休業災害度数率:100万労働時間あたりの休業災害件数を示す
従業員教育
オリンパスグループは安全衛生活動への理解を深めるため、さまざまな安全衛生教育を実施しています。職場や業務における安全衛生の基礎的な知識や安全衛生を確保するための行動に対する基礎教育をはじめ、安全衛生マネジメントシステムを運用する上で必要なリスクアセスメント教育、職種に応じた特別教育なども行っています。
各地域の活動
日本地域の取り組み
安全衛生マネジメントと事故水平展開の強化
日本地域では、「労働安全衛生マネジメント規程」に基づいて、各拠点における安全衛生委員会の推進責任者で構成する「全社安全衛生推進委員会」を設置し、安全衛生活動計画の達成に向けた活動を推進しています。安全衛生管理の仕組みの構築と改善、リスクアセスメントに基づくリスク管理、従業員への教育・訓練と意識啓発などの取り組みに加え、安全衛生上の重大事故が発生した場合には、類似の事故が再発しないよう、臨時委員会を開催して国内グループ全社への水平展開を実施しています。
転倒災害予防の啓発
業務上災害のなかでも多くを占める転倒災害に対して、各拠点における安全衛生委員会や社内報やポスターを用い、床面の整理、ながら歩きの抑制、冬季の凍結した道路での滑り防止対策など、注意事項の啓発を繰り返し実施しています。
製造工程における片刃カミソリの手持ち作業廃止に向けた取り組み
(会津オリンパス、青森オリンパス)
製造工程における刃物の使用をより安全に行うため、安全衛生管理部門と製造部門が連携し、片刃カミソリからカッターナイフなど持ち手のある刃物への変更や治具の作成による片刃カミソリの手持ち作業廃止に向けた取り組みを実施しました。その結果、会津オリンパスでは2022年3月期内に片刃カミソリの手持ち作業を100%廃止することができ、以降は片刃カミソリによる労働災害ゼロ件を維持しています。
米州地域の取り組み
環境安全衛生教育の実施
(Olympus Corporation of the Americas 米国)
安全委員会の開催
(Olympus Surgical Technologies America 米国)
安全委員会を毎月開催し、直近の事故に対する対策や、将来の事故の発生リスクを軽減するための施策を議論しています。また、委員会のメンバーによる安全の観点での現場巡視を行い、必要な場合には速やかな改善対策を実施しています。
安全衛生の啓発レター/デジタルサイネージでの周知
(Olympus Surgical Technologies America 米国)
一人ひとりの意識向上のために、時節に応じた安全衛生に関する話題を毎月メール配信し、拠点内でのデジタルサイネージにも掲載しています。これまでに職場でのストレスコントロール、電気製品の取り扱い上の注意、緊急時にとるべき行動などを周知しました。
欧州地域の取り組み
手指の切創災害対策
(Olympus Surgical Technologies Europe | Olympus Winter & Ibe GmbH ドイツ)
リスクアセスメントの教育
(KeyMed (Medical & Industrial Equipment) Ltd. 英国)
安全衛生・健康・環境の教育コンテンツを統合したオンライン教育ポータルサイトに、新たにリスクアセスメントコースを新設し、現場のリスクアセスメント担当者の理解を深めるコンテンツを拡充しました。分かりやすい動画やイラストを活用したコンテンツにより、受講者が直感的に内容をとらえられるよう工夫しました。
火災避難訓練
(Olympus Medical Products Portugal, Unipessoal LDA ポルトガル)
中国地域の取り組み
ラベル自動貼付機の設備安全対策実施
(Olympus Trading(Shanghai) Limited 上海)
リスクアセスメントよりリスクが高いと特定された、ラベル自動貼付機への挟まれ・巻き込まれを防止するため、防護柵の設置、ならびに設備エリアへの作業関係者以外の立ち入りを防ぐためのゲート設置といったリスク低減策を実行しました。
危険化学品と危険廃棄物倉庫の改善
(Olympus Trading (Shanghai) Limited 広州)
危険化学品に起因するリスク対策として、保管倉庫の管理や作業体制の再確認、危険廃棄物の区分に応じた管理や危険廃棄物に関わる表示の改善を行いました。また、危険化学品の漏洩・火災に対する応急訓練についても半年ごとの実施を継続しています。
交通安全教育
(Olympus Trading (Shanghai) Limited 広州)
アジア・オセアニア地域の取り組み
労働安全パトロールと労働安全衛生月間
(Olympus Vietnam Co., Ltd. ベトナム)
安全意識の向上を目的として、6月の労働安全衛生月間期間に「労働安全衛生カイゼンコンテスト」を実施しました。多くの安全性改善のためのアイデアが提案され、特に優れたアイデアを提案した従業員17名を表彰しました。また、職場の安全をより高めるために、毎月リスクアセスメントチームが作業エリアの巡視を行っています。巡視のなかで発見したリスク箇所に対しては、すみやかに改善対策を講じました。
労働安全月間の取り組み
(Olympus Australia Pty Ltd. オーストラリア)
オーストラリアにおける全国労働安全月間の取り組みとして、2023年10月の各週に、社内SNS・ビデオ・ウェビナーを活用して、オフィスや在宅でのデスクワークや重量物の運搬作業における人間工学上の注意点を啓発しました。
リスクアセスメントの実施
(Olympus Korea Co., Ltd. 韓国)
上半期に、各職場における有害・危険要因の特定と、傷害や疾病の可能性と重大性を推定するリスクアセスメントを行い、結果に基づくリスク低減対策を実施しました。また、下半期には外部専門家に加わっていただき、より実効性の高いリスクアセスメントを実現しました。
転倒リスク低減のための倉庫床張り替え
(Olympus Hong Kong and China Limited 香港)
倉庫エリアの老朽化した床タイルの損傷による従業員の転倒災害のリスクを低減するため、倉庫全体の床を丈夫で幅の広いものに張り替えました。