会津オリンパスが実践する温室効果ガス排出量削減への長期的取り組み

2024年3月

フォーカスエリア 5: 社会と協調した脱炭素・循環型社会実現への貢献

写真:会津オリンパス事業所

オリンパスグループは、自社事業所からの温室効果ガス排出量を2030年までに実質ゼロにするカーボンニュートラルの目標を掲げ、世界各地の拠点で使用電力の再生可能エネルギーへの切り替えなどを加速させています。今回は、グループの中でも先進的に温室効果ガス排出削減に取り組んでいる会津オリンパスの活動についてご紹介します。

写真:渡部雅子

渡部 雅子

会津オリンパス株式会社 人事総務部 EHSグループ
2007年度入社。採用、社員教育、ダイバーシティ推進、CSRなどを担当し、2023年4月に新設されたEHS(環境・安全・衛生)グループのアソシエイトマネージャーに就任。

設備投資と日々の地道な活動の両輪で温室効果ガス排出量を削減

Q. 会津オリンパスでのこれまでの温室効果ガス削減の取り組みと、そのきっかけを教えてください。

A. 社屋の建て替えの際に挙がった従業員の声をきっかけに、温室効果ガス削減に注力し始めました。

会津オリンパスは、1998年にISO14001の認証を取得し、現在までさまざまな環境配慮の取り組みを継続しています。温室効果ガス削減は新社屋建設時に、従業員の声を受けて、取り組みを強化しました。
会津オリンパス全体の電力消費量の4割は、製造現場で稼働する冷暖房をはじめとした空調です。そのため、安定している地中温度を空調に利用する「クールヒートトレンチ」を導入し、空調システムの効率化を図りました。当時の最新設備です。クールヒートトレンチによる温室効果ガス排出量の削減効果は年間で16t、杉の木約1,163本に相当します。また、夜間電力を使ってエネルギーを蓄え、就業時間内の空調に利用する「冷水蓄熱塔」も導入することで地域の電力需要の平準化に寄与しています。
さらにこれと同時に、消費するエネルギーの自給を目指し、600枚の太陽光発電パネルを導入しました。2016年に増設し、現在は約1,600枚のパネルが設置されています。太陽光発電による温室効果ガス排出量の削減効果は年間で123t、杉の木約8,800本分に相当します。

イメージ図:クールヒートトレンチの仕組み

Q. 環境負荷の低い新社屋となったのですね。それ以外に取り組んでいることはありますか。

A. 従業員の協力を得ながら、地道に温室効果ガス削減活動を進めています。

温室効果ガス削減を目的に、2009年にバス通勤を導入しています。各個人の事情を考慮した上で、全従業員の2割にあたる330名が、マイカー通勤ではなく、環境負荷の低いバス通勤をしています。また、会津オリンパスのバス通勤を利用した自動配車システム導入の試行にも協力しています。会津地域内で同様のシステムが導入されつつあり、地域貢献にも繋がっています。ほかにも、昼休みの消灯や、離席時のディスプレイの電源Off徹底など、日々の生活の中で自然に温室効果ガス削減活動に取り組んでいます。

環境の取り組みを従業員に身近に感じてもらうことが活動の促進につながる

Q. 組織全体で温室効果ガス削減に取り組んでいくために、大切なことは何だと考えていますか。

A. 従業員一人ひとりの環境意識向上が大切です。

世間一般的によく目にするテーマではありますが、従業員一人ひとりの環境意識向上が大切です。自分達の行動がどう結果につながるのか、その理解浸透を図らなければ活動の促進には繋がりません。そのため、会津オリンパスでは、社内で定期的に省エネ情報を配信したり、使用期限が過ぎた防災備蓄品の水を植物の水やりに利用して、そのペットボトル容器でプランターを作成し、希望する従業員に配布する取り組みも始めました。ちなみにプランターセットの中の堆肥は食堂の残飯から作られたものを利用しています。これら一連の情報や取り組みを食堂のサイネージで紹介しながら活動を展開していきました。準備したプランターはその日のうちに全て持ち帰られ、想像以上の反響でした。まずは、環境の取り組みを従業員に身近に感じてもらうことが重要だと考えています。
また一方で、EHS(環境・衛生・安全)担当として中長期的な視点で必要性を判断し、関係者と相談しながら設備投資による環境改善も図っています。

Q. さらなる温室効果ガス排出量の削減にむけて、会津オリンパスとして今後の計画・展望はありますか。

A. 地域やグループの他拠点と連携し、取り組みを加速させたいです。

会津オリンパスで使用する都市ガス、LPガスを2024年4月にカーボンニュートラルガスへ切り替え予定です。これにより、会津オリンパスが排出する温室効果ガスの95%をカーボンニュートラル化します。合わせて、蛍光灯の利用がまだ残っている建物があるため、順次LEDの照明器具へ更新を進めています。
ほかにも、より低炭素なエネルギー源の活用や、電気自動車の充電設備導入など新たな取り組みも検討しています。当社は会津地域で果たす役割が大きい企業でもあるので、市や県と連携して、取り組みを加速させたいですし、オリンパスグループとしても共通の課題解決に向けて他の拠点と協力して新たに取り組もうとしているテーマもあります。まだまだやりたいこと、やれることが尽きないテーマだと思っています。

写真:会津オリンパス社屋の外観

こちらもおすすめ