がん経験者の豊かな人生をサポートしたい
韓国における「ゴーイング・オン・キャンペーン」とは 

オリンパスは、がんなどの病変の早期発見、治療に役立つ医療機器やソリューションの提供だけではなく、グローバルでさまざまな社会貢献活動にも力を注いでいます。その1つが、がんを経験した患者さんの人生が豊かで充実したものになるようにサポートする「ゴーイング・オン・キャンペーン」です。オリンパス韓国で、この活動を推進しているコ・ウンヘさん、実際にキャンペーンに参加したがん経験者のパク・チャンウさんとイ・テヨンさん、そして精神科専門医としてこの活動を支援しているイ・グァンミン医師に話を聞きました。

患者さんの手術後の人生を支えるために生まれた支援活動

コ・ウンへさん

がんに罹患した患者さんの中には、治療を受ける過程で、身体的、精神的に苦しい状況に置かれる方が多くいます。がんと診断された後も、彼らの豊かな人生が続くようにオリンパスがサポートできることは何か、と考えて生まれた活動が、この「ゴーイング・オン・キャンペーン」です。

「ゴーイング・オン・キャンペーンは、オリンパス韓国における独自の活動であり、がん患者さんを精神的に支援するプログラムと、 がん患者に対する社会的な偏見をなくし、共感を生み出すことを目的とした社会認識改善プログラムで構成されています。」

オリンパス韓国で、社会貢献活動に携わるコ・ウンへさんはこう説明します。

2020年にスタートしたこのキャンペーンは、現在、創作やボランティア活動、心理相談など、幅広い分野における8つのプログラムを提供しており、がん患者さんは自分の興味がある活動に応募し、参加することができます。

がんを経験したクリエイターを対象に、映像制作の支援を「ゴーイング・オン・スタジオ」

パク・チャンウさん

そのうちの一つ「ゴーイング・オン・スタジオ」は、がんの罹患経験者が動画配信を通じて、がん患者に対する社会の認識を変えていけるよう、制作活動を支援するプログラムです。

2019年に尿膜管がんのステージ3と診断されたパク・チャンウさんは、ゴーイング・オン・スタジオに参加しました。「当時は妻との結婚を控えていたため、彼女とこのまま結婚しても良いのかと深く悩み、涙も溢れ、精神的にとても辛かったです。さらに、何度も抗がん剤の治療を受けなければならず、身体的にもかなり苦しい状況でした。」と、パクさんは振り返ります。

闘病生活を続ける中、ゴーイング・オン・キャンペーンを知ったパクさん。「ゴーイング・オン」の意味が、「がんを経験した患者さんの人生は続く」という意味であることを知り、その言葉に感銘を受け、キャンペーンに参加することに決めました。

「ゴーイング・オン・スタジオは、私のような、がんを経験したクリエイターがより安定的にコンテンツを企画して制作できるように、オリンパスが多方面でサポートしてくれるプログラムです。このプログラムに参加することで、私の日常や考えを映像で残すことができました。 普段、頭に描いていたことが形になり、 自分自身についても知る機会にもなりました。」(パクさん)それに加えて、本プログラムに参加している参加者と知り合い、似たような悩みを分かち合うことで、 お互いを応援できたことは、パクさんの大きな力になりました。

「ゆっくりですが、少しずつ自分のやりたいことを実現しながら、毎日を有意義に過ごしています。」パクさんは笑顔でそう口にしました。

日記を書いて交流する「ゴーイング・オン・ダイアリー」とゴミを拾いながら野外を歩く「ゴーイング・オン・ウォーク」

イ・テヨンさん

2021年から複数の「ゴーイング・オン・キャンペーン」に参加しているイ・テヨンさんは「2016年に末期の乳がんと診断されたとき、まるで死刑宣告のように感じました」と辛い思い出を語ります。たった一人の娘のことを考えながら諦めずに治療を続けましたが、ときどき「患者としてではなく、自分自身のための新しい挑戦をしたい」と考えていた時に出会ったのが、ゴーイング・オン・キャンペーンでした。

イさんは、がん経験者たちが日記を書きながら交流する「ゴーイング・オン・ダイアリー」に参加した結果、「自分自身について深く考える機会となり、私ももっと新しいことに挑戦していきたいと思うようになりました。」と話します。「いまはシニアモデルという大きな夢を抱きながら、本当に幸せで充実した日々を過ごしています。」(イさん)

また、イさんは「ゴーイング・オン・ウォーク」にも参加しています。これは、がん経験者とオリンパス社員が一緒に野外を歩きながら、ゴミを拾う活動です。「本プログラムに参加して、数多くの患者さんに出会いました。私よりももっと痛みを感じている方もいると思いますが、いつも笑顔を絶やさず、家族への想いを話してくれることもあります。そんな姿を見て、私も勇気をもらうことができます。」と話しています。

「ゴーイング・オン・キャンペーンは、患者という枠から抜け出し、第二の人生を生きていくモチベーションを与えてくれた特別な存在です。」(イさん)

「がん経験者に対する社会的な認識の改善が必要」

イ・グァンミン医師

医療技術の発達により、韓国のがん患者の生存率は大きく向上しました。その中で、がんを経験した患者さんが、その後の人生をどう継続していくかが大きなテーマとなっています。しかし、がん経験者は、診断や治療の過程で心理的な不安を強く感じるとともに、社会から否定的な目で見られるという厳しい体験を強いられることもあります。

がん経験者と精神科専門医が対話するプログラム「ゴーイングオン・トーク」に協力しているイ・グァンミン医師は「患者さんが第二の人生を前向きに生きていくためには、精神的なサポートとともに、社会的な認識の改善が必要です。」と指摘します。

「ゴーイング・オン・キャンペーンは、がん経験者の心をケアしながら、感情に寄り添う支援を行っています。それと同時に、社会的認識改善プログラムを通じて、がんという経験を隠す必要がない社会へと変えていくことに貢献していると思います。」(イ医師)

オリンパス韓国は、ゴーイング・オン・キャンペーンを今後も発展させていきたいと考えています。担当のコ・ウンへさんはこう抱負を述べています。「パクさんやイさんのようながんを経験した患者さんの精神的なサポートとなるプログラムを提供することで、彼らの今後の人生が充実した豊かなものになってほしいと、心から願っています。その実現のために、これからも誠実に活動を続けていきます。これが私たちにとってのTrue to Lifeです。」(コさん)

オリンパスが世界中で行っている社会貢献活動の詳しい内容は、当社ウェブサイトのオリンパスの企業市民活動をご覧ください。

2024年3月の取材に基づき作成しています。