2006年10月2日
オリンパス、工業用顕微鏡の全モデルに搭載する対物レンズを一新
「UIS2対物レンズ」シリーズを新発売
~最先端の半導体デバイスや素材などの研究開発・品質管理の領域に貢献~
オリンパス株式会社(社長:菊川 剛)は、工業用顕微鏡の対物レンズシリーズを一新し、UIS光学系※1の世界最高レベルの「見え」をさらに進化させた「UIS2対物レンズ」シリーズを、10月2日から国内で発売します。高い解像力と従来よりも高いコントラスト、標本に忠実な色再現を達成しました。また、その主力モデルである「プランセミアポクロマート」シリーズでは、新たな品質評価基準を採用し、デジタルイメージング時代の最先端の工業系ニーズに対応していきます。さらに、当社の工業用顕微鏡の全モデルに「UIS2対物レンズ」シリーズを搭載することにより、最先端の半導体デバイスや素材などの研究開発・品質管理の領域に貢献していきます。
※1UIS光学系: | 「Universal Infinity System」の略。高解像度でシステムの拡張性に優れていることなどが特長の、当社の無限遠補正光学系の総称。 |
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発売の概要
製品名 | 発売日 |
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「UIS2対物レンズシリーズ」(工業用)
・高級モデル「プランセミアポクロマートシリーズ」 ・普及モデル「プランアクロマートシリーズ」 |
2006年10月2日 |
「UIS2対物レンズ」シリーズの主な特長の概要
- 新たな評価基準「波面収差コントロール」を採用し、品質レベルを向上※2
- 高倍率でも視野の中心部がずれない観察が可能※2
- 観察時の色再現性を向上、暗視野観察時の明るさを向上
- 環境に配慮し、鉛やヒ素を含まないエコガラスを採用、従来の約2/3に軽量化を実現
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※2 主な特長の1と2は主力モデル「プランセミアポクロマート」シリーズの「MPlanFLN」と「LMPlanFLN」の特長です。
市場導入の背景
半導体メモリー、高機能多機能デバイス、複合素材などの最先端の研究開発・品質管理の領域では、年々対象となる製品の微細化が進んでいます。それに伴い、工業用顕微鏡に対するニーズも、拡大して観察するという顕微鏡本来の目的に加え、顕微鏡の光学系を利用した計測用途も増加傾向にあります。特に、高倍率での画像データを基に処理を行うデジタル画像計測などが、今後も増加すると予想されます。一方で、これらの画像計測の一部には、通常の顕微鏡観察ではクリアするレベルの収差(ノイズ)が問題化するケースがありました。従来の顕微鏡観察での評価基準だけでは応えることのできないレベルの品質に対する要求が、将来的には増えると当社では予測しています。そこで、「UIS2対物レンズ」シリーズでは、顕微鏡本来の高いレベルの画質を追求するとともに、「プランセミアポクロマート」シリーズの主力モデルに、上記の計測用途を先取りして、対物レンズの評価基準に「波面収差コントロール」を導入し、品質レベルを向上させました。
オリンパスは、当社工業用顕微鏡の全モデルにおいて、顕微鏡の心臓部とも言える対物レンズを「UIS2対物レンズ」シリーズに一新することで、今後拡大が期待される最先端の工業分野の研究開発・品質管理におけるご要望に応えて参ります。
「UIS2対物レンズ」シリーズの主な特長の詳細
以下の特長により、デジタル時代の工業系ニーズへの対応を実現しました。
※3 | 1と2は主力モデル「プランセミアポクロマート」シリーズの「MPlanFLN」と「LMPlanFLN」の特長です。 |
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- 新たな評価基準「波面収差コントロール」を採用し、品質レベルを向上
「プランセミアポクロマート」シリーズにおいては、真の高性能の実現を追求するため、「波面収差コントロール」という評価基準を新たに設け、製品の品質レベルを向上させています。これにより、観察はもとより、最先端の計測ニーズにおいても、安定して高い性能を発揮します。 - 視野の中心部から対象がずれない観察が可能
通常の顕微鏡観察では、低倍率から徐々に高倍率に観察視野を変更していく手法を取りますが、その際、視野の中心位置がずれる(心ズレ※2)ことがあります。それは対物間の視野の中心(心)位置にあるごくわずかな誤差がひとつの原因です。また、現在主流となっているデジタルカメラを使用した顕微鏡観察では、CCDなどのデジタル画像素子が高画素化と同時に小型化しており、視野範囲が狭くなる傾向にあります。これに伴い、これまで肉眼での観察では気にならなかった視野の中心位置の「心ずれ」が、小型(1/3インチ程度)の画像素子では観察・オペレーションのストレスになる場合があります。そこでオリンパスでは、「プランセミアポクロマート」シリーズの50倍以上の高倍率レンズにおいて、レンズの組立精度を上げることなどにより、レンズの「心ずれ」を当社従来比1/2に抑えました。これにより、観察視野が中心部分からずれることなく、高倍率のデジタルイメージング観察においても、快適な作業環境を提供します。 -
※2心ずれ: 複数の対物レンズを切り替えたとき、対物間の中心(心)が異なることにより視野中心に誤差を含むこと。一般的には、低倍率から、高倍率に切り替えたときに「心ずれ」なる現象を確認できることが多い。 - 観察時の色再現性を向上、暗視野観察時の明るさを向上
顕微鏡本来の画質を追求し、高いレベルの光学性能を確保しました。厳選された透明度の高いレンズ素材に、独自のコーティング技術をほどこすことにより、全ての顕微鏡観察法において標本に忠実な色再現を実現します。また、暗視野観察時の明るさを向上することで、検出能力が格段に向上しました。これにより微細化するセンサー、高機能デバイスや半導体ウエハなどの検査時間の短縮につながります。 - 環境に配慮し、鉛やヒ素を含まないエコガラスを採用、また従来の約2/3に軽量化を実現
「UIS2対物レンズシリーズ」はレンズに鉛やヒ素を含まないエコガラスを採用しており、当社の顕微鏡本体を含めたトータルでのエコ化を進めています。また、主力シリーズは、従来の約2/3に軽量化を実現し、対物レンズを含むシステムの軽量化を実現しました。
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