多くの自治体では、がんの予防と早期発見・治療のために、住民にがん検診の機会を提供しています。胃がんなど消化器系のがんの場合、内視鏡検診が用いられますが、⽇本消化器がん検診学会の定めている「対策型検診のための胃内視鏡検診マニュアル」には、検査を担当した医師とは別の専門性の高い医師が検査画像をチェックする、「読影」のプロセスを設置することが義務付けられています。対策型検診にて胃内視鏡検診を行うには、検査を担当する検査医、検査画像をチェックする読影医、それを運用するための地方自治体のスタッフといった各関係者のコミュニケーションと情報交換が必要とされているのです。
しかしこれまで、読影医が業務を行うには「読影会場」とよばれる自治体がデータを集めた場所へ赴き、検査画像をチェックしなければならず、大きな負担となっていました。また、関係者間で検査データをUSBやCD-ROM等でやりとりしており、その準備や発送ほかに多くの時間と費用が掛かっていました。そんな課題を解決するために開発されたのが、クラウド型の検診システムです。
開発を担当した河村さんは「本システムによりクラウド上に情報の場を一括構築することで、検査データの情報交換の手間を軽減することが可能になります。」と話します。「また、読影医は読影会場に行かずに、普段勤務している医療機関やセキュリティが確保された自宅でも読影が行えるようになるため、より効率的に読影の業務を行うことができます。」(河村さん)