トッププライオリティ |
|
---|---|
ハイプライオリティ |
|
その他 |
|
フォーカスエリア1医療機会の幅広い提供およびアウトカムの向上
私たちが見据える未来
世界の人々が内視鏡診断・医療を
享受できる世界の実現へ。
がん罹患者数は世界的に増加する傾向にあります。しかし、早期に適切な診断、治療を受けることができれば、がんを治せる可能性が高まります。
オリンパスグループは、患者さんの安全を最優先に考え、がんの早期発見、診断、低侵襲治療に貢献する内視鏡やその関連治療機器(内視鏡機器)を開発・提供しています。また、医療機関が内視鏡機器を使って患者さんに診断・治療を施すためには、医療従事者に対し、内視鏡機器を安全にご使用いただくためのトレーニングが欠かせません。そのため、医療従事者を対象に、内視鏡機器の使用方法や手技、メンテナンス方法に関するトレーニングプログラムを提供し、内視鏡機器を安全に扱うことができる体制の整備をサポートしています。
さらに、当社グループは医学会や地域行政とともに、がん治療における早期発見の重要性を伝える啓発活動にも積極的に取り組むことで、世界の人々が内視鏡医療を享受できる世界の実現を目指しています。
- 重要課題(Materiality Topics)
Whyなぜそれに取り組むのか
がんの早期発見、早期治療に貢献する。
オリンパスの視点1 がん罹患者数
世界的に増加傾向にあるがん罹患者数
近年、がん罹患者数は世界的に増加する傾向にあります。
大腸がんや胃がんにおいては2040年までに年平均成長率1.7%もの推移で発症数が増加すると予想されています。
* EU5:英国、フランス、イタリア、ドイツ、スペイン
出典:Epi Database、Cerner Enviza。2022年6月にアクセス
(参考)Integrated Report 2023 Page 42-45 https://www.olympus.co.jp/ir/data/integratedreport/pdf/integrated_report_2023j_A4.pdf?231130a.pdf
オリンパスの視点2 医療提供環境
国・地域による医療体制・水準の差異
人口10万人あたりの内視鏡医の数は、日本が28.2人であるのに対して、インドは0.7人※1にとどまっています。がん患者の生存率は先進国より低く、大腸がん患者の5年生存率は、日本では約70%※2ですが、インドでは約30%※3となっています。
このように国や地域により医療体制や医療水準に大きな差異が生まれている現実があります。
※1一般公表データより当社作成
※2国立研究開発法人国立がん研究センター 院内がん登録生存率集計 がん情報サービス https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/hosp_c/hosp_c_reg_surv/index.html(参照2023年3月16日)
※3World Health Organization. (n.d.). GCO - SURVCAN. Retrieved from International Agency for Research on Cancer: https://gco.iarc.fr/survival/survcan/dataviz/table?survival=5&populations=0&cancers=90
オリンパスの視点3 市民の認知
早期発見、早期治療の重要性に対する認知の拡大
がんは進行するほど治療の選択肢が少なくなり、治療後の生存率も下がる傾向にあります。そのため、がんの早期発見、早期治療が大切とされ、さまざまな国・地域でがん検診を促す取り組みが進められています。
日本では、厚生労働省ががん検診の受診率を60%とする目標値を定めています。しかし、2022年に実施された国民生活基礎調査によると、40~69歳男性のがん検診受診率は、胃がん 47.5%、大腸がん 49.1%、肺がん 53.2%で目標値に達しておらず、女性はさらに低い結果が示されています※。
こうした現状から、がんの早期発見、早期治療には、定期検診・健診の実施を含めた医療提供環境の拡充を図るとともに、市民レベルでその重要性を理解してもらうことが肝要と考えています。
※2022年国民生活基礎調査(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/index.html
Howどのように取り組むのか
医療従事者・医学会や地域行政・コミュニティと協働で課題に取り組む。
アプローチ1 人材育成
医療従事者へ内視鏡のトレーニング機会を提供
世界各国・地域の医療従事者に内視鏡を安心してご使用いただくために、オリンパスグループでは、世界17カ所に内視鏡に関するトレーニングセンターを設置しています。実際の手術室や内視鏡室を模した施設を有し、医療従事者が最高のパフォーマンスを発揮し、患者さんに安全とケアを提供できるよう、臨床知識や症例技術向上のための、専門的で洗練された教育プログラムとトレーニングを包括的に提供しています。
また、医学会と連携した教育・トレーニングも複数提供するなど、医療従事者が内視鏡を安全に扱うことができる体制の構築を支援しています。
<関連するMateriality Topics>医療アクセス及び医療公平性改善への貢献
アプローチ2 技術革新
医療機関とともに患者さんの安全を第一に考えた
先進的な医療機器・技術の開発を推進
オリンパスグループの主力製品である内視鏡。1949年に東京大学のある医師から「患者の胃の中を映して見るカメラをつくってほしい」という要望を受け開発が始まりました。医師とオリンパスの技術開発陣の協力で数々の難問をクリアし、(1)危険がない、(2)患者さんに負担を与えない、(3)胃内壁すべてを短時間に撮影できる、(4)鮮明な映像で診断できる、という理想を追い求めて、完成度を高め広く普及しました。
このものづくりに対する考え方は現在にも継承され、多くの内視鏡医のニーズを聞きながら、内視鏡医とともに医療機器の技術開発を進めています。
昨今では、AIを活用して病変候補を検出し、医師の診断をサポートするソフトウェアや、シングルユース内視鏡、インテリジェント内視鏡エコシステムなども開発しています。
<関連するMateriality Topics>より良い医療効果を実現するイノベーションへの取組
アプローチ3 市民の認知
医学会や地域行政と連携し、がん検診の啓発活動を支援
オリンパスグループでは、医学会や地域行政と協働で市民にがんの早期発見、早期治療の重要性を伝える啓発活動を各国・地域で推進しています。日本では、地方自治体と連携してがん検診の啓発活動をサポート。ほかにも、世界各国・地域で医学会やNPO法人と連携して、がん検診の啓発活動を支援しています。
また、自社Webサイトにおいても、がんの解説、検診の重要性、検査方法などについて情報を発信しています。
<関連するMateriality Topics>早期発見・早期治療の重要性に対する認知度向上への取組
What具体的に何をするのか
活動事例1 がんの早期発見、早期治療に貢献するNBI(狭帯域光観察)を開発
技術革新によるがんの早期発見、早期治療への貢献――その代表的な事例の一つが、オリンパスが開発した「NBI(Narrow Band Imaging:狭帯域光観察)」です。
当社が1950年に開発した胃カメラは、早期胃がんの診断学を大きく発展させました。その後の研究の積み重ねによって、消化器内の粘膜表面の微妙な色の変化から、早期の病変を発見できることがわかってきました。当社は、消化管内に照射する光を工夫することにより病変部を浮かび上がらせる技術を開発しました。
胃や大腸の表面を観察する内視鏡検査は、通常の光では、早期の極めて微少な病変は見つけにくい場合があります。NBIは、がんによる病変の近くには多くの血管が集まりやすくなることに着目し、青と緑の2つの波長の光を照射して、粘膜表面の毛細血管と深部の血管を浮かび上がらせる技術であり、通常光では見えにくい血管のパターンを高いコントラストで観察することができます。
当社は、このNBI技術を搭載した内視鏡システムを世界各国・地域の医療機関などに提供。がんの早期発見に貢献してきました。
活動事例2 消化器内視鏡の出張検査の支援を通じてインドの医療水準向上に貢献
急激な経済発展と人口増加が進むインドでは、がんの検診・治療のインフラや専門医が不足しており、とくに農村部に住む人々は、体に不調があっても検査を受けることが難しい現状があります。オリンパスはその課題解決の一端を担うべく、病院と協業して、内視鏡検査装置を車に乗せて村々を巡る、出張検査プログラムを推進しています。