品質でブランドをつくる「内視鏡修理サービス」
内視鏡修理の高い品質がグローバルな医療現場での信頼を築く
過酷な医療現場環境で使用される内視鏡は、世界中に高品質の修理・メンテナンスができる体制があり、医療従事者に安全安心を提供し続けています。
この体制は本社部門とオリンパス海外関係会社が一丸となってナンバーワン品質を目指し、互いに切磋琢磨しながら構築されました。今では、内視鏡修理センターを訪問した医療従事者に、緻密で精巧な修理体制、品質保証体制について必ず感心してもらえるようになりました。
いったい何から手をつける?
オリンパスでは、世界中の患者さんが安心して内視鏡検査・治療を受けられるよう、世界中に200を超える修理センターを設け、業界トップのグローバルなサービスネットワークを構築してきました。このネットワークの広さが顧客との接点強化につながっており、内視鏡ビジネスを支えています。一方で、修理の品質を維持することの重要さ、難しさが指摘されていました。
2004年、世界中の修理センターの品質向上に向けた活動をすることになりました。多くの修理拠点がある中で、何から手をつければよいのか、関係者の誰もが暗中模索していました。修理作業が製造工程そのものであるとの認識から、製造での品質管理に着目し、まずは製造工場を評価している品質監査をヒントにして活動を開始しました。
世界に広がる修理サービスネットワーク
海外関係会社と一緒に課題を共有し、PDCAを回す
まず、アジアの関係会社の修理センターで、工場の基準をベースにした品質保証体制の監査が実施され、基本的な改善課題が明確になりました。これを機に、東京本社と現地スタッフが一体となって、急ピッチで改善が進められました。
課題を共有し、互いに納得いくまでディスカッションし、現場をその気にさせ、品質意識に関する改革が図られていきました。この一緒に解決するという姿勢が、関係会社の心を捉え、取組みが長く続く要因の一つとなったのです。
オリンパスのサービスを実施する資格要件を作る
次に、この活動を欧州へも拡大していく必要があると判断されました。2004年当時、欧州現地法人本社では、ISO9001に基づく独自の品質監査(診断)を実施しており、東京本社による品質監査には抵抗がありました。
そこで、欧州の修理センターの主要なマネージャーを会津オリンパス、白河オリンパスに集め、日本の工場の品質管理体制、そこでの生産性向上の取組みや5S活動などを紹介しました。欧州のマネージャーたちは、製造現場での改善への努力を知り、修理センターにもこのような改善活動を取り入れていくことにしました。そして、欧州修理センターへ展開しやすいよう従来の「品質監査(Quality Audit)」を改め「品質診断(Quality Review)」という取組みが提案され、欧州展開が始まったのです。
さらに、全世界共通の修理サービスの指針として、誰もが納得できる共通の指標を作り、世界中どこでも同じ品質を提供できることを目指して、オリンパスグループ共通の「テクニカルサービスグローバルガイドライン」が制定されました。この「Quality Review」が世界中で展開され、海外関係会社との関係強固な取組みができるようになりました。
切磋琢磨によるスパイラルアップ
現在の実力を全世界共通のガイドラインで、点数で評価し、改善した結果をまた評価する。「Quality Review」の評価点数は他の海外関係子会社も見えるようにしました。さらに、卓越した取組みは表彰し、他の海外関係会社に紹介できるような仕組みもできました。
当初は、グローバルに成績表を公開することを躊躇(ちゅうちょ)する意見もありました。自分の努力度、ポジショニングが分かり、ベンチマークすることができるようになり、互いに切磋琢磨(せっさたくま)したことで品質改善のスパイラルアップを飛躍的に早めていったのです。
品質維持のためのライセンス制度
この取組みの結果、返品率は半減し、納期が順守されるようになってきました。また、品質改善に呼応して、お客さまを修理センターへご案内し、修理現場を見学する「ショーケースサービス」という活動も行っています。
実際の修理現場を見ていただいて、信頼を得る営業活動です。これらの地道な活動により、オリンパスの修理品質をお求めになるお客さまが増加していきました。
修理サービス品質向上の次のステージは、組織全体の品質改善の取組みから、個々人の品質・スキルにアプローチすることです。現在、グローバルで修理・サービス業務従事者全員を対象としたライセンス制度の導入が進んでいます。