フォーカスエリアのコンセプト/目指す姿
医療事業は、当社が最も強みを発揮できる社会貢献の領域と認識しています。より高い医療成果につながるイノベーティブな製品の提供、医療従事者へのトレーニング機会の提供などを通じて、社会への貢献を目指します。
グローバル・メドテックカンパニーとしての成長へ
これまでの変革の「その先」を見据えた新経営戦略を策定
オリンパスは、2019年に企業変革プラン「Transform Olympus」と経営戦略を発表し、その後3年間で事業構造、組織・オペレーティングモデル、従業員の意識や企業文化などあらゆる面で大きく変化を果たしました。その結果、2019年3月期*に9.2%だった調整後営業利益率は、2023年3月期には20.0%と大きく改善しました。
この変革を基礎に、グローバル・メドテックカンパニーとしてさらなる成長を実現するため、2023年5月に新たな経営戦略を発表しました。今後は、「Shift to Grow」という新たなステージにおいて、オリンパスが価値を最も発揮できる疾患領域に注力し、医療水準の向上に貢献する新たな製品・技術の開拓・開発に投資することで、成長軌道をより確かなものとしていくことを目指しています。また、患者さんの安全を第一に掲げ、QA/RA(品質保証および法規制対応)に注力し、長期的な戦略に沿った高品質な製品・サービスを提供し、事業の持続的成長と企業価値向上に努め、ステークホルダーの信頼を高めていきます。
* 科学事業/映像事業の調整後営業利益を含む
新経営戦略では「患者さんの安全と持続可能性」「成長のためのイノベーション」「生産性の向上」という3つを優先事項として掲げています。誠実で透明性のある企業であり続けるために、規制当局やステークホルダーと協力して、強固で持続的な組織の構築に努め、ヘルスケア業界およびESGを主導する企業になるべく、Our Purpose私たちの存在意義である「世界の人々の健康と安心、心の豊かさ」の実現に貢献していくことを目指していきます。
ESGの推進は、優先事項における重要な取組項目の一つとして位置づけており、これまで以上にESG戦略と経営戦略・事業戦略・機能戦略との親和性・一貫性を強化していきます。
患者さんの安全と持続可能性 |
1
米食品医薬品局(FDA)に対するコミットメントを進行し、各国規制当局との信頼関係を構築
2
健やかな組織文化とESGを推進
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成長のためのイノベーション |
3
オリンパスブランドの強化、顧客体験価値向上
4
戦略的なイノベーション・買収を通じた事業の成長
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生産性の向上 |
5
患者さんの安全と製品の品質を重視したパフォーマンスの高い組織を構築
6
効率的で無駄のない経営
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新経営戦略の策定と連動して、2023年3月期にESG戦略の見直しと調整を行いました。マテリアリティの見直しにおいては、新たにステークホルダーの皆様のご意見をお聞きし、また社会の期待値・要求事項やメドテック業界における動向、サステナビリティの観点でのリスクと機会の分析などを踏まえ、「6つの重要領域 (Focus Area)」と、その下に「25項目の重要課題(Materiality Topics)」を特定しました*。
この「25項目の重要課題(Materiality Topics)」を特定するプロセスの中で、「ステークホルダーにとっての重要性」と「オリンパスの事業へのインパクト(オリンパスにとっての重要度)」の2つの軸を用いてマッピングを行い、「トッププライオリティ」「ハイプライオリティ」「その他」の3段階に優先順位付けをしています。
特に重要度の高いトッププライオリティに位置づけたマテリアリティ項目についてはKPIを設定しており、達成に向けた進捗を管理していきます。また、ESG委員会や取締役会等において、進捗状況や新たな取り組みについて議論していきます。
* 2020年3月期に4つのマテリアリティを特定して以降、2022年3月期に「社会と協調した脱炭素・循環型社会実現への貢献」を加え、5つのマテリアリティとして見直しを行いました。2023年3月期の見直しにおいては、従来の「6つのESG領域」と「5つの重要課題(マテリアリティ)」を、「6つの重要領域 (Focus Area)」に再編しました。
前回の特定以降のサステナビリティの潮流変化に関する外部調査および、ESGに関連する各種フレームワーク、ESG調査の評価項目などから社会課題をリスト化
医療機関、政府機関、投資家、ESG評価機関などにインタビューを実施。ステークホルダーにとっての重要度の観点から課題を優先付け
オリンパスの事業へのインパクトの観点から課題を優先付け
経営執行会議および取締役会での審議等のプロセスを経て、マテリアリティを特定(経営戦略の一部として提案され承認)。加えて、特定した社会課題を2軸の観点から優先順位を付けたマテリアリティ・マトリックスを作成
「6つの重要領域 (Focus Area)」および「25項目の重要課題(Materiality Topics)」は、オリンパスの経営・事業活動と一体のものであり、これらに関わる活動を通じて広く社会課題の解決に貢献していきます。
トッププライオリティに位置づけたマテリアリティ項目については、それぞれKPIを設定し、達成に向けた進捗を管理しています。
医療事業は、当社が最も強みを発揮できる社会貢献の領域と認識しています。より高い医療成果につながるイノベーティブな製品の提供、医療従事者へのトレーニング機会の提供などを通じて、社会への貢献を目指します。
重要課題(マテリアリティトピックス) | 中期目標・KPI | 2024年3月期実績 |
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トッププライオリティ
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対象の新興国・地域におけるCRC*関連のトレーニング開催数:+20% | 20件実施 |
医療従事者を対象としたCRC*関連のオンライン/ハイブリッド型トレーニング開催数:+20% | 58件実施 | |
ハイプライオリティ
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その他
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* CRC: Colorectal cancer
医療機器を提供する企業として、最優先するべきは「患者さんの安全」です。腐敗防止などのコンプライアンス遵守および、製品の品質安全性確保のための各国法規制に確実に適合するように努めています。
重要課題(マテリアリティトピックス) | 中期目標・KPI | 2024年3月期実績 |
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トッププライオリティ
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適時適切なESG情報開示(SASB基準*に沿った開示) | 適切に開示を実施。詳細は下記をご確認ください |
ハイプライオリティ
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その他
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* SASB基準:SASB(Sustainability Accounting Standards Board:米国サステナビリティ会計基準審議会)が公開した非財務情報公開の標準化に向けた基準。業種別の開示スタンダードが策定されている。
SASB コード | 会計メトリクス | 当社開示情報 |
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SASB:HC-MS-250a.1 | リコール件数、総リコール数 | 各国規制当局のウェブサイト上に適切に開示 例)米国FDA:Medical Device Recalls (fda.gov) |
SASB:HC-MS-250a.2 | FDAのMedWatch安全性アラート(医薬品)データベースに掲載されている製品のリスト | 米国FDAの要求事項に基づき適切に開示 MedWatch: The FDA Safety Information and Adverse Event Reporting Program | FDA |
SASB:HC-MS-250a.3 | FDAの医療機器不具合 | 米国FDAの要求事項に基づき適切に開示 MAUDE - Manufacturer and User Facility Device Experience (fda.gov) |
SASB:HC-MS-250a.4 | 現行GMP (current Good Manufacturing Practices)違反に対して実施されたFDAによる強制措置の件数(種類別) | 以下のウェブサイトにて適切に開示 https://datadashboard.fda.gov/ora/cd/inspections.htm |
医療機器の安定的な提供は、社会における医療の安定的供給に不可欠です。製品の安定的提供の責任を果たすと同時に、サプライヤーとともに、環境や人権などの社会課題にも取り組んでいきます。
重要課題(マテリアリティトピックス) | 中期目標・KPI | 2024年3月期実績 |
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トッププライオリティ
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年次評価/モニタリング:サプライチェーンにおけるリスク評価・モニタリングの実施 |
大手リスクソリューションプロバイダーを活用して、サプライチェーンの可視化をグローバルに進め、リアルタイムでリスクを監視、特定する仕組みを導入。 BCPの整備やESGへの対応の評価もリスク管理の対象とするこの取組みを進め、厳しくなっている各種法令・規制・規準等の遵守とサプライチェーンのレジリエンスを一層強化していく。 |
ハイプライオリティ
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当社が目指す健やかな組織文化とは「私たちの存在意義を実現するため、従業員一人ひとりがベストな状態でパフォーマンスを発揮できる文化」と定義し、その実現に向けたさまざまな施策に取り組んでいます。
重要課題(マテリアリティトピックス) | 中期目標・KPI | 2024年3月期実績 |
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トッププライオリティ
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グローバルなマネジメントポジションにおける女性の割合:30%[2028年3月期] | 25.4% |
日本*における男性社員の育児休業等取得率:100%[2026年3月期] | 88.0% | |
ハイプライオリティ
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* オリンパス株式会社が対象
気候変動は地球環境を脅かす重大な課題であるとともに、当社の事業活動にも影響をおよぼす課題であると認識しています。今後カーボンニュートラルの達成に向けて、各種取り組みを推進していきます。
重要課題(マテリアリティトピックス) | 中期目標・KPI | 2024年3月期実績 |
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トッププライオリティ
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ネットゼロ:2040年3月期までにScope1,2,3の温室効果ガス排出量を実質ゼロに |
温室効果ガス排出量(Scope1,2,3):830,202t-CO2e(対2020年3月期比 +18%) 売上拡大に伴う、部材調達の増加により基準年比で排出量が増加。大部分を占めるサプライヤー先での排出の削減に向け、サプライヤーに温室効果ガス排出量の把握およびSBTに沿った目標設定の依頼を開始。また、直送化や船舶利用など物流時の排出削減の継続的な取り組みを実施。 |
カーボンニュートラル:2031年3月期までに自社事業所からの温室効果ガス排出量(Scope1,2)を実質ゼロに |
温室効果ガス排出量(Scope1,2):42,380t-CO2e(対2020年3⽉期比 ー51%) 製造改善や設備老朽更新を通じた省エネ取り組みとともに、再生可能エネルギー由来の電力利用の拡大により、基準年に対して大幅に削減。 |
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ハイプライオリティ
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その他
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当社は長年にわたりステークホルダーの皆さまから信頼される企業であり続けるために、コーポレートガバナンスの強化に注力してきました。当社がサステナブルであるために極めて重要な課題と認識し、今後も継続して強化に努めます。
重要課題(マテリアリティトピックス) | 中期目標・KPI | 2024年3月期実績 |
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トッププライオリティ
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エンタープライズリスクマネジメント:一貫性・継続性を確保したグローバルでの実施 | 「リスクマネジメント及び危機対応方針」及び関連規程に基づきリスクマネジメントを実施。その活動結果をグループ経営執行会議及び取締役会へ報告 |
その他
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オリンパスの医療事業を通じた社会への貢献事例を紹介しています。
内視鏡による早期診断や低侵襲治療を可能とする技術開発や医師育成支援など、オリンパスの医療分野における活動をまとめています。
医療従事者向け教育支援など医療水準の向上に向けたオリンパスの取り組みを紹介しています。
患者さんのケア・パスウェイ(予防から回復)向上のための取り組みを紹介しています。
オリンパスの特徴をさまざまなデータで紹介しています。
がんをはじめとする疾患の発症数など、ヘルスケアに関するデータをまとめて公開しています。